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芸術祭十月大歌舞伎 [演劇]

 東京での二日目は、わたしは歌舞伎、友達のナナミさんは東京国際映画祭の映画に行きました。

 歌舞伎座に着いたとき、まだ開場までにずいぶん時間があったので、歌舞伎座の横でお弁当を買いました。それから中国人の人が、幕見のチケットの買い方がわからないというので、説明したり案内したりしました。

 そうこうしているうちに、いよいよ開場です。歌舞伎座に入って左に行くと階段があって、その2階の踊り場に、川端龍子(りゅうし)の日本画がかかっています。これは、青い獅子が白いボタンの花をくわえている絵です。ずっとまえに、玉三郎がTVでこの絵が一番好きだと言っていたので、じっくりと眺めました。もしかして、玉三郎もこの位置に立って眺めていたのではないかしら、と考えてドキドキしながら・・・・・・。

 さて、とうとう歌舞伎が始まりました。最初の出し物は「廓三番叟」。遊郭に舞台を移した、美しい踊り。傾城(芝雀)、千歳(亀次郎)、太鼓持(かん雀)で楽しませてくれました。

 次は通し狂言「加賀見山旧錦絵」(かがみやまこきょうのにしきえ)です。
 多賀百万石の大名家転覆を企む、局の岩藤(菊五郎)は、多賀大領の息女大姫の信頼が厚い中老の尾上(玉三郎)をいじめて恥をかかせ、自殺に追い込みます。それに対し、尾上の一番の召使お初(菊之助)が主人の敵を討つというストーリーです。
 
 これは、「才色兼備で人望も厚い一方、思いつめる内向性と高いプライドの持ち主である尾上」が玉三郎、「高飛車で意地の悪い憎まれ役の岩藤」が菊五郎、「きびきびと元気で、主人想いのけなげな少女お初」が菊之助という、豪華な配役でした。(パンフレットより)

 菊五郎と菊之助は親子共演でした。敵役同士でしたが、よかったです。特に菊之助は、主人(玉三郎)が大好きで、一生懸命お使えする召使の様子をよく表現していたと思います。もう少し若いときは、なんかきれいきれいなお人形のようで、セリフもあまり情がこもっていなかったのですが、今回は主人を想う真情がセリフの上でも、しぐさのうえでも出ていて、成長したなと感じました。

 菊五郎は悪役で、あまりいい役ではなかったのですが、貫禄で演じていました。少し年をとったように思いました。

 特筆すべきは、やはり玉三郎の尾上でしょう。頭がよくて、プライドが高くて、どこからみても非の打ち所のない中老の尾上をみごとに演じていました。
 町人出身の尾上が、武術のたしなみがないのを知っている岩藤は、わざと立会いをせまります。ここは、召使お初が名乗り出て、主人の代わりに戦い、奥女中をやっつけてしまいます。
 尾上は、蘭奢待(らんじゃたい)というお香の名木が入っている箱を、預かっています。しかし、岩藤がわざと中身を草履にすりかえます。そして、満座の中で岩藤は草履をとりだし、尾上をそれで打ち据えるのでした。
 岩藤にやりこめられても、そのくやしさを表にださず、じっとこらえてそれが内向していく様子がよくでていました。そして、あまりのくやしさ、プライドを打ち砕かれた精神の空虚感を、セリフではなく、
身体全体で表現したあたりは、ほんとうにすばらしかったです。私も尾上と同じ心境になることができました。
 かわいいお初の気遣いに、最後までやさしく感謝しながら、それでも自殺をはかってしまうその心情が理解できるくらいの演技でした。
 昔から、玉三郎が大好きなんですが、こういう感情表現のすばらしさは、右に出る人がいないと思っています。
 今回は、ほんとうにいい芝居で、大満足の一日でした。帰りに出口のところで、富司純子が挨拶していました。薄いグレーの地味な着物がとてもよく似合っていて、彼女の美しさを一層引き立てていました。

 歌舞伎が終わってから、ナナミさんと再び会い、時間があったので「出光美術館」へ行ってみました。ここでは、「琳派と京焼展」をやっていました。いい催しでした。

 そのあと、オレンジさんに教えてもらったblog「銀座でひとりぐらし」の記事から、有楽町のビッグカメラの6階にあるタイ料理のお店、「コカレストラン」を見つけて行きました。
 トムヤムクンと、タイ風やきそばと、タイ風さつまあげを食べました。どれも、香辛料がきいていて、お味がよかったです。最後に杏仁豆腐で〆。1人2000円くらいで、安くておいしかったと思います。

 今回もハードスケジュールでしたが、充実した旅になりました。また、東京に来ようと思います。


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