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坂東玉三郎7月歌舞伎座公演 [演劇]

 先日、歌舞伎座の坂東玉三郎公演7月大歌舞伎を見に行った。大雨であったが、歌舞伎座は大入り満員だった。玉三郎の人気の程がうかがえる。

 昼の部1幕目は、「夜叉が池(やしゃがいけ)」である。幕が開くとそこは越前国三国岳の麓で、以前は寺であったところを住居にしている里の美女百合(春猿)が登場する。そこへ旅人の文学士山沢(右近)が訪ねてくる。彼は3年前消息を絶った親友萩原晃(段治郎)を捜しにやってきたのだが、それが偶然にも百合の夫であることを知り驚く。

 晃は、この山奥にある夜叉が池を訪ねた折、鐘楼守の老人から、日に3度鐘をつかなければ、夜叉が池に住む龍神が洪水を起こし、里は水没してしまうという言い伝えを聞いた。その話を聞いた直後に、この老人が亡くなった為、晃はこの里にとどまり、美しい里の娘百合と結婚し、ここに住むことになったのだった。

 ここまでは、ほとんど現代劇のような感じで劇が進行する。あまり歌舞伎としてのおもしろさがなく、かなり地味な舞台となっている。春猿は百合の役では、美しくおとなしい上品な妻を演じていた。だがこの役はこの人の持ち味にはあっていなかったように思う。春猿は、実際はシャキシャキした人なので、百合をうまく演じていたものの、ちょっとハマっていなかったような気がした。

 このあと、龍神の家来が登場するところから、本来の荒唐無稽な歌舞伎の世界が展開し、がぜんおもしろくなっていく。

 夜叉が池の龍神は、白雪姫(春猿の二役)という美しい姫君であったが、いとしい恋人のもとへ飛んで行きたいという強い願望をもっていた。しかし一度姫が動くと、里は大洪水となり、たくさんの人々や獣たちを犠牲にすることになる。姥や家来達はこぞってそれを押しとどめるのであった。白雪姫はとりわけ百合のことが好きで、「お百合さんを犠牲にできないわ。」といって、はやる心を落ち着かせるのだった。恋人への恋心を抑えかねる激しい気性の白雪姫は、春猿によく似合っていた。

 しかし、心無い里の役人や長老たちが、近年にない日照りに業を煮やし、百合を龍神の生贄に供えて、雨乞いをしようとする。夫晃や友人山沢と、役人達が差し向けたヤクザ者の争いを見て、百合は「私が死にます!」と言って、胸をかき切って自決するのだった。それを見て夫の晃も後を追って死んでしまう。

 そのことを知った龍神白雪姫は、おろかな役人や長老に怒りを覚え、大洪水を行き起こすのだった。この場面は、水が押し寄せるのに、水を描いた布が使われ歌舞伎らしい演出となっていた。

 白雪姫は、今や誰に気兼ねすることもなく、いとしい恋人のもとへと飛び去っていくのだった。

 

 第2幕は「海神別荘」である。これは、玉三郎と海老蔵の顔合わせて、素晴らしい舞台だった。特に舞台装置が非常にアーティスティックで美しく、白の大理石の円柱に、金色の貝殻が張り付いているようなのが舞台中央と左右に立っていた。その中央の太い柱が二つに割れて、海老蔵が登場するのだ。また、玉三郎と海老蔵が座る椅子も変わった形をしていた。赤珊瑚と黒珊瑚でできた椅子ということだった。

 衣裳は玉三郎のは白の衣裳だったが、全体がきらきらと輝いて夢のような感じだった。海老蔵の衣裳は黒でスパンコールがいっぱいで大変豪華だった。(美川憲一も真っ青?!)
 それからお女中衆の衣裳は、着物を変形させたもので、袖が三角に広がっていたり、すそもドレスのように広がっていた。
 また、美女の化身の白蛇の大道具も登場。これはかなりの長さがあって、とってもきれいだった。

 そして舞台の袖には本物のハープが置いてあり、ハープ奏者が場面ごとに合わせて演奏するのだが、その音楽は海の底をイメージさせ、うっとりするような音色だった。

 深海にある御殿で、公子(海老蔵)は陸からの美女(玉三郎)を待っていた。美女は公子に深く愛されていて、妻となって海底で一緒に暮らすことになっていた。

 美女はこの様子を陸の父親に報告したいと申し出る。しかし海神別荘に来てしまった美女は、もはや人間には白い大蛇のすがたにしか見えないのだ。だが、美女は一目父親に会いたいという思いを捨てきれず、陸に戻る。けれどもそこでは案の定、大蛇の姿の自分に父や人間は銃を向ける。美女はその態度に傷つき海底の公子の元に戻る。そして自分を大蛇の姿に変えてしまった公子を責めたてる。公子は、美女の父親は妾の女と楽に暮らすために、公子と取引して、財宝を手にしその代わりに美女を海に沈めることも厭わなかったという事実を話して聞かせ、いつまでも父を忘れようとしない美女に逆に腹を立てる。そして、剣を抜いて美女を刺し殺そうとするが・・・。

 玉三郎は歌舞伎の女形そのもので、海老蔵の曲がったことが大嫌いで男らしい公子に寄り添うようにまことに女らしかった。海老蔵とはかなりの年齢差があるはずなのだが、そのことは少しも感じさせなかった。昔は、海老蔵の父親の団十郎と組んで、「海老玉コンビ」ということで活躍していたのだから、その息子と同じように組んで芝居ができると言うことは、すごいことだ。やはり玉三郎は天才である。歌舞伎の女形になるために生まれてきた人なのだ。前にテレビで玉三郎のインタビューを聞いたことがあるのだが、彼は陸上競技のアスリートと同じくらいの体力があるのだそうだ。そうでなければ、花魁の衣裳のように、何十キロもある衣裳を身につけて芝居ができるはずがない。次はまた、正統派歌舞伎の玉三郎を見たいものだと思っている。

 
 この日は都合で日帰りで大阪に帰らなければならなかったが、遅い時間の新幹線にしたので、芝居がはねた後も充分時間があった。それで、前にソネブロの TaekoLovesParisさんに教えていただいた三越のJohannに行って、お茶した。ここは女性一人でも気兼ねなく入れてよかった。

 それから、お気に入りの「ブリヂストン美術館」にも行った。雨が降っていたので、三越前からタクシーを利用したのだが、運転手の人は美術館の場所を知らなかった。これにはびっくり。旅行案内を見せて場所を説明した。

 美術館は「夏の常設展」だった。ピエール・ボナールの「ヴェルノン付近の風景」は、木立と花の間から川が見え、その向こうに低い山が見えていてさわやかな絵だった。ピート・モンドリアンの「砂丘」という作品は、カラフルな色彩の絵で額が真っ白なのが、いかにも夏らしい感じがした。他にもたくさんいい絵があった。

 このあとプランタンに行った。ここでは7階で猫の手作り小物展をやっていたので、可愛い猫の箸置を購入した。それから、晩御飯も食べて帰ろうと思って、前出のTaekoさんお薦めの2軒目のお店にいった。これは、同じプランタンの7階にある「ヴェトナム・アリス」というヴェトナム料理のお店だった。ここではフォーと生春巻きのセットなどを注文。最後にベトナムコーヒーも味わった。店の雰囲気もよく、お値段も手ごろでいいお店だった。

 日帰りだったが盛りだくさんで充実した旅行になった。来月は友人に歌舞伎座の納涼歌舞伎に誘われている。いまどうしようか考えているところである。


 


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八月納涼歌舞伎には、わかぎゑふ脚本の新作舞踊劇「たのきゅう」がありますね。
心惹かれてはおりますが、八月は他の観劇が重なって忙しいので、観に行くのをあきらめております。
by (2006-07-23 23:19) 

coco030705

秋村さんへ
ご訪問ありがとうございます。
「たのきゅう」はわかぎゑふ脚本なのですか。おもしろそうですね。
私も迷います。暑いし、新幹線が混んでいるだろうし・・・。でも
捨てがたいですね。(^^)
by coco030705 (2006-07-24 01:16) 

TaekoLovesParis

Cocoさん、おはようございます。
私も行きたいと思って、すぐ電話をしたら、昼の部はもうすべて満席。
「一幕見(立ち見)にお並びください、通常は30分前からですが、今回は1時間くらい前にいらしていただかないとご入場できないかと、、、」
すごい人気!
並んでさらに立ってオペラグラスで見る、、疲れそう、、こんなに人気
があるなら、きっと再演があるでしょうと期待することにしました。
仕事に行かなくちゃ、、なので、続きあとで書きます。
by TaekoLovesParis (2006-07-24 08:38) 

TaekoLovesParis

上のコメントのつづきです。
今回は、現代劇ふうだったんですね。衣装も着物じゃなくてドレス風
だったんですって? Cocoさんの感想で、私が日生劇場で見た
同じ御両人の「海神別荘」に似ているってわかりました。同じ脚本かしら。はじめ文語調のセリフが聞き取れなかった。。。
玉三郎は美しいだけでなく、実に優雅な動きを見せてくれますよね。
菊之助と踊った「二人道成寺」今でも眼にやきついています。二人とも同じタイプの美形で、一生懸命ついていこうとする菊之助がいじらし
かった。
私もマネしたいような盛りだくさんコース。バラエティに富んでるけど、、
全部が3キロ四方くらいに収まってるから可能だったんですね。
食べるお店、喜んでいただけてよかったです。

8月もおもしろそうですね。せっかく東京に住んでるから行かなくちゃ、
ってCocoさんのブログを読むと、思いますよ。
by TaekoLovesParis (2006-07-24 21:57) 

coco030705

Taekoさんへ
niceとご丁寧なコメント有難うございました。
Taekoさんが日生劇場でご覧になった「海神別荘」と同じお話かもしれませんね。玉三郎と菊之助の顔合わせもステキですね。菊之助はだんだんよくなってきましたね。美しいです。
あと中村壱太郎(かずたろう)も結構注目の若手です。この人は、扇千景元国土交通大臣の孫です。この間大阪の松竹座で坂田藤十郎(扇さんのご主人)の襲名披露公演にでてました。
8月歌舞伎座は、3部制ですね。第3部の南総里見八犬伝がおもしろそうです。私も行けたらいきたいのですが・・・。
これからが夏本番、お身体おいといくださいませ。
by coco030705 (2006-07-25 14:39) 

coco030705

kimukanaさんへ
nice!ありがとうございます。
by coco030705 (2006-07-26 16:02) 

こんばんは。
盛りだくさんで、すごいですね~。ムダがない(笑)!
それにしても、タクシー運ちゃんが美術館知らないなんて、情けない。
学生の頃、土曜講座に通ったりしました。懐かしいです~。
最近体が重いので、ココさん見習ってがんばろう(笑)。
by (2006-07-28 22:05) 

coco030705

ERUNさんへ
nice&コメント&TBありがとうございます♪
さすが関東の方ですね。ブリヂストン美術館の土曜講座、私も
通ってみたいものです。ERUNさんは確か美大出身でいらっしゃるん
ですね。いいですね~。かっこいいわ。
最近歌舞伎の記事が多いですね。私もこれから、歌舞伎の記事も
アップしていこうと思ってますので、今後ともよろしくお願いしまーす☆
by coco030705 (2006-07-29 16:10) 

coco030705

Renさんへ
nice! ありがとうございます☆
by coco030705 (2006-07-31 21:15) 

Ren

cocoさん、nice!の押し逃げみたいになって失礼いたしました。
コメントありがとうございました☆彡
日帰りでの観劇、そして時間を無駄にせず効率よく計画しての
美術館にショッピングと精力的な活動に、感服いたしました。
また寄らせていただきます。よろしくお願いいたします。
by Ren (2006-08-01 15:21) 

coco030705

Renさんへ
ご丁寧にコメントをいただき嬉しく思っております。
色々楽しい記事をお書きになっていますね。
こちらこそ、宜しくお願いいたします。またお邪魔しますね☆
by coco030705 (2006-08-01 19:35) 

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