SSブログ

霧太郎天狗酒醼(きりたろうてんぐのさかもり) [演劇]


京都南座3階席から、舞台を望む。

 先日、京都南座の花形歌舞伎(若手の役者が出演する歌舞伎)に行って来た。お題は「霧太郎天狗酒森醼(きりたろうてんぐのさかもり)」である。

 時は鎌倉。---天狗の妖術を使い天下を揺るがす大盗賊・霧太郎(橋之助)。彼は天下を手中に納めようと画策、源氏の宝である白旗と名刀鬼切丸を奪う。
 一方、幕府の重臣・北条義時(勘太郎)は鬼切丸を霧太郎に奪われた罪により死罪になるところ、一命を助けられて刀の行方を捜す。
 義時の恋人、大磯の遊女・櫻木(七之助)と、薬売りの喜之平(愛之助)は、義時のために奔走するが、霧太郎の妖術によって、櫻木は源義経の娘・千代姫、喜之平は霧太郎の家来・厩屋喜三太であることが判明し、義理と人情のしがらみで苦悶する。2人を利用して大望成就を遂げようとする霧太郎であったが……。(パンフレットより)

 ところで、上の写真は開演前の舞台をとったものだが、今回は珍しく、舞台の上に文楽人形のような人形が並べてあって、役者が2人でてきて、人形を使ってあらすじを説明してくれた。こういうのは、今まで見たことがなかったが、わかりやすくて親切な感じがした。

 今回の公演は花形歌舞伎なので、役者のほとんどが若い人ばかりだった。だから、見た感じがとても美しかった。私たちは3階の3等席だったのだが、後半に宙乗りがあった。宙乗りは、3階席の一角に役者がひっこむ場所をつくっているので、橋之助と七之助を間近で見ることが出来た。丈夫そうなワイヤーロープでつっているとはいうものの、かなり怖いのではないかと思った。しかも、観客に向かって空中で演じて体を動かすのである。役者も大変だ。

 一緒に行った友達の言うには、最近の若手は石鹸の匂いがするみたいに、つるんとしてきれいだが、何か面白みに欠けるというのだ。勘太郎、七之助の父、勘三郎は若いときはもっとおもしろかったし、菊五郎(寺島しのぶの父)も若いが一味違う何かがあったと言っていた。

 今の若い人は優等生なのだろうか。確かに昔の役者はたくさんの女性と付き合うことによって、人生勉強してきたところがあるのかもしれない。「かぶく」という言葉が、「世間一般の人とは違う、奇抜な風体をしたり生き方をすること」という意味だから、それを地でいっていたといえるだろう。今の人も結構芸能界をにぎわしているものの、なんでも公にされるので、窮屈さは否めないのかもしれない。

 役者にとって「味」とはなんなのだろう。年齢を経ても味のない人はいる。ただ単に年を取るだけではだめなようだ。自分は役者なんだということをもっと強く認識して、臆することなく様々な新しいことにチャレンジすることが、その役者のエネルギーを高めるし、魅力にもつながるのではないだろうか。

 花形歌舞伎の役者さんたちも、変に縮こまらずに、これからも色々な役にチャレンジしてもっともっと「かぶいて」世間を騒がせてほしいものだ。




nice!(4)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 4

コメント 7

coco030705

DSilberlingさんへ
こちらにも、nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2007-03-12 16:16) 

みほりん

南座でしたか・・・あそこは3階だと舞台からかなり遠いですね。
歌舞伎の若手はそうなんですか~・・・せっけんの香り???
清潔なんですね(ふふふ・・・)
役者は色んな経験をして、華麗な華を咲かせて欲しいですね。(^^)
by みほりん (2007-03-12 22:41) 

coco030705

みほりんさんへ
こちらにもありがとうございます♪
せつ子さん、輝子さんたちと行きました。
私たちは大体いつも3階席なんですよ。南座は狭いですね。
この間は、南座でお弁当を買いました。高いのでめったに買わないんですが、
時間がなかったので・・・。「鴨川弁当」千円也。でも、これがすごーくおいしかったの。いろんなものが入っていてお味も良くてね。一度お試しあれ。
by coco030705 (2007-03-12 22:56) 

丹下段平

以前はよく歌舞伎座や新橋演舞場に観に行ったのですが、最近はすっかりご無沙汰です。市川猿之助が好きでした。ミーハーなので。あと菊五郎も好きですね。江戸っ子の役は彼が一番合ってる気がします。
南座は行ったことがありませんが、舞台の上に屋根があるんですか? それともこれはセットなんでしょうか? 面白いですね。
by 丹下段平 (2007-03-13 00:03) 

coco030705

丹下段平さんへ
nice&コメントありがとうございます♪
歌舞伎がお好きだったとは嬉しいですね。
猿之助、いいですね。以前はよく猿之助歌舞伎にも行きました。
最近はご無沙汰です。
私は片岡仁左衛門と坂東玉三郎が好きです。そのほか、吉右衛門、
勘三郎、染五郎なども好きですね。
南座の舞台は、こういう風に屋根があるようなつくりになっているんですよ。
セットではないんです。
関西は歌舞伎が来る回数が少ないので、毎月あったらいいのにと思っています。
by coco030705 (2007-03-13 01:02) 

TaekoLovesParis

「かぶく」という言葉、知りませんでした。なるほど~。
役者は御茶屋遊びが芸のこやし、なんていわれてましたね。
猿之助は宙吊りがウリでしたね。猿之助門下の笑也が好きでしたが、最近、
少し色香が衰えて(笑)
友だちが海老蔵の大ファンなので、おつきあいで結局、海老蔵を一番多く
見てます。今度はパリのオペラ座です。切符が高いのでびっくり。
南座の舞台、ほんと、すてきなつくりですね。いつか行ってみたいです。
by TaekoLovesParis (2007-03-13 23:21) 

coco030705

Taekoさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
「かぶく」は漢字で「傾く」と書きます。詳しい解説は語源由来辞典を
ご覧ください。
http://gogen-allguide.com/ka/kabuki.html

海老蔵は毎年パリオペラ座に招かれて、公演をしていますね。
海老蔵なら、「暫(しばらく)」や「毛抜」のような勇壮な役が好きです。
またパリのレポートを楽しみにしております。
by coco030705 (2007-03-14 02:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0