親密すぎるうちあけ話 [外国映画]
監督:パトリス・ルコント 出演:サンドリーヌ・ボネール、 ファブリス・ルキーニ、
2004年 フランス DVD
フランス映画は大人の恋愛を描くのがうまいと思う。これはちょっと変わった設定のストーリーだ。
税理士のウィリアム(ファブリス・ルキーニ)は、真面目で仕事熱心な男だ。もう若くない。最近パートナーに去られ、孤独な生活をしている。彼はビルの一室に事務所を構えている。ある日、一人の女性アンヌ(サンドリーヌ・ボネール)が事務所を訪ねてくる。彼は仕事の依頼者だと思い、オフィスに通して、話を聞き始める。彼女は暗い表情で夫との結婚生活について話し始める。それはあからさまな夫婦生活の話で、アンヌは夫とうまくいっていないのでその悩みを吐露するのだった。アンヌはウィリアムを同じ階の精神分析医モニエと思い込んでいたのだった。間違えて部屋に入って来たのだ。
ウィリアムはほどなくそのことに気付くが、魅力的な女性アンヌの話に引き込まれ、カウンセリングをつづけるのだった。
この映画は最初は、ミステリアスな雰囲気で始まり、アンヌがどこか精神がおかしな人物のように思える。どんな事件が起こるのだろうと、少し緊張しながら見ていくことになる。途中、アンヌの夫もウィリアムの事務所に現れたりして、殴り合いになるんじゃないか、と思ったりした。しかし、そうはならずアンヌの夫はウィリアムの心情を知り、「恋愛は不治の病だ。」という言葉を残して去っていく。
おかしかったのは、本当の精神分析医モニエ医師だ。ウィリアムはアンヌのことをどうしていいのかわからなくなって、モニエ医師に相談にいくのだ。彼はウィリアムに色々アドバイスする。そしてカウンセリングでもないのに、きっちり相談料をいただく。このモニエ医師の現実的なところが、なんとなくユーモラスだった。
また、ウィリアムの秘書のおばあさんもおかしかった。ウィリアムがアンヌのために暖かい飲み物を入れてくれるように秘書のおばあさんに頼むと、「私はお茶を入れるために雇われてるんじゃないわよ。」とブツブツいいなからも、お茶をサーブするのだ。(日本ではオフィスのお客様にお茶を入れるのが当たり前の仕事になっているが、外国ではたぶんそういうことはしないところが多いのだと思う。)
ウィリアム自身も変わったところのある男で、ブリキのおもちゃをコレクションしている。ちょっと子供のようなところのある男でもある。
さて、アンヌは途中からウィリアムが精神分析医ではないことに気付くのだが、彼のオフィスに通い続ける。アンヌの問題は解決するのだろうか。そして、ウィリアムはどんな行動を取るのだろうか。
最後は南仏の明るい光景と共に、大人の恋愛の小粋さを味わうことができるだろう。
あ~これ、銀座シネスイッチという単館上映の映画館で見ました。
暗い画面で、どうなっていくのか、はらはらしますよね。ルコント的心理サスペンス。ウィリアムは人違いに気づいても、アンヌの魅力のために黙ってるし、アンヌもまた間違えに気づいても吸い寄せられて通うでしょ。言葉だけで進行していく。
ひねりがきいていて。これはハリウッド映画と全く違いますね。フランス映画が人間探求っていわれるのは、こういうとこかな、と思います。
最後に画面が一転して太陽のまばゆい南仏になるのも、好印象でしたね。
パトリス・ルコントは、いい作品を創りますね。あんまり有名じゃないけど、ビデオ
で見た「パトリス・ルコントの大喝采」もおもしろかったです。
by TaekoLovesParis (2007-03-17 09:01)
ルコント、いいですよね。彼は独特の恋愛観を持っています。
by DSilberling (2007-03-17 09:40)
こんにちは。
パトリス・ルコント監督の「歓楽通り」はかなり前に映画館で観ました。
"無償の愛”の映画でした。いいですよ。
by キキ (2007-03-17 10:43)
秀逸な邦題ですね!しかもルコントの新作でしたか!
これは観ます!(半ば興奮)、観たらまた来ます!
by ken (2007-03-17 10:54)
Taekoさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
パトリス・ルコントはミニシアター系でメジャーではないですが、
いい作品がありますね。心理描写が上手な監督ですよね。
私は「橋の上の娘」が好きです。
DSilberlingさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
ほんとうですね。「独特の恋愛感」ですね。まだそんなに作品を
見ていないので、また続けて見たいと思っています。
キキさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
フランス映画のエスプリをかんじますね。「歓楽通り」は、未見ですので、
今度見てみますね。「橋の上の娘」はご覧になりましたか。
良かったら見てみてください。わたしはレビューも書いています。(かなり
前ですけど……。)
kenさんへ
コメントありがとうございます♪
そうなんですよ。このタイトルがうまいなあ!って感心しました。
女優さんもすごく雰囲気があってきれいですよ。ぜひご覧ください。
by coco030705 (2007-03-17 12:48)
こんばんは!
全作チェックするほどじゃないけど、ルコントは結構好きで、この作品も気になっていたんです。
ファブリス・ルキーニも好きだし、こちらのレビューを読んで、ぜひ見ようと思いました!
by トミュウ (2007-03-18 00:28)
トミュウさんへ
こんばんは☆
ファブリス・ルキーニって、どこかで見た顔だなと思っていたんですが、
エリック・ロメールの作品によく出てた人なんですね。「満月の夜」とか、
「四つの冒険」などは見ました。すごくよくしゃべる役だったと記憶してますが、
この作品では、ほんとうに生真面目な税理士そのものですよ。ぜひ、彼の
演技を楽しんでくださいね。
by coco030705 (2007-03-18 01:15)
パトリス・ルコント監督のここ数年の作品は全然観てません。台湾に住んでいるせいもあるのですが、こういう繊細な人の表情や言葉を切り取った映画に反応できなくなっているのかなと残念な気持ちです。でも、今回のココさんの記事を読んで、「ああ、やっぱりルコント作品を久しぶりに観てみたいなあ」と思いました。
ファブリス・ルキーニ!懐かしいです。この人、本当におしゃべりですよね。あれ、絶対アドリブだと思っています。
by 鯉三 (2007-03-19 01:33)
鯉三さんへ
nice&コメントありがとうございます♪
フランス映画は、人間について深く探っていく傾向があるので、
ときには暗くてどうしようもない、という作品もありますが、この映画は
そんなことないですよ。むしろ大人の恋愛の粋さというか、男の人の
かわいらしさがうまく描かれています。
さすが、エリック・ロメール好き(?)の鯉三さん。良くご存知ですね。(^^)
by coco030705 (2007-03-19 07:19)
観ました。
面白かった~。しかもこれは究極のエロじゃないですか。
ルコント久々の当たり映画ですね。
紹介してくださってありがとうございます!
by ken (2007-04-01 00:56)
kenさんへ
nice&コメント&TBありがとうございます♪
おもしろかったでしょう!セリフが色っぽいですよね~。
サンドリーヌ・ボネールは雰囲気があってきれいですね。ヨーロッパ系の
女優さんってなんでこんなに雰囲気があるんでしょうね。うらやましいです。
by coco030705 (2007-04-01 20:32)
こんばんは♪ お久しぶりです。
これ、素敵な作品でしたね。
私も最後までドキドキしながら観ました。
ボネールは近年では「灯台守の恋」「マドモアゼル」
を観ましたが、表現力の素晴らしい女優さんだと
改めて思いました。
by Naka (2007-04-02 01:05)
Nakaさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
お久しぶりです。お元気そうですね。(^^)
いい映画でしたね。ルコント、うまいですよね。
私はこの映画で、サンドリーヌ・ボネールが好きになりました。
「灯台守の恋」もぜひ見たいと思っています。
by coco030705 (2007-04-02 01:19)