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それでも恋するバルセロナ [ウディ・アレン]

 当然のことだが、ハビエル・バルデムとペネロペ・クルスにはスペイン(バルセロナ)がよく似合う。溶け込んでいるといったほうがいいのか、2人とも水を得た魚のようだった。

 フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)はプレイボーイの画家である。彼は街のバル(パブ)で、休暇をスペインで楽しみ開放的な気分になっているアメリカ人の女性連れ、クリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)とヴィッキー(レベッカ・ホール)を、小旅行に誘う。既に婚約中のヴィッキーは嫌がるが、奔放な考え方のクリスティーナに引きずられて、3人で出かけることになる。
 しかし、そこに現れたのが、フアン・アントニオの元妻で、情熱的な芸術家マリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)だった。この四角関係はいったいどうなるのか!


バルセロナ1.jpg
  ハビエル・バルデム/ペネロペ・クルス/スカーレット・ヨハンソン

 ウディ・アレン監督がヨーロッパに居を移して撮影した作品の第4弾である。ウディらしいコメディタッチと、思いがけない展開の恋愛模様に、飽きることなく楽しめる。
 ペネロペ・クルスがとても魅力的だった。情熱のかたまりのような女性アーティストの役で、激しく奔放な彼女の性格を、ペネロペ自身であるかのように演じて、第81回アカデミー賞助演女優賞を受賞した。
 スカーレット・ヨハンソンは、アメリカ人の奔放な若い女性の役だが、ペネロペと比べると、背伸びしている女子高生であるかのようだった。でも、彼女のかわいさがなかったら、あまりにも濃くなりすぎて、ウディ映画にはなりえなかったと思う。
 ハビエル・バルデムはここではプレイボーイの画家の役である。のっけから、クリスティーナ(スカーレット)とヴィッキー(レベッカ)を口説きにかかるのである。周知のように、彼は色々な役を演じ分けることができる実力派なのだが、この役では色男のオーラを発散していた。ハビエルは、スペインにいるときはいつもこんな風なんだろうかと、つい想像してしまうくらいだった。

 ウディ・アレンの人物像を描き分けるうまさは、際立っていた。奔放で自由な女性クリスティーナ(スカーレット)、堅実で常識人のヴィッキー(レベッカ)、色男のフアン・アントニオ(ハビエル)、情熱的でどこか常軌を逸しているマリア・エレーナ(ペネロペ)、この4人に加えてヴィッキーのおば夫妻や婚約者など、様々な登場人物がそれぞれの個性を発揮して、セリフ劇のおもしろさを生み出していた。


バルセロナ2.jpg


 それに加えて、バルセロナという街の魅力もたっぷり堪能できる。ガウディのサグラダ・ファミリアは映像の中でもやはり美しく、心を惹きつけられた。またスペインのパブ、「バル」のいい雰囲気や、ギターのソロ演奏も楽しめる。このギターの音色が落ち着いていてしかもスペイン情緒にあふれていて、素敵だった。ギタリストもハンサムだ。

 ウディ・アレンがインタビューで言っていたのだが、なぜヨーロッパに移ったかというと、別にニューヨークが嫌いになったわけではないのだそうだ。アメリカでは、映画にお金を出す人が色々口出してきて、好きなように作品が撮れなかったので、ヨーロッパに行ったとのこと。ヨーロッパはお金をポンと出して好きなようにやってくれといわれるだけで、一切口出しがないらしい。すばらしいことですね。

 この作品は、第66回ゴールデン・グローブ賞作品賞(ミュージカル・コメディ部門)も受賞している。アレン監督面目躍如といったところである。

 喜劇でも悲劇でも、早く次回作が見たいものだ。

原題:Vicky Christina Barcelona  監督:ウディ・アレン
出演:ハビエル・バルデム、 ペネロペ・クルス、 スカーレット・ヨハンソン、 レベッカ・ホール、 
パトリシア・クラークソン、 ケビン・ダン
2008年  スペイン/アメリカ  DVD

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コメント 21

Sora

おはようございます。
ハビエル・バルデムは初めて聞く名前の役者さんです。
どんな演じ方をするのか気になります(^^)
ペネロペ・クルスと外見的にも対照的なスカーレット・ヨハンソンは「真珠の耳飾りの少女」で知りました。
好きな女優さんなのでこの映画も見てみたいです。

by Sora (2010-05-12 08:08) 

coco030705

Soraさんへ
nice&コメントありがとうございます♪

私がハビエル・バルデムを初めてスクリーンでみたのは、「海を飛ぶ夢」という映画で、尊厳死を描いたかなり考えさせられる作品でした。↓にURLを貼ってますので、よかったらレビューを読んでみてください。
http://blog.so-net.ne.jp/April2605/2005-05-05

彼はアカデミー賞や色々な賞に輝く実力派です。映画によってまったく違った個性の人物を演じ分けることが出来る俳優さんなんですよ。おもしろい人です。
この映画のハビエルも、とっても魅力的ですよ。

by coco030705 (2010-05-12 19:14) 

coco030705

あんれにさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪


shinさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪



by coco030705 (2010-05-12 19:22) 

coco030705

WIZARDさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-12 21:24) 

coco030705

plotさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪

by coco030705 (2010-05-12 23:55) 

coco030705

Travelerさんへ
こんにちは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-13 17:49) 

ken

この映画で一番僕が感心したのは、ハビエル・バルデムのスタミナですね。
これだけの女性を相手にしながら、疲弊感が微塵も感じられないのはスゴイと思いました。
バルセロナの街並みが、ベタに切り取られているのも好きでした。
by ken (2010-05-13 22:48) 

aranjues

WOWOWでやって、HDに入っています。
観るのは1週間後くらいかな。
by aranjues (2010-05-14 08:23) 

coco030705

kenさんへ
こんにちは。nice&コメントありがとうございます♪

ハビエル・バルデムって、けっこうセクシーですね。今までそんなに感じなかったんですが、この映画の役だったら、女性にもてそう~。女性に強そうですネ。(笑)
まるで観光案内みたいなバルセロナの映しかたは、アメリカ人やその他の国の人がスペインにいったとき、「わ~すごい!」というような視点で撮ったのかも。おもしろいですね。

by coco030705 (2010-05-14 19:18) 

coco030705

Taekoさんへ
こんにちは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-14 19:19) 

coco030705

aranjuesさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます♪
感想を楽しみにしております。(ご趣味に合ったらよろしいんですが・・・。)
by coco030705 (2010-05-14 19:21) 

Naka

こんばんは。
楽しそうな映画ですね♪
ハビエル・バルデムは、カメレオン俳優というイメージですが、
cocoさんのレビューを読ませていただくと、
この作品の役もすごく彼に合ってるんじゃないかな、、と想像します(^^
ウディ・アレンの映画は、ショーン・ペン主演のくらいしか観ていないので、
この作品を手始めに、いろいろ観てみようかなと思っています!
by Naka (2010-05-15 00:32) 

TaekoLovesParis

コメントが遅くなりましたが、私もこれ、GWにレンタルDVDで見たんですよ。
おもしろかったです。「バルセロ~ナ」っていうテーマソングが耳に残ってます。
あの音楽の軽快さにあわせたテンポで話がすすむんですよね。会話部分は、まさにウッディアレンぶし。ぽんぽんぽんと話すでしょ。どの映画でも歩きながら話す部分が多いですよね。
クリスティーナより、ヴィッキーのほうが、感情を揺さぶられる場が多いので、
表情が、そのたびに変わりますね。大人の悩みですね。レベッカ・ホール、初めて見る女優さんだけど、さりげなくうまいんでしょうね。
ペネロペは、とんでる、いえ、いっちゃってる役、すごいですね~!何でもできるんですね。
見終わって考えると、なぁんだ、あのアーティストカップルに振り回されただけ?っていう感じがしちゃいましたけど、ま、これも人生のワンシーンかな、って
納得。
by TaekoLovesParis (2010-05-15 01:05) 

coco030705

Nakaさんへ
こんばんは。nice! &コメントありがとうございます♪

>ハビエル・バルデムは、カメレオン俳優
ほんとですね~。さすがNakaさん、彼にはこの名がピッタリです!(^^)
この作品の役も、演技なのか地なのかわからないくらい、けっこう魅力的でしたよ。「海を飛ぶ夢」の人とは思えないくらい、ちがったかんじでした。ハビエルはすごいですね。
ウディ・アレンは人によって好みがわかれますよね。彼の作品は、やはりコメディのほうがいいかなとおもいます。よかったら、これも観てみて下さいませ。

by coco030705 (2010-05-15 01:38) 

coco030705

Taekoさんへ
こんばんは。nice! &コメントありがとうございます♪

Taekoさんもご覧になりましたか。音楽よかったですね。
ウディの映画は何気ない会話が、どうやって脚本書いてるのかって思うほど、
うまいですね。
ヴァイッキーは、すごい常識人というか、まともな人でした。私は自分に一番近いような気がしました。レベッカ・ホールの持ち味にあってたような気がします。
私はスカーレット・ヨハンソンが好きなので、クリスティーナってすごくかわいい!と思いました。彼女の衣裳もよかったです。着こなしがいいと思うんですけど、何気ないカジュアルファッションなんだけど、お洒落でした。
ハビエルとペネロペは、今更いうまでもないんですが、最高でしたね。この2人の出現のお蔭で、ストーリーがグンと盛り上がりましたもの。
早くウディの新作をみたいです。
by coco030705 (2010-05-15 01:51) 

トミュウ

ハビエル・バルデムのモテっぷりが印象的な作品でしたね。
ペネロペ・クルスはもちろん、スカーレット・ヨハンソンもレベッカ・ホール
も皆それぞれ個性があって良かったです。
バルセロナを撮るならこう撮るべし!と言わんばかりの鮮やかな映像も
良かったです。

by トミュウ (2010-05-15 22:56) 

coco030705

トミュウさんへ
こんばんは~。nice! &コメント&TBありがとうございます♪

面白い映画でしたね。ハビエルって、こんな柔らかい役もいいですね。
ペネロペはすごく魅力的でした。念願のオスカーがとれて、よかった。
ウディ・アレン作品にでた人は、けっこうオスカー受賞してますよね。
スカーレットもレベッカも、それぞれにキャラクターがはっきりしていて、
しかもその俳優に合った役柄を演じていたように思います。脇の人たちも
うまかったですね。
バルセロナの街の魅力も堪能できて、最高にいい気分でした!
アレン監督次回作は、喜劇でしょうか、それとも悲劇かしら。楽しみで~す。
by coco030705 (2010-05-15 23:11) 

hash

W・アレンらしい話でした。
“バルセロナ~”という主題歌が印象的で、しばらく、頭の中を駆け回っていました。^^
by hash (2010-05-16 00:52) 

coco030705

hashさんへ
nice! &コメントありがとうございます♪

アレン監督お得意のラブストーリーで、しかもスペインの名優が2人も出るという
豪華版!おもしろかったです。バルセロナの街の風景は、まさにおのぼりさん状態だったかもしれませんね。(もちろん、わざとでしょうけど。)
by coco030705 (2010-05-16 01:43) 

non_0101

こんにちは。
本当に2人とも“水を得た魚”でしたね。
特にペネロペ・クルスの演じた情熱的な元妻の激しさには圧倒されました~
でも、あんなに激しくても可愛く見えてしまうのはさすがですよね(^^ゞ
by non_0101 (2010-05-18 21:17) 

coco030705

nonさんへ
こんにちは!nice! &コメントありがとうございます♪

ペネロペはとても魅力的な女優さんですね。好きです。
この映画でアカデミー賞をとれてよかったわ。
これからも色々な役に挑戦してほしいですね。
by coco030705 (2010-05-18 21:58) 

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