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ヒア アフター [外国映画]

 クリント・イーストウッドが今までの彼の作品とはまったく違ったテーマで、すばらしい映画を創った。今回は、死後の世界がテーマである。マット・デイモンも今までになかったような、サイキック(霊能者)の役で登場する。


ヒアアフター3.jpg


 フランス人ジャーナリストのマリー・ルレ(セシル・ド・フランス)は、東南アジアで恋人とバカンスの最中、突如大津波に襲われ、巻き込まれてあやうく死にかけるが、現地の人に救われる。だが彼女は、臨死体験をする。それは不思議な光景で、ただの幻想とは思えなかった。彼女はジャーナリストとして復帰するが、仕事に身が入らず、追い出されるように職を失う。マリーは自分の体験と見た光景(ビジョン)を本に書こうと決心し、出版に向けて準備を始めるのだった。
 サンフランシスコでは、ジョージ(マット・デイモン)が工場でリストラに合い苦しんでいた。彼はかつて霊能者として活躍し、サイトも持っていたのだが、自分の能力を呪いだと思い、今は普通の労働者となっているのだった。ジョージは料理学校で美しい女性と知り合うが、彼女の手を握った瞬間に彼女の過去を知ってしまい、それが女性を傷つけ彼女は去っていく。ジョージは兄のすすめでもう一度霊能者としてオフィスを構えようとするが、嫌になってロンドンに旅立つ。
 ロンドンでは、少年マーカス(フランキー・マクラレン)が双子の兄ジェイソンを突然の交通事故で失い、しかも母親が麻薬中毒者でマーカスは里親のもとで生活することになった。孤独な彼は兄ともう一度話したいと願い、サイト検索で探し出した4,5人の霊能者を訪れるが、だれも彼の希望をかなえてはくれなかった。とうとう最後に、マーカスはジョージの古いサイトに行き着く。しかし、彼は今はもう連絡もとれなくなっていた。だが運命はジョージとマリーをロンドンに呼び寄せ、3人は偶然出会うのだった……。


ヒアアフター2.jpg


 まず映画としてとても面白かったと思う。津波の場面はTVでも流されているのだが、大画面で見ると迫力満点だ。このあたりは製作総指揮にあったスピルバーグの腕の見せ所だろう。
 3人の主な登場人物である、マリーとジョージとマーカスの生活が観客に納得できるように、丁寧に描かれていた。それぞれが人生に行き詰まる出来事が起こり、そこから立ち直っていく。
 人間死んだらどうなるのか、死者は生きている者たちに何を語りたいのか、それをクリント・イーストウッドはジョージに語らせる。それは、生きている人たちを温かく見守る言葉であり、前向きに人生を歩ませる言葉であった。


ヒアアフター1.jpg


 私自身は人間が死んでも魂は残ると思っている。映画の中にもセリフで、人間が死んだら、スイッチが切れるように終わり、あとは闇しか残らないという風なものが出てくるが、私はそうは思わない。死んでも何かが残るのだと思う。それは科学では証明できないが、本など読んでいると目に見えないものはあるんだろうなという思いが強くなる。

 だがクリント・イーストウッドが言いたかったのは、死後の世界があるかどうかという議論ではない。親しい人との別れはつらいものだが、生きている人間はその人の分も生きなければいけないということではないだろうか。悲しんでばかりはいられない。魂は私達を見ているのだ。
 死者が語りたいことは、生前のその人が語っていたことに尽きると思う。すなわち、自分の人生をしっかりと歩み、充分に味わえということだと思う。

 映画の最後には素敵なシーンが用意されていて、監督の人柄の温かさを感じたのだった。

原題:HEREAFTER   監督:クリント・イーストウッド  製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ   
出演:マット・デイモン、  セシル・ド・フランス、  フランキー・マクラレン、   ジェイ・モーア
フライス・ダラス・ハワード
2010年 アメリカ     TOHOシネマズ梅田


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coco030705

xml_xslさんへ

こんばんは。いつもnice!ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-02-22 01:35) 

キキ

こんにちは。
死後の世界というより、今をどう生きることが大切かを
語っている映画でしたね。
イーストウッド監督の次回作も楽しみです。^.^
by キキ (2011-02-22 08:01) 

夢路

私も先週末、見てきましたよ。

友人に臨死体験をした人がおり、うちの旦那は、子どもの頃、この映画のジョージと同じ病気をして死にかけ(臨死まではいかないけど、三途の川が見えたそうです。幸い嵐で、舟が来ず、渡れなかったのだとか・・・)、、、

そういうわけで、何かと霊感の強い人が、近くにいるので、この映画は単なる物語、としてではない見方ができました。
by 夢路 (2011-02-22 17:30) 

coco030705

キキさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪

おっしゃるとおり、これはクリント・イーストウッドがいつも描いている、
理不尽なものをいかに人間は乗り越えていくかという深いテーマだと
思います。おもしろい映画でした。
次回作が早くも楽しみですね。(^^)
by coco030705 (2011-02-22 20:02) 

coco030705

夢路さんへ
こんばんは。nice&コメント&TBありがとうございます♪

夢路さんのご主人様のお話がおもしろいですね。
クリント・イーストウッド自身も、映画という世界に身をおいている人だから、
色々体験しているかもしれませんね。興味あります!(^^)
でも描きたいものは一貫性があって、人間いかに理不尽な出来事を乗り越えて、前向きに生きていくかということだと思います。

by coco030705 (2011-02-22 20:07) 

coco030705

GONさんへ
こんばんは。いつもnice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-02-22 22:35) 

てくてく

こんばんは^^
いつもながらイーストウッド監督には唸らされますね。
最初、テーマがいつもと違うのかな?と思ったけれど
観てみるとやはり監督らしい映画だと感じました^^

死を通じで生きる大切さを描いていましたね。
希望を感じるラストでとても良かったです^^
by てくてく (2011-02-22 22:47) 

coco030705

てくてくさんへ
こんばんは。nice&コメント&TBありがとうございます♪

やはりクリント・イーストウッドはすばらしい監督ですね。
映画のツボを知り尽くしているし、人間性が豊かな人だと
思いました。

生きるって、楽しくなくちゃいけなんだなということをこの作品から
学びました。ラストの明るさが好きでした。
by coco030705 (2011-02-22 23:36) 

TaekoLovesParis

いい映画ですね~。とっても見たいです。
イーストウッドも今の年齢になったから、こういう映画を作ったのかしら?
迫力の津波シーン、ニュージーランドでの地震のあとで、恐い気もする
けれど、スピルバーグならでは、を見てみたいです。
by TaekoLovesParis (2011-02-24 22:05) 

coco030705

Taekoさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪

ニュージーランドでこんな大地震が起こるとは思いませんでした。被災者の方が早く救出されることを心から祈っています。

映画のほうの津波のシーンはうまくできてますよ。大監督スピルバーグが
イーストウッドに協力するということは、すごく尊敬しているということですね。この「ヒアアフター」はイーストウッドの年齢と関係があると思います。
やはり色々な経験をしてきてこそ、こういうテーマを取り上げたくなったんでしょうね。ストーリーはいつものように前向きのお話で、不気味さはまったくありません。誰でも楽しめる作品になっていますよ。
by coco030705 (2011-02-24 22:13) 

coco030705

青山実花さんへ
こんにちは。ようこそ。nice! ありがとうございます♪

by coco030705 (2011-02-26 18:16) 

トミュウ

こんばんは。
わたしも昨日見てきました!
そうですね、やはり生きている人間がどう生きて行くかが大事なんだよ
というテーマがとても温かく描かれていて良い作品でした。
イーストウッド、次回作も楽しみですね!
by トミュウ (2011-02-27 19:28) 

non_0101

こんばんは。遅ればせながらお邪魔します(^^ゞ
出だしは迫力ある映像に飲み込まれたのですけど、
段々と救いの感じられる展開に引き込まれました。
ラスト良かったですよね。
観終わった後に暖かい気持ちになれる作品でした☆
by non_0101 (2011-02-27 22:51) 

coco030705

トミュウさんへ
こんばんは☆nice&コメントありがとうございます♪

よかったですね。生きていく勇気をもらえるような作品だったと
思います。イーストウッドにはまだまだがんばってほしいものですね!
by coco030705 (2011-02-27 23:34) 

coco030705

nonさんへ
こんばんは☆nice&コメント&TBありがとうございます♪

クリント・イーストウッドの底力を感じましたね。
どんなテーマでも人間的な温かさを感じさせる作品が
創れるのは、すごいことですね。
次回作はどんな作品かとても楽しみです。

by coco030705 (2011-02-27 23:41) 

coco030705

Soraさんへ
こんにちは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-03-01 15:40) 

TaekoLovesParis

cocoさん、見てきました!
昨日の「ソウル・キッチン」に比べると、ハリウッド映画だな~って思いました。お金かかってるし、洗練されていて、ムダがない作り、すばらしいです。
いきなり、津波なので、引き込まれますねー。

フランス人ジャーナリストは、TVのレポーター。フランスはTV局が少ないから、レポーターは有名人。だから携帯電話の広告にも出てるんでしょう。ミッテランの本を書くのも、有名人で、フランス人は政治好きだから、ベストセラーまちがいなし、なんですよ。だから、ロンドンで泊まるのも、セレブ御用達のMayFair。洋服もすてきでした。

ロンドンの設定も上手ですね。地下鉄のチャーリング・クロス駅になって
るけど、地下鉄同時爆破事件を想定してますよね。写真屋さん(カメラが
NIKON!)で、記念撮影をするのも何かの偶然のような気がしました。
兄を亡くしてから、ずっと、男の子は不気味なほどの無表情。いたいたし
かったです。Googleで、死後の世界を調べるのは、やはり現代の子ですね。

マット・デイモン、二重あごが目立って、人生の敗北者っぽく、なりきってましたね。でも、料理教室で彼女に会ってから、急にいきいきと楽しそうだったけど。。ここら辺も、深いですね。
ラストシーンがよかったです。ほっこり温かい気持ちになって帰れますね。
(とっても長くてごめんなさい。)
by TaekoLovesParis (2011-03-04 01:21) 

coco030705

Taekoさんへ
ご感想をかいていただき、有難うございます!
とても興味深く読ませていただきました。

>洗練されていて、ムダがない作り
ほんとですね。クリント・イーストウッドのドラマって
いつもそう感じます。女性の衣裳なんかも素敵ですよね~。
この作品のセシル・ド・フランスの衣裳もよかったし、「チェンジリング」の
アンジーの衣裳もとてもきれいでした。イーストウッド監督って、女性に
やさしいんでしょうね。いいわ!

双子ちゃんですが、子供でもパソコンを使いこなしている姿はやっぱり
現代っ子だなと感心しました。

マット・デイモンも最初は冴えなかったけど、だんだん本来の彼の魅力が出てきて、最後は素敵でしたね。

さすがクリント・イーストウッド監督、すばらしいデキでした。


by coco030705 (2011-03-13 14:51) 

coco030705

munesueさんへ
こんにちは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-03-31 18:29) 

coco030705

hashさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-04-23 22:19) 

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