「一つのメルヘン」
秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といっても、まるで硅石(けいせき)か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……
中原中也詩集(河上徹太郎編)より
2011-03-19 23:42
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コメント(9)
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共通テーマ:日記・雑感
こんばんは。
きれいな詩ですね~
思わず風景を想像してみたくなりますね(^^)
あ、この記事で300ですね☆
by non_0101 (2011-03-20 00:42)
nonさんへ
こんにちは。nice&コメントありがとうございます♪
いいでしょう?中原中也は大好きな詩人なんです。
これはなんだか不思議な詩で、気に入っています。
キリ番の300nice! に気付いてくださって、嬉しいです☆
これからもよろしくお願いいたします。
by coco030705 (2011-03-20 10:24)
tomoartさんへ
こんにちは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-03-20 10:26)
丹下段平さんへ
こんにちは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-03-20 10:27)
<ゐるのでありました。> <ゐるのでした。>
→ という行末の響きがいいですね。
情景が浮かんでくる詩ですね。
大学の時の友達が、卒論で、中原中也の「サーカス」をとりあげ、
間に合わないから、手伝ってと電話があって、清書を手伝ったの
ですが、字が違うのが混じってる、マジメじゃないt、と、彼女は、
半年遅れの卒業になってしまいました。(今ならワープロでOK
だったのにね)
だから、ブランコの「ゆあーん、ゆよーん」、は、思い出深いです。
by TaekoLovesParis (2011-03-20 21:22)
Taekoさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪
ほんとうですね。行末の響きがすばらしいですね。
「サーカス」も好きな詩です。「ゆあーん、ゆよーん」は私も
はじめて詩を読んだときから、頭の中にこびりついています。
不思議な擬態語ですよね。
お友達大変でしたね。今なら絶対わからないのに!
by coco030705 (2011-03-20 22:21)
nonさんへ
キリ番は、niceじゃなくて記事のほうでした。すみませ~ん。(^^)
by coco030705 (2011-03-20 22:29)
Soraさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2011-05-11 21:04)
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by 안전놀이터 (2023-11-01 12:36)