SSブログ

ニューヨーク公共図書館(エクス・リブリス) [外国映画]

 ニューヨーク公共図書館といえば、世界中の図書館員の憧れの的であるということを、この作品を観るまでは知らなかった。これはドキュメンタリーの巨匠と呼ばれるフレデリック・ワイズマン監督がとらえた、この図書館の舞台裏である。


NY2.jpg


 19世紀初頭の荘厳なボザール様式の建築物である本館と92の分館に6000万点のコレクションを誇るニューヨーク公共図書館は、地域住民や研究者たちへの徹底的なサービスでも知られている。


NY1.jpg


アメリカを代表する図書館、ニューヨーク公共図書館はタイムズスクエアとグランドセントラルの中間に位置し、本館と92を超える分館に6000万点のコレクションを誇る世界屈指の知の殿堂。地域の住民はもちろん、研究者たちへの徹底的なサービスで、世界中の図書館員の憧れの図書館として知られている。


NY3.jpg


ワイズマンは「私は昔から公共図書館が大好きで、色々なことを学び発見し、驚きや刺激をもらえる場所として利用してきた。しかし、この映画を作って初めて、ニューヨーク公共図書館の奥深さ、領域の広さ、本館と92の分館ですべての階級・人種・民族を対象にした幅広いサービスを提供していることを知ることができた。また、膨大な蔵書やコレクション、幅広い活動プログラムに魅力を感じるとともに、さまざまな分野で助けを求めてやってくる人々の相談に乗っているスタッフの本気度と熱意にも惹かれた」と語る。


NY5.jpg


 タイトルの「エクス・リブリス」とは、「~の蔵書より」という意味のラテン語で、「蔵書票」「図書票」とも訳され、本の持ち主を明らかにするため、本の見返し部分に貼られている小紙片を指す。ワイズマンはタイトルにこの言葉を加えた理由を、「一種の内輪ジョークでもある。僕の義父が、蔵書のすべてにエクス・リブリスという文字と自分の名前を表記していたからね」と説明している。


NY6.jpg


 この映画を観て、特にこの図書館が、黒人の居住地区でも色々な知的な役割を果たしていることに驚いた。そして黒人の政治家が、ある集会で、この図書館の古い資料によって、黒人問題の裁判に勝訴したとスピーチしていた。

 「図書館は本の倉庫じゃない。図書館は人々の知的な活動に役立つものであって、その人の人生における勉強や知的活動に一生役立ち、貢献するべきものだ」と述べていた人がいた。
 図書館の役割というものを、改めて見つめ直すべきだと思いました。
 
 3時間という長尺のドキュメンタリーであり(途中インターミッションあり)、全てがナレショーンなしの、登場する人々の言葉で綴られている。しかし、決して退屈することがなかった。やはり監督の才能なのか、それもあるだろう。だがそれよりも、人々の熱のこもった言葉こそが、観客に強く訴えてくるのである。とても面白い映画だった。ぜひご覧ください。第74回ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。


原題:EX LIBRIS: THE NEW YORK PUBLIC LIBRARY
監督:フレデリック・ワイズマン
2016年 アメリカ




nice!(37)  コメント(46) 
共通テーマ:映画