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アマンダと僕 [外国映画]

 24歳の青年ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)は、人生の方向が定まらないが、便利屋として色々なことをして生計をたてていた。彼はスイスからパリにやってきたレナ(マティシー・マーティン)という美少女と仲良くなり、うまくいっていた。両親は離婚していたが、仲の良い姉のサンドリーヌ(オフェリア・コルプ)がいて、姪のアマンダ(イゾール・ミュルトリエ)を可愛がっていて、それなりに生活は充実していたのだ。


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 サンドリーヌとダヴィッド


 ところがある日、ダヴィッド、姉のサンドリーヌ、レナが待ち合わせていた大きな公園で無差別テロがおこり、姉がそれに巻き込まれて、突然この世を去ってしまう。そして、ダヴィッドの恋人レナもこのテロで腕にケガをし、そのせいでパリが嫌になって、スイスの実家に戻ってしまうのだった。
 このシーンは、衝撃的だった。ヨーロッパでは、テロが日常茶飯事に近いものになっているのかもしれない。それまでの、日常の幸せなシーンから一変したのが、とても怖いと思った。


 姉の死後、姪のアマンダ(イゾール・ミュルトリエ)をどうするか友人に問われたとき、「子育てなんて心の準備ができていないし、頼る人もいない」とダヴィッドは泣き出してしまう。かなり頼りない叔父さんだ。


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 そして、ダヴィッドの家とアマンダを預かってくれる親戚との家を行き来しているとき、アマンダが「ダヴィッドと暮らしたい」という。


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 アマンダはダヴィッドが大好きで、必要としていた。他の誰かではなく、自分こそが、アマンダの後見人になるべきだと、ダヴィッドは気付くのだった。

 この作品では、自転車のシーンがたくさん出て来る。ダヴィッドと姉のサンドリーヌは自転車で早さを競い合う。姉と弟の仲の良さが伝わるシーンだ。そして、アマンダは母親を失ったとき、ダヴィッドの自転車の後ろに乗って、力なくダヴィッドの背中に顔を寄せている。
 けれども、最後に二人は、かつての姉と弟のように、自転車でスピードを競って、駆け抜けていく。

 私は自転車に乗らないし、この頃の自転車は、怖いと思っている。けれども、この映画のアマンダとダヴィッドにとっては、自転車は二人の心を結び付ける大事な物なのかもしれない。車ではなく自転車を重要なシーンに使ったのは、2人の表情や気持ちがよりよくわかるからだろうか。

 テロのシーンなどがあり、ちょっと気持ちが沈むところもあるのだが、それを乗り越えて生きていくダヴィッドとアマンダが、とても晴れ晴れとしていて、いい作品だと思った。付け加えておくと、ダヴィッドは恋人のレナとは再会し、お互いの気持ちが変わっていないことを確かめ合った。


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 ダヴィッドとレナ 

 この映画は、2018年・第31回東京国際映画祭で最高賞の東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞している。


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原題:AMANDA  監督:ミカエル・アース  出演:ヴァンサン・ラコスト、
イゾール・ミュルトリエ、 マティシー・マーティン、 オァフェリア・コルプetc.
2018年 フランス




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