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ロケットマン [外国映画]

 エルトン・ジョンの曲はとても好きでよく聴いていたので、「ロケットマン」を観てみました。私はコンサートは一度も行ったことがなく、ド派手な衣装に驚きましたが。彼は、グラミー賞を5度受賞しているんですね。すごい才能の持ち主だったんだと、改めて思いました。


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 この映画はちょっと変わっていて、普通にストーリーが進行して行って、歌の部分になると突然ミュージカルになる。そして、エルトンを演じているタロン・エガートン自身が歌うのだ。彼の声はエルトンに似ていて、上手いと思う。


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 オレンジの衣装で立っているのがエルトン・ジョン(タロン・エガートン)
 

 イギリス郊外の町で育った少年レジナルド(レジー)・ドワイト(後のエルトン・ジョン)は、音楽の才能には恵まれていた。しかし、母親は子供に無関心で、遊び歩くのが好きな女性、父親も自分の趣味に没頭して、子供には興味がなかった。そんな中、祖母だけは、エルトンをかわいがってくれ、王立音楽学校にも送り迎えしてくれる。彼は学校でもピアノの才能を発揮した。


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  祖母とレジー(エルトン・ジョンの少年時代)


 やがてロックに傾倒し、ミュージシャンを目指すことを決意したレジーは、「エルトン・ジョン」という新たな名前で音楽活動を始める。そして、後に生涯の友となる作詞家バーニー・トーピンとの運命的な出会いをきっかけに、成功への階段を昇り詰めていくのだが……。


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ピアノの前のエルトンの右後ろにいるのが、バーニー・トーピン(ジェイミー・ベル)

 ↑のシーンは、ユア・ソングをエルトンが作曲している場面。エルトン・ジョン本人の歌う「ユア・ソング」をおききください。


https://youtu.be/GlPlfCy1urI
  ユア・ソング(僕の歌は君の歌)


 エルトンの人気はすごいものになり、マネージャーはジョン・リード(リチャード・マッデン)に変わる。ジョンはホモセクシャルで、エルトンがホモであることを見抜いていた。彼はマネージャーとして、エルトンをリードしていく中で、2人は恋人同士になる。


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 エルトン・ジョンとジョン・リード


 しかし、仕事のプレッシャーはエルトンの心と身体を蝕んでいった。彼は次第にお酒におぼれ、薬に頼るようになり、怒りを抑えられなくなっていった。そして、買い物依存症になった。この場面はある程度リアルに描かれていたので、見るのがちょっと辛くて、胸が苦しくなるくらいだった。


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 そんなエルトンの様子を見かねて、親友のバーニー・トーピンは彼に、こんな暮らしを止めて、田舎の静かなところで暮らさないかと心からのアドバイスをする。そのとき、バーニーがエルトンに渡した歌詞に彼が曲をつけたのが「グッバイ・イエローブリックロード」であった。これも私の大好きな曲なので、ご本人のすばらしい歌声をどうぞ、。


https://youtu.be/EgkBx8csEws
グッバイ・イエローブリックロード


 けれども、エルトンの生活はほどんど改善されなかったので、バーニーは嫌気がさして、1人田舎に帰ってしまう。エルトンは、自分を馬車馬のように働かせるマネージャーのジョン・リードともいざこざがあり、ジョン・リードもエルトンのもとを去る。

 ついにエルトンは、立ち直りのための施設に入り、アルコール依存症やドラッグ依存症と闘い、アンガーマネージメントの処方を受ける。

 こうして時が過ぎ、彼の状態がよくなり、自分を取り戻しつつあるとき、自分のもとを去っていったバーニー・トーピンが施設を訪ねてくる。そして、また再びタッグを組んで、いい音楽を創り続けようと、励ますのだった。


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   エルトン・ジョンご本人とタロン・エガートン


 若くして成功をつかんだエルトン・ジョンだったが、家族や思いを寄せる人からの愛に飢えていた。その心の穴を埋めるように、アルコールやドラッグに溺れ、荒んだ生活を送った。
 ステージ上での派手な衣装やエネルギッシュなパフォーマンスとは裏腹に、隠された自分をほんとうに愛してくれる人を見つけられないし、自分自身をも愛せないということが、孤独な人生を歩ませたのだった。

 あのすばらしく美しい、たくさんの曲を創った人が、こんなにも孤独だったとは。なんだが、クイーンのフレディ・マーキュリーの生き方とも重なって、心が痛かった。エルトンにとって、作詞家のバーニー・トーピンは、フレディのとってのメアリーのような存在だったのかと思った。

 そして、エルトンのマネージャーのジョン・リードは、クイーンにとっては救世主的なマネージャーだったが、この映画の中ではかなり強引で、あまりよくない人物として描かれている。立場が違うと同じ人間もこう描かれるのだなというのが、とても興味深かった。人間の関係とは、複雑なものだと感じた。

 ところで、現在のエルトン・ジョンは、アルコール依存症とドラッグから抜け出し、アンガーマネージメントも成功した。そして、愛する男性と2人で、養子を育てているそうだ。バーニー・トーピンとは今も仲良く仕事をし、喧嘩はまったくしないらしい。ただひとつ、買い物依存症からは、今も抜け出せていないとのこと。(フレディも買い物依存症でしたネ)

 この映画で、エルトン・ジョンが好きな方は、22曲もの彼の名曲がきけます。エルトン・ジョンを知らない人は、彼の名曲を知り、楽しむチャンスですよ。

原題:Rocketman  監督:デクスター・フレッチャー(「ボヘミアン・ラプソディー」)  
製作総指揮:エルトン・ジョン
出演:タロン・エガートン、 ジェイミー・ベル、 リチャード・マッデン、
ジェマ・ショーンズetc.
2019年 イギリス・アメリカ





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