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エルヴィス [外国映画]

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「キング・オブ・ロックンロール」、エルヴィス・プレスリーの人生を、「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマン監督のメガホンで映画化。


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 エルヴィス・プレスリーは知っていたが、太っていて、派手な衣装を着ていた歌手、ぐらいの印象だった。もちろん、「好きにならずにいられない」「Love Me Tender」という名曲は知っていたが、ほとんど関心がなかった。

 何年前か忘れたが、エルヴィスブームがまたやってきて、小泉元首相がエルヴィスファンで自分でセレクトしたアルバムを出したりして、すごく人気のあった人なんだなと感心したりしていた。


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エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)


 今回の映画は、主演がアメリカ人のオースティン・バトラー、30歳。歌もオースティンが歌っていて、腰を小刻みに揺らし、つま先立ちする独特でセクシーなダンスを交えたパフォーマンスでロックを熱唱するエルヴィスの姿を再現。


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 「世界で最も売れたソロアーティスト」としてギネス認定もされているエルヴィス・プレスリーに、女性客を中心とした若者たちは興奮し、小さなライブハウスから始まった熱狂はたちまち全米に広がっていった。


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      エルヴィスとマネージャーのトム・パーカー(トム・ハンクス)

 しかし、瞬く間にスターとなった一方で、保守的な価値観しか受け入れられなかった時代に、ブラックカルチャーを取り入れたパフォーマンスは世間から非難を浴びてしまう。やがて故郷メンフィスのラスウッド・パークスタジアムでライブを行うことになったエルビスだったが、会場は警察に監視された。


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     マネージャー、トム・パーカー(トム・ハンクス)

 エルヴィスのマネージャー、トム・パーカーを、トム・ハンクスが演じているが、強欲でエルヴィスを翻弄する悪人として登場。実物に似せるため激太りした。まったくトム・ハンクスとは思えなかった。役者魂というは、すごいものだ。


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    エルヴィス(オースティン・バトラー)とプリシラ(オリビア・デヨング)

 1958年1月20日に、プレスリーはアメリカ陸軍への徴兵通知を受けた。彼は西ドイツのアメリカ軍に入隊する。そこで、エルヴィスはプリシラ・アン・ボーリューと知り合う。プリシラは、エルヴィスの所属部隊の部隊長の継子だった。
 彼は1960年3月5日に満期除隊しアメリカに戻り、1968年にプリシラと結婚する。(しかし、4年後の1972年には離婚)

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本物のエルヴィスとプリシラ、そして娘のリサ(1986)(写真はウィキペディアより)

 エルヴィスは、ますますステージにエネルギーを注ぐようになるが、お金のことや仕事の方向性などは、すべてマネージャーのトム・パーカーに任せっきりだった。そしてトムは、エルヴィスの出演料の50%を自分のものとし、エルヴィスが体調が悪くても、専任の医者に注射をさせ、彼を休ませることはなかった。その薬は、違法なものは使っていなかったが、エルヴィスの身体には合っていないので、彼はいつも不調をかかえていたという。


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 エルヴィスは、ヨーロッパの国々や日本でツアーをしたいという希望を抱いていて、イギリス系のマネージングを手掛ける2人の男性に会い、そのことを彼らに語った。二人はぜひエルヴィスの望むところで、ツアーができるよう手を貸すといった。しかし彼らとの契約は、トム・パーカーによって阻止された。


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 トム・パーカーは、ラスベガスのホテルでエルヴィスのショーを行う契約を、本人の承諾を得ず更新し続けていて、もしその契約を破ったら、多額の違約金を支払わなくてはならない状態にしていた。
 映画では、トムがエルヴィスのことを心配するのではなく、どんなに体調が悪くてもステージに立たせるために、医者に投薬させたり注射させたりを繰り返していたように描かれていた。


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エルヴィスの自宅グレイスランド(テネシー州メンフィス)


 1977年、エルヴィスはテネシー州メンフィスの自宅グレイスランドで突如亡くなった。死因は、処方薬の極端な誤用による不整脈だったそうだ。スターとして人気絶頂のなかの死は、世界中に驚きを持って知らされた。
 
 彼の没後、遺族はトム・パーカーを訴え、トムは処分を受けたとのことである。


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 ビートルズやクイーンにも影響を与えたすばらしいロック歌手エルヴィス・プレスリー。そのお墓には、今もファンの人々が花を絶やすことがない。

 これは本当に悲しい映画だった。優れた才能がありながら、悪いマネージャーに操られて、非業の死を遂げたエルヴィスの孤独を思うと胸が痛む。

 比較するのもなんだが、クイーンのフレディ・マーキュリーも、悪いマネージャーに操られた時期もあり、エイズという不治の病に苦しんだが、紆余曲折はあったものの、信頼できる仲間に支えられて、最後までやりたい仕事を続けることができたのは、本当に幸せだったと思う。

 エルヴィスはやりたいことをやり切れずに亡くなったが、その魅力的な歌声とすばらしいメロディーは、これからも多くの人々に語り継がれることだろう。


映画のトレイラー。オースティン・バトラーのなりきり振りをご覧ください。



本物のエルヴィスの歌もどうぞ。
「好きにならずにいられない」




「監獄ロック」




「ラブ・ミー・テンダー」



原題:Elvis  監督:バズ・ラーマン  出演:オースティン・バトラー、 トム・ハンクス、
ヘレン・トムソン、 リチャード・ロクスバーグ、 オリビア・デヨングetc.
2022年製作/159分/G/アメリカ





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