SSブログ
ウディ・アレン ブログトップ
- | 次の10件

マッチ・ポイント [ウディ・アレン]

監督・脚本:ウディ・アレン  出演:ジョナサン・リース・メイヤーズ、
スカーレット・ヨハンソン、マシュー・グード、ブライアン・コックス、ペネロピー・ウィルソン、
エミリー・モーティマー
2005年 イギリス    スクリーン

 ウディ・アレンはニューヨーク・セントラルパーク南側の超一流ホテル「The Plaza」に、スニーカーで足を踏み入れることが出来る唯一の有名人だというのを何かの雑誌で読んだ記憶がある。それほど、ニューヨークでは知らないものがないほどの人である。「マッチ・ポイント」は、そのアレンが、今回初めてロンドンに舞台を移し撮影した37本目の作品である。

 マッチ・ポイントはいうまでもなく、テニス用語である。「ボールがネットの上に当たってはずんでツイてるときは向こう側に落ちて、勝つ。ツイてないときはこっち側に落ちて、負ける。勝敗は運が決め、人生はコントロールできない。」というのが、この映画の主題である。

 ジョナサン・リース・メイヤーズ扮するクリスは、野心家の元プロテニス・プレイヤーで、上流階級の人々が集うテニス・クラブで、コーチとしての職を得る。そこで大金持ちのトム(マシュー・グード)と知り合い、とんとん拍子に仲良くなり、トムの妹のクリス(エミリー・モーティマー)に一目惚れされる。それから、トムの父親にも気に入られ、クリスと結婚することになる。

 このイギリスの上流階級の暮らしが素晴らしい。家族でオペラハウスに通い、イングリッシュガーデンが美しい邸宅に住み、そこではお茶会やパーティが開かれ、外国旅行の相談がなされている。
 上流階級の人々の暮らしぶりが結構丁寧に描かれ、マシュー・グード(トム)、ブライアン・
コックス(トムの父)、ペネロピー・ウィルソン(トムの母)、エミリー・モーティマー(トムの妹)という中堅とベテランの役者がそれぞれの役をはまり役で演じている。4人とも上流階級の人々らしいおおらかな人の良さ、上品さを備え、人を疑うことを知らない感じがよく出ていた。(母親だけが少し用心深く皮肉屋である。)
 なかでも、マシュー・グードが本当に適役だったと思う。清潔感のあるハンサムで、明るく、クイーンズイングリッシュがノーブルな感じをだしていた。
 余談だが、トムとクリスがテニスをするシーンでは、テニスウェアはフレッド・ペリーとラコステだった。一昔前日本でも流行ったが、イギリスの上流階級では今もこのブランドのウェアなのだろうか。

 はじめはこの映画、ほんとうにウディ・アレンの映画なのかしらと不思議な感じがした。最初のキャストの紹介で、黒字に白抜きの文字がロールしていくときには、いつものジャズじゃなくてオペラが流れていたし、いつものコメディーのドタバタした感じがなくて、とっても上品な雰囲気だったので。

 しかし、トムの婚約者であるノラ(スカーレット・ヨハンソン)が登場するあたりから、だんだんとストーリーはあらぬ方向に走り始める。クリスはノラに惹かれ、2人は関係を持ってしまう。そしてのっぴきならぬ関係に陥った2人は・・・。さすがウディ・アレン、予想もつかぬ展開が待っているのだ。

 主演のジョナサン・リース・メイヤーズは、上流階級に入り込む男の野心家ぶり、浮気をしている男の緊張感、大きな罪を犯した男の焦燥感、疲れといったものを巧みに表現していた。いい持ち味をもっている、うまい役者だと思った。

 スカーレット・ヨハンソンは美しく官能的だった。とてもシンプルな衣裳なのに、彼女の若さと美しさがかえってきわだっていた。「ロスト・イン・トランスレーション」のときは、透明感のある女の子という感じだったが、この映画では感情をむき出しにする激しい演技を好演していたと思う。次回のウディ・アレンの新作「Scoop」にも出演し、ウディと共演するのだそうだ。大変楽しみである。

 ロケの場所はロンドンの有名な劇場、美術館、レストランなど、お洒落な感じだった。全編に流れる音楽はオペラである。ヴィバルディやロッシーニなどのオペラのスタンダードナンバーだ。これが意外と映像とマッチしているのだ。摩訶不思議である。

 クリスは金持ちのトムと知り合うことによって、トムの妹と結婚し、いい仕事を手に入れ、グレードアップした生活を手中に収めた。これは幸運といえるだろう。しかし、ノラと知り合い彼女に夢中になるという運命が待ち構えていたのだ。ここからクリスの運命はどんどん変化していく。果たしてノラと知り合えたことは幸運だったのだろうか。だがノラのような魅力的な女性を避けて通ることはできなかったに違いない。まさに「人生はコントロールできない」のだ。そして最後は、どうしようもない状態に追い込まれ、精神的に追いつめられる。すべてが終わった後、家庭的には妻が妊娠し幸運が訪れる。しかし、果たしてこれは本当の幸せなのだろうか。最後のクリスの表情に、これからの彼の人生が浮き彫りにされているように思えた。決して教訓的でなく、主題にのっとって映画を締めくくったのがウディ・アレンのうまさであり、センスの良さなのだと思う。
 
 ウディ・アレンは現在70歳である。そして毎年1本の新作を撮り続けている。しかも今回は新天地ロンドンで、イギリス人の新スタッフとの仕事でおもしろい映画を創りあげた。彼のこの活力は一体どこから沸いてくるのだろうか。ウディ・アレン自身は、監督、脚本家、コメディアン、戯曲家、作家、クラリネット奏者という多才ぶりで、しかもダイアン・キートン、ミア・ファローといった有名女優との同棲あるいは結婚を経験している。今はかなり年の離れた中国人女性と結婚している。
 「人生、自分の好きなことをして生きろ、恋愛もたくさんしたらいいよ。」とウディ・アレンが言っているような気がした。


nice!(10)  コメント(29)  トラックバック(14) 
共通テーマ:映画

僕のニューヨークライフ (Anything Else) [ウディ・アレン]

監督・脚本:ウディ・アレン     出演:ジェイソン・ビッグス、   クリスティーナ・リッチ、
ウディ・アレン、    ストッカード・チャニング、    ダニー・デヴィート
2003年 米・仏・和蘭・英      スクリーン

 この映画は、第60回ヴェネチア映画祭のオープニングを飾った作品だ。主役は、ウディ・アレン映画には珍しく若いカップルだった。ジェリー(ジェイソン・ビッグス)とアマンダ(クリスティーナ・リッチ)だ。W.アレンの映画は中年や初老の男女が主人公なのが多いので、珍しいと思った。ただし、W.アレン自身も、怪しい年配の男として登場する。

 ジェリーは、かなり可愛い男の子で、人が良くて気が弱いので、なかなか人にはっきりものを言えないのだった。
 このジェリーを演じるジェイソン・ビッグスが、話し方がW.アレンそっくりだった。これは、W.アレンが指示したのではなく、自然とそうなったそうだ。やはり影響力がすごいのだとおもう。そういえば、「ブロードウェイと銃弾」のジョン・キューザックもW.アレンのマネをしているのかと思うくらいだった。おそるべし、ウディ・アレン!

 ジェリーはコメディ作家の卵で、アマンダと同棲して約一年だ。その一年を記念したディナーに、アマンダは2時間も遅れてくる。しかも、女優オーディションに落ちた腹いせに、家にあったケーキを丸ごと食べ、冷蔵庫の色々な食べ物も平らげてきたというのだ。
 なんという嫌な女だろう。しかし、彼はアマンダにほれていて強いことがいえない。そこへもってきて、アマンダの母親(ストッカード・チャニング)がいっしょに住まわせてくれとやってくる。この人のあだ名が「ボヴァリー夫人」。アマンダに輪をかけてひとりよがりで、しかも男好きなのだ。
 それにやはり台本書きの仕事をしている、一風変わった、被害妄想的な傾向のある年配の男性ドーベル(ウディ・アレン)が、彼に色々なことを言ってくる。またジェリーのマネージャー、ハーヴィ(ダニー・デヴィート)も困り者だ。彼は、クライアントがジェリー1人で、手数料も高い。いわゆる、ヒモ的存在である。主にこの4人とジェリー青年のドタバタ&はちゃめちゃ劇である。
 
 ジェリーを演じるジェイソン・ビッグスがほんとうに愛すべき青年でかわいかった。だから、クリスティーナ・リッチ演ずるアマンダが色々トラブルを起こしたり、浮気をしたりするのに、なにもいえなくて言いなりになっているのにやきもきしてしまった。

 クリスティーナ・リッチはすごく目が大きい女優さんだ。それにとってもセクシーだった。アマンダというトラブルメーカーの女の子の役ににぴたりとはまっていたとおもう。

 アマンダの母親役のストッカード・チャニングや、ジェリーのマネジャー役のダニー・デヴィートも、やはりうまい俳優だと思った。

 しかし、なんといってもウディ・アレン本人が一番のコメディアンだった。道路で、車の駐車スペースに入り込もうとおもったところ、怖い2人組のお兄さんに先を越されてしまう。ドーベル(W.アレン)は2人に抗議するものの、凄まれてすごすごとひっこんでしまう。
 だが、そのあとで鉄の棒を探し出してきて、この2人組の車をめちゃくちゃに破壊してしまうのだった。これは、今までのW.アレン映画には珍しい場面だった。とてもおかしかった。
 
 それから、ジェリーたちがジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」(名門なのだそうだ)へ繰り出すシーンで、ジャズ・シンガーのダイアナ・クラールが本名で登場する。そして「I Could Happen to You(あなたに降る夢)」を歌うのだが、それが本当にすばらしい。(CDを買うつもりだ。)

 ジェリーはドーベルに説得されて、彼と一緒にカリフォルニアへ移って、出直す決心をする。アマンダやヒモ的マネージャーのハーヴィとも別れた。全てを整理して、カリフォルニアへ向かおうとしたとき、ドーベルが急に行けなくなったと言い出した。彼は1人で行く決心をして、空港へむかうタクシーのなかで、ドライバーに自分に起こった色々なことを話す。するとドライバーは「Anything Else?」というのだ。「それがどうした。人生ってそんなものなのさ。」という意味らしい。

 ジェリーはカリフォルニアへ渡って果たして成功するのだろうか。そんな暗示はこの映画の中には一切ない。人生は思いどおりにならない。たとえ、完璧なアドバイスをしてくれる先輩なり友人なりがいたとしても、人は自分で色々なことにぶち当たりながら進むしかないのだ。自分で経験して、自分で解決していくしかないのだ。うまくいかなかったときは、「人生ってそんなものさ。」とつぶやきながら。


nice!(4)  コメント(11)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

ギター弾きの恋 [ウディ・アレン]

監督:ウディ・アレン       出演:ショーン・ペン、 サマンサ・モートン、 ユマ・サーマン、
ウディ・アレン、  グレッチェン・モル
1999年 アメリカ      ビデオ

 この映画は1930年代のシカゴで活躍した、ジプシー・ジャズギタリストのエメット(ショーン・ペン)の話だ。これは、もちろん創りものの話しである。しかし映画は、ウディ・アレンをはじめ、3,4人の実在のミュージシャンやジャズ評論家のインタビューがはさみこまれていて、まるでエメットが本当に存在した人物のようなつくりになっている。

 エメットは類まれなるギターの才能がありながら、人間としては最低の男である。娼婦の元締めとして、彼女達からお金を巻き上げ、女遊びを繰り返し、酒におぼれていつもステージに間に合わなかったり、すっぽかしたりしていた。それがある日、女性の二人連れをナンパしたところ、口の利けないおとなしいハッティという女の子と親しくなる。

 このハッティを演じているのが、サマンサ・モートンだ。彼女は、純情でおとなしい貧乏な女をうまく演じていた。ハッティはプロの洗濯女だった。エゴのかたまりのようなエメットに素直にしたがっていく。こういう女性が本当にいたなら、どんな男でも好きになるかもしれないと思わせるような、かわいい女性だ。

 しかし、こんないい女でも、エメットの性格は変えられるものではない。何しろ趣味が、ドブネズミを撃ち殺すことなんていう、異常な男なんだから。

 彼はハッティが本当に彼を愛し始めていることに気付いて、うっとおしくなり彼女を簡単に捨ててしまう。そして、美人で物書きのブランチ(ユマ・サーマン)に鞍替えしてしまうのだ。この、ユマ・サーマンがまたほんとうに美しく色っぽかった。衣裳がすごく豪華で、それが長身の彼女にとても似合っていた。

 けれども、エメットと彼女との関係もそう長くは続かない・・・。

 この作品は、全編ジャズ・ギターのすばらしい音楽が流れている。これが一つの魅力だ。ジャズの好きな人にはたまらないだろうと思う。私もジャズが好きだが、私はジャズピアノをよく聴く。ジャズギターは今まであまり聞いたことがなかったが、この映画を見て、ジャズギターのCDを買おうという気になった。

 それに、女性達の衣裳のセンスのよさ。ウディ・アレン映画を見るもうひとつの楽しみは、このセンスのいい洋服をながめられること。サマンサは、貧乏な女なので派手な衣裳はほとんどなかった。でも最初にショーンと出会うときの衣裳が、かわいい帽子にだぶっとした洋服、これがサマンサにとってもよく似合っていて、なまじ豪華な衣裳よりずっとかわいくてよかった。
 やはり女性を知りつくしているウディ・アレンだからこそ、女優達を魅力的に描くことができるのだろう。

 また、1930年代のレトロな建物や、ショウ・ステージ、バー、クラブ、クラシック・カーなど、凝りまくったセットや道具や小物たち。ウディの遊び感覚が随所に生かされている。

 肝心の主役のショーン・ペンだが、エメットという男の異常さと、ギターを持ったときの天才ぶりをうまく演じ分けていたと思う。音楽に指がぴったり合っていたので、ギターを本当に弾いていたのではないだろうか。多分、ものすごい特訓をしたのだろう。
 けれども、彼ほどベッドシーンとタキシードが似合わない俳優も珍しい。そういうかっこいい場面は、ぜんぜんだめだった。でも、エメットと彼のマネージャーとハッティが旅をして、ある田舎町で賞金稼ぎのために、自分の得意芸を披露するイベントに参加する一コマがある。この場面でショーン・ペンは、カジュアルなシャツスタイルに帽子をかぶって演奏するのだが、ここは大変いいと思った。

 ただ、ウディの映画はいわゆるコメディなので、主役の人にはどこか人を笑わせるような、ぬけたところがなくてはいけないと思う。けれどショーン・ペンは、役柄のドジなかっこわるい部分が、私の笑いを誘わなかった。だから、ほんとうに嫌な男で終わってしまった。

 彼がすごくうまい役者というのは認めるのだが、男のかわいげがあまりないので、同情できなかったのが残念だった。


nice!(3)  コメント(27)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

メリンダとメリンダ [ウディ・アレン]

監督:ウディ・アレン  出演:ラダ・ミッチェル、 ウィル・フェレル、 クロエ・セヴィニー、 アマンダ・ピート、 キウェテル・イジョフォー、 ウォーレス・ショーンetc.
2004年 アメリカ      スクリーン

 やはり、ウディ・アレンらしい、おしゃれでおもしろい映画だった。
 ニューヨークのビストロで、4人の男女がディナーをともにしている。その中の二人は、喜劇作家と悲劇作家だった。4人うちの一人が、知人のホームパーティに突然あらわれた女性のある出来事について語り、喜劇作家のサイ(ウォーレス・ショーン)と悲劇作家のマックス(ラリー・パイン)は、彼女の話を使って、喜劇と悲劇の話を作ることになる。

 悲劇バージョンのメリンダ(ラダ・ミッチェル)は、いつもいらいらし、両手に薬とお酒を持っているような女性だ。裕福な医者と結婚したのに、浮気をして離婚し、しかも浮気相手を射殺するわ、自殺未遂を犯して精神病院にいれられるわ、のさんざんな人生を送ってきた。
 彼女は友達のホームパーティに現れ、ピアニストのエリス(キウェルテル・イジョフォー)とつきあうようになるが、友達のローレル(クロエ・セヴィニー)に、エリスをとられてしまい、しかも裁判に負けて、子供の養育権が前夫に渡ってしまう。彼女は、またもや窓から自殺を図ろうとする。

 このバージョンのメリンダは、本当に暗い感じだ。顔もいつも眉間にしわがよっているような表情をしている。洋服もダークな色ばかりだ。
 彼女は、自分で不幸を作り出している人間といえると思う。男を見る目がないのかもしれない。弱い人なのだろうが、考え方が甘いし、人に迷惑をかけるのをなんとも思っていないのが、いやな感じだ。

 一方、喜劇バージョンのメリンダ(ラダ・ミッチェル)は、やはり医者と結婚したが、夫の浮気を知って自分も浮気し(いわゆるW不倫)、離婚してニューヨークへやってくる。そして、上の階の住人のホームパーティに乱入する。
 そこで、彼女はホビー(ウィル・フェレル)と出会う。ホビーはメリンダにひとめぼれ。しかし彼は既婚者だった。メリンダへの恋心がつのるホビーが、重い気持ちで家に帰ると、なんと!妻が知り合いの男と、ベッドインの最中だった。これで、晴れてメリンダに告白できると、ホビーはメリンダをデートにさそう。しかしメリンダから、町で偶然であったピアニストに心引かれていると打ち明けられ、がっかりする。
 けれども、よくしたもので、最後はメリンダがホビーの家を訪れて、ハッピーエンドに・・・。
 
 このバージョンのメリンダは服装も、小花柄のブラウス、ピンクや赤の服を着て表情も明るい。相手(前夫)が悪いんだからW不倫をするというあたりは、そうだ、そうだって感じ。
 彼女は最後にホビーを選ぶが、これは自分を大事にしてくれる男をちゃんとわかっていたということだと思う。

 アレンは、いつも映画を創ろうとする際に、喜劇にするか悲劇にするか迷うことが多かったので、今回のような映画を創ってみたそうだ。

 主演のラダ・ミッチェルは、最近では「ネバーランド」でJ.デップの妻の役、「マイ・ボディーガード」でダコタちゃんのお母さん役などを演じている。この人のかわいい顔が好きだ。

 また、ホビー役のウィル・フェレルは、有名なコメディアンで、2000年の大統領選挙では、ジョージ・W・ブッシュのパロディを演じて、アメリカン・コメディ・アワードを受賞した役者だ。映画の中でも、おかしさのなかに、男の人のまじめなかわいさを感じさせる演技がとってもよかったと思う。
 彼は「奥さまは魔女」で、ニコール・キッドマンと共演。これから、7本の全米公開作が目白押しの売れっ子なのだそうだ。

 ところで、映画の最後は、また最初の4人の男女のディナーの場面に戻るのだが、ここで、ウォーレス・ショーン演じる喜劇作家の、「結局、悲劇にしろ、喜劇にしろ生きていてこそのものだな。」という言葉で締めくくられる。人間、「死んだら終わり」なのだ。

 この作品はウディ・アレン自身は出演していないので、彼が苦手な人がご覧になっても大丈夫ですよ。


nice!(1)  コメント(17)  トラックバック(4) 
共通テーマ:映画

誘惑のアフロディーティ [ウディ・アレン]

監督&脚本: ウディ・アレン   出演: ウディ・アレン、  ヘレナ・ボナム・カーター、 
ミラ・ソルビーノ、  マイケル・ラバボート、  ピーター・ウェラー
1995年 アメリカ

 これは少し変わった映画だった。
 まず、ギリシャ悲劇の舞台のような野外劇場がでてきて、奇妙な仮面をつけた集団が劇を演じているところから物語が始まる。これは、ストーリーと関係がある。
 メインの舞台は、もちろんニューヨークの町だが、この野外劇場の場面がストーリーの中にところどころでてきて、物語が展開していく。

 ウディ・アレンとヘレナ・ボナム・カーターが夫婦で、スタイリッシュな生活をしている。だが彼らの生活はそんなにうまくいっていない。彼らには子供がなく、養子をもらうことにする。子供はルックス、IQ、性格の三拍子そろった申し分のない子に育つ。
 ウディは子供の母親のことが気になり、どうしても捜し出そうとやっきになる。そして見つけたのが、ミラ・ソルビーノ演ずる女性だった。彼女は大変な美人だが娼婦だったのだ。

 彼の映画には珍しく子役を使った映画だった。
 最初にでてくるギリシャ悲劇の役者が、映画の現実生活の中にふいにアドバイザーとして現れ、ウディに色々な忠告をするところがおもしろかった。

 W.アレンの映画にはよく、2組のカップルがレストランで食事をする場面がでてきて、その会話のあまりに自然な感じに、いつも驚かされる。本当に食事しているところを後ろから撮ったんじゃないかと思わせるほどだ。

 彼は俳優たちに台本を渡さず、リハーサルもほとんどやらずに、ぶっつけ本番で撮ることで有名だが、やはりその効果なのだろうか。

 そして、ミラ・ソルビーノの娼婦のマンションの部屋が傑作だ。一見、センスのいい部屋なのだが、置いてあるインテリアがエッチでユーモラスなものがいっぱい。
 特に、ドアの横の豚の掛け時計が最高におもしろい。これだけでもプーッとふきだしてしまうこと請け合いだ。

 こういう小物を映画のスタッフが、楽しみながら選ぶのかなと思ったら、すごくうらやましくなった。W.アレン組に参加したら、さぞ楽しいだろうなと想像する。

 ストーリーは最後が、ええ!そんなあ、って感じになるのだが、いかにも彼らしいやり方だと思った。やはり、面白い映画だった。


nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ウディ・アレン HOLLYWOOD ENDING [ウディ・アレン]

タイトル: HOLLYWOOD ENDING(さよなら、さよならハリウッド) 5.14(土)
監督・脚本:ウディ・アレン  出演:ウディ・アレン、ティア・レオーニ、トリート・ウィリアムズ、マーク・ライデルetc.

3年ぶりのウディ・アレン作品ということで、ワクワクしながら映画館へ急ぎました。
今日は、初日で先着40名にチーズケーキが配られるというので、1時間も前に到着。
ところが、チケットカウンターでは、映画館のお兄さんが「次の回は立見となりま~す。」と叫んでいるではありませんか!「ええ!うそー、アレンの映画で立見なんて信じられない」と思いながらカウンターへ行くと、なんのことはない、隣の韓流映画「氷雨」が満杯だったのでした。
もちろん、チーズケーキもゲット。お客さんの入りは、いつもよりは多目でした。

ストーリーはこんな感じです。落ち目になった元アカデミー賞監督のヴァル(W.アレン)に突然、ハリウッドプロデューサーの元妻エリー(ティア・レオーニ)の計らいで、メジャー作品の監督依頼がくる。彼女はヴァルを捨てて、今は製作スタジオの重役の恋人となっている。しかしヴァルは、クランクインの前夜に、極度のストレスから突然盲目になってしまう。さて、映画はどうなるのでしょうか・・・

ウディ・アレンここにあり!といっていいような、ほんとにおもしろい映画でした。彼はおん年70歳だそうです。確かに、最初に出てきたときは、頭もはげが目立ってきてるし、顔もふけたかなと思いました。でも、演技での彼のテンションの高さは、少しも衰えていませんでした。

また、セリフ劇としての言葉のやりとりは、やはり天才的なものを感じます。
ヴァルとエリーが、おしゃれなバーで仕事の打ち合わせをするのですが、突然それが、捨てられたうらみつらみに変わっていって、また気を取り直して仕事の話に戻り、そしてまた愚痴の言い合いに・・・。ここの場面のおかしさったらないです。コメディアンとしてのアレンのうまさが存分に発揮されています。

また、パーティシーンでのヒチコック映画についてしゃべりなど、短いシーンですが、インテリっぽさが顔をのぞかせます。

W.アレンの映画の、そのほかの楽しみは、インテリアと衣装と、おしゃれなレストランです。私は、エリーの衣装が好きです。知的で洗練された女性という感じ。また、映画に出てくるバーとレストランはニューヨークに実在するものです。
今度ニューヨークに行く機会があったら、ぜひ訪れてみたいものです。

W.アレンの作品はたくさんあるのですが、私のお勧めを少しあげておきますので、興味のある方はご覧になったらおもしろいかもしれません。

1  2002年  さよなら、さよならハリウッド 
2  2000年  おいしい生活
3  1998年  セレブリティ
4  1997年  地球は女で回ってる
5  1996年  世界中がアイ・ラブ・ユー
6  1994年  ブロードウェイと銃弾
7  1993年  マンハッタン殺人ミステリー
8  1983年  カメレオンマン
9  1979年  マンハッタン
10  1977年  アニー・ホール

うちの近所のtsutayaでは、ウディ・アレン特集をやっていて、結構ビデオ、DVDがそろってます。

本は「ウディ・オン・アレン―全自作を語る」株式会社キネマ旬報社 1995年発行 がおもしろかったです。


nice!(2)  コメント(17)  トラックバック(3) 
共通テーマ:映画
- | 次の10件 ウディ・アレン ブログトップ