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遠い空の向こうに [外国映画]

監督:ジョー・ジョンストン  出演:ジェイク・ギレンホール、 クリス・クーパー、 ローラ・ダーン、
クリス・オーウェン、 ウィリアム・スコット
1999年  アメリカ     DVD

 この映画は、DSilberlingさんのソネブロの記事を読んで見てみた。監督が「ジュマンジ」のジョー・ジョンストンだ。これは実話で、NASAのロケット・エンジニア、ホーマー・ヒッカムの自伝を基に創られた作品である。
 
 この作品は非常に地味なつくりである。最初のタイトルバックからして、何の飾りもない。しかも舞台は、ヴァージニア州の炭鉱の町コールウッドである。かなり殺風景な町だ。
 時は1957年10月、ソ連が人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した。このとき、夜空のスプートニクの美しい軌跡を見ていた高校生、ホーマー(ジェイク・ギレンホール)は、自分達でロケットを打ち上げてみたいという夢をもった。そして、級友3人とともに、実験用ロケット作りにとりかかった。

 父親(クリス・クーパー)は炭鉱マンで、自分の仕事に誇りを持っている。しかし、炭鉱の仕事は低賃金で重労働なのだ。しかも斜陽産業である。父は息子のロケット製作にはまったく興味を示さなかった。けれども家庭の中は夫婦仲がよく、ホーマーはアメフト部キャプテンの兄とも仲良くやっていた。貧しいながらも温かい、いい家庭だ。

 学校の先生ミス・ライリー(ローラ・ダーン)は、1人でも多くの生徒を、将来この炭鉱の仕事よりもっとスペシャルな仕事に就けるよう、助けたいと思っている熱心な先生だった。彼女のお蔭でホーマーは、ロケットやミサイルに関する分厚い専門書を手にいれることができた。それが、彼の学習欲に拍車をかけることになった。

 父親の部下で黒人の溶接工は、ホーマーたちが実験用ロケットをつくるのを手助けしてくれた。

 しかし実験用ロケットが、山火事を起こしたのではないかという疑惑のために、この4人は警察の事情聴取をうけることになってしまう。未成年だったため、釈放された4人だったが、くやしさは隠せない。だがホーマーたちは、彼らのロケットの軌道を計算することによって、その無実を証明するのだった。

 そうして、ホーマーたちは高校生のロケットコンテストに応募し、みごとグランプリに輝いて、4人とも大学の奨学金を手にするのだった。

 ホーマーに希望を与えてくれたミス・ライリーは、ホジキン病で31歳の若さで亡くなる。彼らは最後の実験用ロケットに「ミス・ライリー」と銘々し、空に飛ばすことにする。その最後の実験の時、いつも仕事で忙しいといって、一度も実験を見に来なかった父親が、ふらりと現れる。そしてホーマーは最後の発射ボタンを父に託すのだった。

 この作品には、親子の愛情、教師の愛情、兄弟愛、友情、恋そして自分のまわりの人の温かい助けがきめ細かに描かれている。これらは創り物ではなく、本当にあった話なのだ。映画の最後に、このロケットボーイズ4人と両親、そしてミス・ライリーの本物の映像が付け加えられているのだ。

 人間が、将来に対して希望を持つことがどんなに大切なことか。そしてそのためには、多くの人の支えが必要なのだ。
 支える側も、他人を守ったり助けたりすることが、実は自分にとっても生きがいとなる。そのためには、特別なことをする必要はない。自分の立場でできることを最大限やればいいのだということを、この映画に教えられた気がする。温かくさわやかな映画だった。


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Naka

こんにちは。
心温まる素敵な映画ですよね。
細かいところは忘れていたのですが、
ココさんの文章で思い出し、また見たくなりました(^^。
by Naka (2006-02-08 09:36) 

jazzy

お邪魔します。
ココさんの文章を読んだらもう八割がた見たような気になってしまいました・笑。
機会があればぜひ見てみたいと思います。
by jazzy (2006-02-08 11:26) 

coco030705

Nakaさんへ
こんばんは~。寒いですがお元気ですか?
nice&コメントありがとうございました♪
本当にいい映画でしたね。アメリカ映画のいいところが
よくでていましたよね。
今年は、なかなか映画館に行けないのですが、今週末あたりから
またスクリーンで見ようと思っています。
by coco030705 (2006-02-08 21:21) 

coco030705

Jazzyさんへ
こんばんは。
コメントありがとうございます。もしお時間があったら、
見てみてくださいませ。
by coco030705 (2006-02-08 21:24) 

クリス

こんにちは!
この作品は、じわじわと心から温まる作品でしたね。特に、クリス・クーパー演じる父親がロケット発射の場所にバツの悪そうに?現れた時は、涙腺が急に緩みました・・・。それに彼らの行動力には、こちらも勇気が沸いてきます。あの頃のジェイクはまだ野暮ったい感じがしたのに、今じゃセクシー系らしいですね?アメリカじゃ(笑)
公開時に観たっきりなんで、もう一度観てみたいなぁと思いました。
by クリス (2006-02-09 06:11) 

coco030705

蟻銀さんへ
お久しぶりです。お元気ですか?もう帰国なさるんでしょうか。
帰国前は色々大変でしょうね。最後までグレイト・ブリテンを楽しんでくださいね。
ところで、ジェイク・ギレンホールですが、今年のアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされてるみたいですよ。出世したものですね。
by coco030705 (2006-02-09 16:02) 

ベビーフェイス

cocoさん、こんにちは!
わたしもこの映画を観てcocoさんと同じこと思いましたよ!
お父さんもいい味出してましたが、わたしはお母さんの支えになぜか深い愛情を感じました。
家族を支えているのはお父さんではなく、お母さんではないかと実感したんです。
同じ炭鉱の映画では、「ブラス!」や「リトル・ダンサー」がありますよね。
ご覧になりました?
特に「リトル・ダンサー」は観ててすごくこの映画を思い出させます。
炭鉱の話題っていまいちピンときませんが、とても生活に密着した問題だったんだなぁって改めて思います。
TBさせていただきました。
by ベビーフェイス (2006-02-11 15:20) 

TaekoLovesParis

Cocoさん、はじめまして。
りんこうさんのブログ経由で来ましたが、Silberlingさんのブログでもお名前
拝見していました。
質素な生活の中にたくさんの愛、目標に向かってすすむこと、大きな希望、、いい映画でしたね。CocoさんがStoryをわかりやすく書いてくださっていたので、読みながら、思い出していました。

Cocoさんの過去ログに私の好きな映画、見逃している映画があるので、今から見に行ってきます。
by TaekoLovesParis (2006-02-11 16:48) 

coco030705

ベビーフェイスさんへ
TB&コメントありがとうございました。
お互いの感想がよく似ていましたね。この映画の母親はとってもよかったです。私は、子供を育てる上で、母親が賢くなければいけないと常に思っています。
「ブラス!」「リトルダンサー」とも、大好きな映画です。
この映画と比べると、同じ炭鉱ものでも、かなり雰囲気がちがいますよね。
イギリス映画とアメリカ映画の違いを考えるのがおもしろかったです。
by coco030705 (2006-02-11 16:49) 

coco030705

TaekoLovesPa.. さんへ
はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
これは心温まる映画でしたね。最近は、心が痛むようなニュースが多いので、こういう作品を見ると、ほっとしますね。
Taekoさん(とお呼びしてよろしいですか?)のブログをチラッと拝見しましが、
とってもお洒落なブログですね。これから時間をかけて、拝見することにいたします。またそちらにもお邪魔します。nice、ありがとうございました。
by coco030705 (2006-02-11 17:01) 

DSilberling

私のブログがきっかけで見てくださったとは、とても嬉しいです。
クリスクーパーやローラダーンのおさえた演技が素晴らしかったですね。
by DSilberling (2006-02-18 12:23) 

coco030705

DSilberlingさんへ
nice&コメントありがとうございました。
私はこの映画の事をぜんぜん知らなかったのですが、↑のコメントに
あるように、たくさんの人がご覧になっていますね。
これからも、DSilberlingさんの記事を参考にいい映画を見て行きたいと
おもいます。
by coco030705 (2006-02-18 17:49) 

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