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気軽なランチ 京都四条河原町 [日記・雑感]

 5月5日に、ちょっと京都へ行ってきました。ゴールデンウィークはどこも混んでいますが、ランチを、高島屋/京都店2階の喫茶室「バラの木」で食べました。こういう時、食堂街ではなく、各階の喫茶室だったらけっこう空いていますよ。洋食系の喫茶ですが、お料理がなかなかおいしいのです。お店もきれいです。

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 kさんと一緒に行きました。私が食べたのは「鯛のポアレ」ランチです。
  
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            鯛のポアレ

 鯛の焼き加減が良く、身もプリプリでソースもおいしかったです。付け合わせはキャベツの茹でたもの。これに、グリーンサラダ、パン、コーヒーなどの飲み物とミニアイスが付いています。kさんは、「タコのスパゲティーランチ」で、おいしいといってました。↑のと同じものが付いています。

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          タコのスパゲティー

 京都のビールも飲みましたが、メーカーもののほうがおいしかったかしら?
 
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 もし、京都へ行ってどこも混んでいるようだったら、お勧めのお店です。ただし、予約はできません。ほかにも、ビフカツ、サンドイッチ、ピラフ、野菜カレー、パフェ類、ケーキ類、各種飲み物があります。食べていないのですが、画像がきれいなので、アップしておきますね。

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      パフェ類

 気が張らず結構おいしいものが食べられます。もし、京都で食べるところに困ったら、利用してみられたらと思います。

但:画像は全て、「バラの木」さんのサイトからお借りしました。
 
「バラの木」高島屋/京都店 2階
 Tel: 075-221-8811

 

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パリタクシー [外国映画]

 この映画の主役は、92歳の魅力的なマダムマドレーヌ(リーヌ・ルノー)でありまた、映画の随所に出てくるパリの美しい風景も名脇役といえるだろう。


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 住み慣れたパリの住居を離れ、老人ホームに向かうマダム(リーヌ・ルノー)を乗せたタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)が、彼女の人生をめぐるパリ横断の小旅行に付き合ううちに、自分の生き方に対する考え方にも、影響をうけるというドラマ。


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     シャルル(ダニー・ブーン)とマダム(リーヌ・ルノー)

 無愛想なタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)は、お金も休みもなく免停寸前で、家族関係もうまくいかず、人生最大の危機に陥っていた。そんな折、彼はタクシー会社からの依頼で、92歳の女性マドレーヌをパリの反対側の老人ホームまで送ることになる。


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               オペラ座


 マドレーヌは、シャルルに次々と寄り道を依頼する。彼女が人生を過ごしたパリの街には多くの秘密が隠されており、寄り道をするたびに、マドレーヌの意外な過去が明らかになる。

 車の中で語られる身の上話は壮絶そのもの。若いころに恋し、子どもを身籠るも、恋人は戦争終結とともに、故郷の国に帰ってしまい、彼女は1人で子供を育てた。その後、別の男性と結婚するが、夫がDV男だったので、その家庭内暴力を何年も受けてきたこと、そして夫への過激なリベンジ(夫を殺しはしなかった)が裁判沙汰となり、25年の刑が下った。

 マドレーヌは映画の中で、1950年代の社会は裁判官は全員男性で彼女の、夫の暴力に対する正当防衛の訴えは聞き入れられなかったと、シャルルに語るのだった。彼女は女性の権利獲得のための社会活動もしたという。


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若いころのマドレーヌ


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 そして、彼らは最後のディナーに向かう。マドレーヌの行きつけのレストランで。


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 この作品を観るとパリが好きになるような、素敵な風景やシーンがたくさん盛り込まれ、マドレーヌとシャルルの会話劇というべきストーリーです。

 けれどもマドレーヌが出所して、青年になった息子と会うと、彼はベトナム戦争に志願して出兵すると、久方ぶりにあった母に告げます。その後、1場面だけの展開で、この息子が戦死したと告げられます。これは、観客にとって、感情移入できないなと思いました。ただのセリフだけで済まされては。映画なので、やはりこの息子が戦死する場面を映像としてみせるべきだったと思います。

 この映画の中にはDVとか正当防衛とか、女性の権利主張とか、色々な問題がほんのちょっと描かれているのですが、これでよかったのかなとも思います。

 とにかく、美しいパリの場面がたくさん出てきて楽しかったです。またパリに行きたくなりました。

 ただし、この映画は最後にサプライズがあります。ただ楽しいだけの作品ではないのですよ。

 マドレーヌを演じるのは、女優、社会活動家としても知られる現在94歳の現役シャンソン歌手リーヌ・ルノー。タクシー運転手シャルルは大物コメディアンのダニー・ブーン。二人は実生活でも友達同士だそうです。


「パリタクシー予告編」



原題:Une belle course  監督:クリスチャン・カリオン  出演:リーヌ・ルノー、 
ダニー・ブーンetc,
2022年製作/91分/G/フランス



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生きる LIVING [外国映画]

 この映画は、黒澤明監督の名作映画「生きる」(主演:志村喬)を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本により、イギリスでリメイクした作品です。私はビル・ナイのファンで、黒澤明監督の「生きる」もかなり前に観たので、ぜひという思いで観に行きました。


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 (アカデミー賞では、カズオ・イシグロさんが脚色賞、ビル・ナイが主演男優賞にノミネートされましたが、無冠に終わりました。残念!)


 1953年、第2次世界大戦後のロンドン。仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、自分の人生を空虚で無意味なものと感じていた。


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 (余談ですが、これは1953年当時のイギリスのサラリーマンの出勤風景です。彼らは、山高帽をかぶり、ピンストライプのスーツやダークスーツを着て、汽車で都心の会社へ通勤していたのです)

 ウィリアムズは息子夫婦と同居していたが、息子とはあまり話すこともなかった。
 
 そんなある日、彼はガンに冒されていることがわかり、医師から余命半年と宣告される。手遅れになる前に充実した人生を過ごしたいと考えたウィリアムズは、仕事を放棄し、海辺のリゾート地のパブで酒を飲んで、スコットランド民謡の「ナナカマドの木」を歌うが、誰も聴いてくれないと彼は思った。(ビル・ナイの歌は、すごくハリがあって上手でした。歌手でもあるのかも最後に添付しています)そして、慣れないショウを観たりするが、まったく溶け込めなくて、満たされない。


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 ロンドンへ戻った彼は、部下の若い女性マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)と偶然道で会い、彼女が役所をやめて、カフェで働くことを知る。そして、マーガレットがウィリアムズに次の職場で雇ってもらうのに、推薦状がいると相談を持ち掛けてくるのを承諾し、彼女をフォートナム・アンド・メイソンのカフェに誘う。そこで推薦状を書くためだ。


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 ウィリアムズ(ビル・ナイ)&マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)
(フォートナム&メイソンはロンドンの老舗百貨店で、そのティールームは有名です。紅茶も有名)

 マーガレットは明るくて、よく話す楽しい女性だった。彼女は前の職場で密かにみんなにあだ名をつけて楽しんでいて、ウィリアムズのことは「ゾンビ」と呼んでいたと、悪気もなく打ち明ける。ウィリアムズはとても細くて静かだからとのこと。


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エイミー・ルー・ウッドは、とても明るく健康的で、お茶目で優しさもある女性、 マーガレットをうまく体現して演じていた。

 ウィリアムズは、元気でバイタリティーにあふれたマーガレットに好感を抱き、映画やパブに誘ったり、彼女の新しい職場であるカフェにも行ったりする。マーガレットはだんだん「え?」という気持ちになるが、親切にも彼につきあうのだった。そしてウィリアムズは、息子にも言っていない、自分がガンに侵されて、長くは生きられないことを、マーガレットにだけ、伝えるのだった。


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 若く明るいマーガレットとつきあうことによって、ウィリアムズは気持ちも明るくなり、自分もまだ残されたやるべきことがあると考え、新しい一歩を踏み出すことを決意し再び出勤する。彼は、部下に指図をして、棚上げになっていた案件を実行に移すことにする。


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 部下の中で、ピーター(アレックス・シャープ)は、ウィリアムズを慕っていて、彼がいないと職場は締まりがなくなると感じていた。


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ピーター(アレックス・シャープ)


 ウィリアムズは、以前から女性3人が再三、陳情に来ていた「子供たちのために公園をつくってほしい」という願いを実現させようと思った。その土地を下見に行くと、そこは大きな水たまりができていて、歩行も困難な場所だった。


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 彼は、この案件をまたしても後回しにしようとする上司に、この工事に必要な書類を入れた箱を持っていき、上司がそれに目を通すまでは、梃子でも動かないことをしめすのだった。


 こうして彼の努力によって、ようやく公園は造られた。そしてウィリアムズは雪の日に、公園のブランコを微笑みながら漕ぐのだった、「ナナカマドの歌」を歌いながら。


 場面は変わって、ウィリアムズの葬儀が行われている。陳情に来ていた女性達、マーガレットやピーターをはじめ、たくさんの会社の同僚や上司がその場に駆けつけて、ウィリアムズのことを思い出し、彼の最後の仕事を称えた。


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 本当に心を打たれる作品でした。ビル・ナイが武骨な紳士そのもので、すばらしかったです。「生きる」とはどういうことなのか、人は命が制限されるとき、何をなすべきなのか、その答えがこの作品にあると思いました。ぜひ、ご覧ください。



      「ナナカマドの木」

原題:Living 監督:オリバー・ハーマナス  出演:ビル・ナイ、 エイミー・ルー・ウッド、
          アレックス・シャープetc.

2022年製作/103分/G/イギリス
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映画 ホイットニー・ヒューストン [外国映画]

「ホイットニー・ヒューストン」を観てきました。とてもよかったです。ホイットニーの自伝的作品です。世紀の歌姫でしたが、その人生は、色々あって起伏の激しいものでした。

 「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」のナオミ・アッキーが主演を務め、ホイットニー・ヒューストンを見いだした伝説の音楽プロデューサー、クライブ・デイヴィスを「プラダを着た悪魔」のスタンリー・トゥッチが演じる。この二人、最高にいい演技だった。


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 クライブ・デイヴィス(スタンリー・トゥッチ)&ホイットニー・ヒューストン(ナオミ・アッキー)


 ホイットニー(ナオミ・アッキー)は、11歳の時にジュニア・ゴスペル・クワイアに入り、教会で歌い始めた。ニューヨークのナイトクラブで、母親とパフォーマンスをしていたところを、アリスタ・レコードの社長クライヴ・デイヴィス(スタンリー・トゥッチ)にスカウトされた。

 1985年のデビュー・アルバム「そよ風の贈りもの」(Saving All My Love for You)は大ヒットとなった。




 ホイットニーの母親シシー・ヒューストンは、スイート・インスピレーションズ のリード・ボーカルで、後にはエルヴィス・プレスリーやアレサ・フランクリンのツアーにバック・コーラスとしても参加していた。そして、ホイットニーにとっては、仕事をする上での大きな支えとなった。のちに夫(ホットニーの父親)とは離婚している。


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      シシー・ヒューストン(タマラ・チュニー)


 ホイットニーは、1991年の第25回スーパーボウルで試合前に国歌を斉唱。この斉唱は史上最高の国歌斉唱と絶賛された。後にシングルとしても発売され、またその10年後にアメリカ同時多発テロ事件のチャリティとして再リリースされ、ヒットしている。



    ホイットニーの国歌斉唱


 1992年には、初主演映画「ボディガード」が公開される。映画のサウンドトラックは1994年のグラミー賞最優秀アルバム賞を受賞するなど、高い評価を受け、アルバムからのリカット・シングル「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は自身最大のヒットとなった。
 これはとてもおもしろい、いい映画でしたね。映画の中では、ホイットニーは最初「ボディーガード」に出演することには乗り気じゃなかったのに、相手役がケビン・コスナーと聞いて二つ返事でOKするという場面がでて来ます。お茶目ですね。





 ホイットニーは同年R&B歌手、ボビー・ブラウンと結婚。翌年には一人娘ボビー・クリスティーナ・ブラウンを出産した。


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       ホイットニー&ボビー・ブラウン(アシュトン・サンダース)


 1998年、オリジナルアルバムとしては実に7年ぶりとなる『マイ・ラヴ・イズ・ユア・ラヴ』をリリース。翌年にはVH1 Divas Live 99に出演して高評価を得るなど、再び歌手活動を本格化させた。



My Love Is Your Love


 2000年にベスト・アルバム『ザ・グレイテスト・ヒッツ』を発売したが、このころ、大麻所持で拘束された。健康を害し、その後大麻やコカイン等の常用を告白している。夫のボビー・ブラウンも暴行などで度々逮捕され、浮気も発覚。

 2004年から、クライブ・デイヴィスのアドバイスにより、リハビリ生活を続けた。娘とプールで楽しそうに泳いだり。けれども、2006年、ボビー・ブラウンとの結婚生活に終止符を打つ。

 2008年6月には年末にクライヴ・デイヴィスのプロデュースの元、ニュー・アルバムをリリースすると発表した。しかし、この発売は延期され、実際には8月31日、米国アルバム『アイ・ルック・トゥ・ユー(英語版)』が発売され、1週目で30万枚以上を売り上げビルボード200の初登場1位を獲得、復活を果たした。


2010年2月の東京公演を皮切りに11年ぶりのワールドツアーも実施した。 しかしコンサートで息が切れ
たり、呼吸器の感染症で入院するなど、トラブルが相次ぎ、2011年7月にアルコール・薬物依存からの復帰プログラムを再開した。

 2012年2月11日、ホイットニーは、カリフォルニア州のビバリーヒルトン・ホテル4階客室の浴槽の中に倒れていたところを発見され、死亡が確認された。48歳だった。彼女は、グラミー賞の授賞式を翌日に控え、クライヴ・デイヴィスが主催する恒例の前夜パーティに参加するために、同ホテルに滞在していた。死因は浴室での不慮の溺死であり、遺体からコカインが検出された。

 最後は悲しい死だった。これほどの声量と魅力的な歌声を持ちながら、その人生は決して平たんなものではなかった。実の父親がホイットニーの会社で働いていたが、彼女の稼ぎを使い込んでいたことがわかり、結婚したボビー・ブラウンは色々事件を起こしたり、浮気が発覚したり、ついには離婚に至った。
 そして、麻薬との闘いがあった。麻薬は一度使うと止められなくなるという。この映画とは関係ないが、現代の若者が、麻薬を断ち切るために過ごすリハビリ施設のドキュメントをみたことがあるが、麻薬を使わないで1日過ごすことが、ものすごく大変なのだそうだ。それほど薬の誘惑は激しいものがあるのだそうだ。

 ホイットニーが居た時代は、イギリス勢が席巻しミュージック・ビデオが隆盛を誇り、ハード・ロックが台頭しヒップホップの本格的胎動が始まる時代だった。
 クライヴ・デイヴィスは、ホイットニーを、ゴスペルのルーツを土台に、卓抜した技量と何よりも豊かな感情表現を持つ唯一無二のヴォーカリストに育て上げた。

 亡くなりかたこそかわいそうだったが、歌うことが生きることだったホットニーは、やはり幸せな人だったと思う。こんなにもすばらしい曲をたくさん残すことができて、私たちを感動させたり、喜ばせたりできるのは、やはり並大抵の人間ではないだろう。一般的な幸せの規準には当てはまらないけれど、私は彼女の歌を聴くと、感動するし楽しくなる。きっと天国でも、多くの仲間を歌で喜ばせていることだろう。もちろん、現代でもホイットニーからパワーをもらう人はたくさんいるに違いない。

 映画はホイットニー・ヒューストンの魅力やすばらしい歌声を感じることができるし、ドラマティックな人生も楽しめると思う。ぜひ映画の世界に浸ってほしいと思っている。

原題:Whitney Houston: I Wanna Dance with Somebody
監督:ケイシー・レモンズ   出演:ナオミ・アッキー、 スタンリー・トゥッチ、
アシュトン・サンダース、 タマラ・チュニー
2022年製作/144分/PG12/アメリカ



       Whitney Houston: I Wanna Dance with Somebodyのトレイラー   

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新年ご挨拶 2023年度 [日記・雑感]

あけましておめでとうございます。


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昨年は皆様のブログでたのしませていただき、ありがとうございました。
私は、昨年8月半ばぐらいから、体調を崩し、記事もほとんどアップできませんでした。
入退院もなんどかあり、ブログに参加できなかったことが悔やまれます。12月になって、ようやく元気になってきました。

今年はまた、映画館に通って、記事をブログにアップしたいと思います。
これからも、よろしくお付き合いくださいませ。
本年が、皆様にとりまして、よいお年となりますようお祈り申し上げます。

                       ココより

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ブログのお休み [日記・雑感]

 いつも「ココのつぶやき」をご訪問くださいましてありがとうございます。
 このところ、忙しいことが色々あり、11/14(月)から、1週間ほどお休みさせていただくことにいたしました。記事のアップ、皆様のコメントへのお返事、貴ブログへのご訪問ができなくなります。よろしくお願い致します。 ココより(=^・^=)






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スペンサー ‐ダイアナの決意‐ [外国映画]

 ダイアナさんは、なぜ亡くなったのだろう、その疑問はいつまでも心の片隅にあります。


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 この作品は、「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」のパブロ・ラライン監督がメガホンをとり、ダイアナ妃が、その人生を変える決断をしたといわれる、1991年のエリザベス女王の私邸サンドリガム・ハウスでのクリスマス休暇の3日間を描く。


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 ラライン監督は「ダイアナ妃のキャラクターを作っていく上で常に心掛けていたことは、彼女がもつミステリアスな面と脆い面をバランスよく捉えて、彼女の内面的な世界を作り上げることだった」と言っている。ダイアナさんが美しく壊れていくシーンを切り取っていて、映像で描かれるのはすべてダイアナ妃の幻想であり、王室に閉じ込められていると感じるその心の中を映像化している。

 作品中、子どもから大人になるまでのダイアナさんが、力いっぱい、楽し気に人生を歩んでいる様子が描かれる場面がある。彼女はとても幸せな、子どもらしい子ども時代を過ごしていた。

 運命が一転したのは、ダイアナさんが英王室に嫁ぐことが決まってからである。絢爛豪華な結婚式の後に待っていたのは、王室のしきたりを重圧と感じ、それがストレスとなっていったこと。そして、チャールズ皇太子の愛人問題であった。


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 この作品は、ダイアナさんの心象風景を描いているので、かなり不思議な雰囲気があり、映像もミステリアスです。私は面白いと思いました。


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 ドキュメンタリーでは、彼女の結婚式風景やパパラッチに追いかけられているところなどが、繰り返し放映されますので、私は彼女の心の中は知るよしもなかったです。

 映画はダイアナさんが主人公で、しきたりの重圧や夫の不倫の発覚などによって、拒食症になり苦しむ様子が、つぶさに描かれます。どんなに苦しかったかがよくわかりました。


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 ダイアナ妃は幼い頃よりバレエを習っていて、ダンスを愛していたという事実もよく知られているそうです。人気ドラマ「ザ・クラウン」シーズン4でも、大勢の前でダンスを披露するシーンが登場し、そのシーンは実際にあった出来事となっており、2500人もの観客の前で、サプライズでダンスを披露したダイアナ妃に、チャールズ皇太子は苦虫を噛み潰したような顔をしていたという逸話もあります。


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 ダイアナさんにとっての唯一の救いは、二人の王子と過ごす時間だったようだ。だからこそ、かろうじて、自分を保っていたのだろう。

 よくぞ離婚したと思ったのに、若くして亡くなったのがとても残念です。映画では、最後までは描かれません。

 主演のクリステン・スチュワートは、ほんとうにダイアナ妃そのものだった。彼女はアメリカ人なので、ダイアナ妃のクイーンズイングリッシュをものにするのに、大変苦労したようだ。表情が本当によく似ていた。ラライン監督は、クリステンはダイアナ妃がもっていたミステリアスな雰囲気を持つ、数少ない女優だと言っている。クリステン・スチュワートは、第94回アカデミー賞(2022年)の主演女優賞にノミネートされています。

 この作品のダイアナ妃の衣装は、全て「シャネル」が手掛けました。すばらしい衣装でした。

 ダイアナさんが亡くなったとき、実兄のスペンサー氏が、「ダイアナは英王室に殺された」と、TVのインタビューで答えておられたのが、印象的でした。


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        本物のダイアナ妃


原題:Spencer 監督:パブロ・ラライン 出演:クリステン・スチュワート、サリー・ホーキンス、
ショーン・ハリスetc.
2021年製作/117分/G/ドイツ・イギリス合作





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百花(ひゃっか) [日本&アジア映画]

 始まりは、原田美枝子演じるピアノ教師百合子のピアノ演奏の場面。音楽は「トロイメライ」で、とてもゆったりとしたいい曲だなと改めて思った。「トロイメライ」は劇中、何度か演奏される。

 最初、原田美枝子さんのピアノ演奏がとても上手だったので、プロの奏者のものと勘違いしていました。調べてみると、原田さんは昨年からピアノを練習されて、この映画の中では原田さんが演奏されたものを流しているとのことでした。訂正してお詫びいたします。


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       百合子(原田美枝子)


 トロイメライ  演奏:フジコ・ヘミング(映画の演奏とは無関係)


 この作品の撮影は、1シーン1カットを採用している。その理由は「人間の脳の働きをそのまま映像化したかった。僕らの生きている実人生に当然ながらカットはかからないので、全て1シーン1カット」
と監督であり映画の原作者でもある川村元気さんは、いっている。


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 レコード会社に勤める青年・葛西泉(菅田将暉)と、ピアノ教室を営む母・百合子(原田美枝子)は、過去に百合子が起こしたある行動により、親子の間には埋まらない溝があった。


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 ある日、百合子が認知症を発症する。冷蔵庫に何パックもの卵が入っていて、家族が気づくのだ。記憶が失われていくスピードは徐々に加速し、泉(菅田将暉)の妻・香織(長澤まさみ)の名前さえも分からなくなってしまう。


 泉は、これまでの親子の時間を取り戻すかのように献身的に母を支え続ける。そんなある日、泉は百合子の部屋で1冊のノートを発見する。そこには、泉が決して忘れることのできない出来事の真相がつづられていた。


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 百合子は、ある男性と恋に落ち、泉を置いて家を出てその男(永瀬正敏)と神戸の小さなマンションで暮らし始める。その男性は神戸の大学に勤める研究者だった。
 「一つ一つ、新しくそろえるのね。」と百合子はいって、普段使いの食器をそろえる。そのことが、嬉しかった。男性は寡黙で優しい人だった。
 しかし、二人の生活は、阪神大震災によって終わりを告げる。


 百合子は自分の家にもどって、また泉と暮らし始める。そして泉と嫁の香織(長澤まさみ)の間に子供ができたことを喜んで、香織のふくらんだお腹をさするのだった。


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      百合子と香織


 百合子は、いつも泉に「ごめんね」と謝る。香織は、ある日泉に向かって「あなたはお母さんが何度誤ったら、許すの」という。泉は子供のころ、母と色々なところへ出かけてかわいがられたことを、フラッシュバックのように思い出す。


 ある日母は、「私、半分の花火がみたいの」と泉に言う。泉は探して、半花火の大会は諏訪湖で夏行われることを知る。そして二人は諏訪湖にでかける。


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              諏訪湖

 そして、百合子の記憶がよみがえり、男性と暮らした神戸で、少し遠くに建っているマンションに阻まれて、半分しか見えない花火がよみがえるのだった。「私、後悔してない」と百合子はつぶやくのだ。

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            菅田将暉&原田美枝子


 なぜ、人は自分に嫌な思いをさせた相手を許すのだろうか。百合子も、恋人と神戸へ出奔して泉を悲しませた。例え、それこそが恋だといわれようと、人は自分に辛い思いをさせた相手を、なかなか許せない。相手が悪い、そう思うことが自分を苦しくさせる。それは、自分の感情との闘いである。

 泉も長い間、自分の感情と闘ってきた。しかし時間が経つにつれ、母、百合子の自分への愛情が思い出され、心が和むときが来る。そして、泉は母を許すことこそ、自分を悲しみや怒りから解放するのだと気づくのだ。

 人を許すことの難しさ、人間の優しさ、そして恋とは何かを、主人公たちの記憶をたどりながら美しい映像とともに綴っていく作品。昨日(9/25)にスペイン、サンセバスティアン映画祭で、川村元気さんが最優秀監督賞を受賞した映画です。ゆったりとした「トロイメライ」のピアノのメロディが、心に沁み込んできて、癒され優しい気持ちになりました。たくさんの人に観ていただきたい作品だと思います。


監督&脚本:川村元気  原作:「百花」川村元気著(文春文庫刊)  
出演:原田美枝子、 菅田将暉、 長澤まさみ、 永瀬正敏etc.
2022年製作/104分/G/日本




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エルヴィス [外国映画]

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「キング・オブ・ロックンロール」、エルヴィス・プレスリーの人生を、「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマン監督のメガホンで映画化。


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 エルヴィス・プレスリーは知っていたが、太っていて、派手な衣装を着ていた歌手、ぐらいの印象だった。もちろん、「好きにならずにいられない」「Love Me Tender」という名曲は知っていたが、ほとんど関心がなかった。

 何年前か忘れたが、エルヴィスブームがまたやってきて、小泉元首相がエルヴィスファンで自分でセレクトしたアルバムを出したりして、すごく人気のあった人なんだなと感心したりしていた。


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エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)


 今回の映画は、主演がアメリカ人のオースティン・バトラー、30歳。歌もオースティンが歌っていて、腰を小刻みに揺らし、つま先立ちする独特でセクシーなダンスを交えたパフォーマンスでロックを熱唱するエルヴィスの姿を再現。


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 「世界で最も売れたソロアーティスト」としてギネス認定もされているエルヴィス・プレスリーに、女性客を中心とした若者たちは興奮し、小さなライブハウスから始まった熱狂はたちまち全米に広がっていった。


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      エルヴィスとマネージャーのトム・パーカー(トム・ハンクス)

 しかし、瞬く間にスターとなった一方で、保守的な価値観しか受け入れられなかった時代に、ブラックカルチャーを取り入れたパフォーマンスは世間から非難を浴びてしまう。やがて故郷メンフィスのラスウッド・パークスタジアムでライブを行うことになったエルビスだったが、会場は警察に監視された。


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     マネージャー、トム・パーカー(トム・ハンクス)

 エルヴィスのマネージャー、トム・パーカーを、トム・ハンクスが演じているが、強欲でエルヴィスを翻弄する悪人として登場。実物に似せるため激太りした。まったくトム・ハンクスとは思えなかった。役者魂というは、すごいものだ。


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    エルヴィス(オースティン・バトラー)とプリシラ(オリビア・デヨング)

 1958年1月20日に、プレスリーはアメリカ陸軍への徴兵通知を受けた。彼は西ドイツのアメリカ軍に入隊する。そこで、エルヴィスはプリシラ・アン・ボーリューと知り合う。プリシラは、エルヴィスの所属部隊の部隊長の継子だった。
 彼は1960年3月5日に満期除隊しアメリカに戻り、1968年にプリシラと結婚する。(しかし、4年後の1972年には離婚)

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本物のエルヴィスとプリシラ、そして娘のリサ(1986)(写真はウィキペディアより)

 エルヴィスは、ますますステージにエネルギーを注ぐようになるが、お金のことや仕事の方向性などは、すべてマネージャーのトム・パーカーに任せっきりだった。そしてトムは、エルヴィスの出演料の50%を自分のものとし、エルヴィスが体調が悪くても、専任の医者に注射をさせ、彼を休ませることはなかった。その薬は、違法なものは使っていなかったが、エルヴィスの身体には合っていないので、彼はいつも不調をかかえていたという。


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 エルヴィスは、ヨーロッパの国々や日本でツアーをしたいという希望を抱いていて、イギリス系のマネージングを手掛ける2人の男性に会い、そのことを彼らに語った。二人はぜひエルヴィスの望むところで、ツアーができるよう手を貸すといった。しかし彼らとの契約は、トム・パーカーによって阻止された。


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 トム・パーカーは、ラスベガスのホテルでエルヴィスのショーを行う契約を、本人の承諾を得ず更新し続けていて、もしその契約を破ったら、多額の違約金を支払わなくてはならない状態にしていた。
 映画では、トムがエルヴィスのことを心配するのではなく、どんなに体調が悪くてもステージに立たせるために、医者に投薬させたり注射させたりを繰り返していたように描かれていた。


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エルヴィスの自宅グレイスランド(テネシー州メンフィス)


 1977年、エルヴィスはテネシー州メンフィスの自宅グレイスランドで突如亡くなった。死因は、処方薬の極端な誤用による不整脈だったそうだ。スターとして人気絶頂のなかの死は、世界中に驚きを持って知らされた。
 
 彼の没後、遺族はトム・パーカーを訴え、トムは処分を受けたとのことである。


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 ビートルズやクイーンにも影響を与えたすばらしいロック歌手エルヴィス・プレスリー。そのお墓には、今もファンの人々が花を絶やすことがない。

 これは本当に悲しい映画だった。優れた才能がありながら、悪いマネージャーに操られて、非業の死を遂げたエルヴィスの孤独を思うと胸が痛む。

 比較するのもなんだが、クイーンのフレディ・マーキュリーも、悪いマネージャーに操られた時期もあり、エイズという不治の病に苦しんだが、紆余曲折はあったものの、信頼できる仲間に支えられて、最後までやりたい仕事を続けることができたのは、本当に幸せだったと思う。

 エルヴィスはやりたいことをやり切れずに亡くなったが、その魅力的な歌声とすばらしいメロディーは、これからも多くの人々に語り継がれることだろう。


映画のトレイラー。オースティン・バトラーのなりきり振りをご覧ください。



本物のエルヴィスの歌もどうぞ。
「好きにならずにいられない」




「監獄ロック」




「ラブ・ミー・テンダー」



原題:Elvis  監督:バズ・ラーマン  出演:オースティン・バトラー、 トム・ハンクス、
ヘレン・トムソン、 リチャード・ロクスバーグ、 オリビア・デヨングetc.
2022年製作/159分/G/アメリカ





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平原綾香コンサート ’22.6.19 [音楽]

 6月19日(日)大阪フェスティバルホールでの、平原綾香さんのコンサートに行ってきました。
 歌がすごくうまい人だなと思っていたので、ぜひ一度生の声を聴こうと思って行きました。最初から、美しい歌声と素敵な衣装で楽しませてもらいました。綾香さんは現在38歳です。


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 では綾香さんの略歴より。13歳の時に初めてアルトサックスを手にし、洗足学園大学附属高等学校(現在:洗足学園高等学校)音楽科でクラシックのサックスを学んだ。芸能界デビューのきっかけは、高校の文化祭の時にミュージカル『天使にラブソングを2』でリタ役を演じ「Joyful Joyful」を歌い、ドリーミュージックの社長の目に留まったことからだそうです。


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 洗足学園音楽大学ジャズコースサックス専攻入学。サックスを二宮和弘とボブ・ザングに師事。2007年(平成19年)3月洗足学園音楽大学を卒業。卒業時には「学長賞」を受賞したとのこと。綾香さんが卒業した洗足学園音楽大学の前田ホールでは、後に綾香さんのデビュー曲 「Jupiter」と10枚目のシングル「誓い」のプロモーションビデオの撮影が行われています。


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 コンサートツアーでは毎年趣向を変えていて、ボイスパーカッション、歌いながらタップダンス、歌いながらアイリッシュタップを取り入れたり。そして、出演したミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』より「Love Never Dies〜愛は死なず」をオペラ調で歌唱するなど、常に挑戦を続けています。
 2022年度の挑戦は、コンサートツアーで「The LIVE」「The COVERS」「The SESSIONS」と銘打った3つのコンサートが、それぞれの会場で開かれます。私が行ったのは、大阪のフェスティバルホールで、「The LIVE」でした。


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 まずは、綾香さんの大ヒット曲、「ジュピター」をお聴きください。


  「Jupiter」


 綾香さんはMCもとても上手いです。ほんとに自然体で、個人的に話しかけられているような気がします。次の曲は、最新アルバム「思い出がラブレター」の中の曲で「キミへ」です。この曲は、綾香さんが一番大変な時期に、創った曲だそうです。たぶん最愛のお父様をなくされた時だと思うのですが。
お父様はマルチリード奏者だったとのことです。


「キミへ」

 次の曲は、あるドラマの主題歌だそうです。

「明日」

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 綾香さんは、音大でジャズコースを専攻。なので、ちょっとジャズも聴いてみてください。
  

Night in Tunisia (ナイト・イン・チュニジア)

 トリノオリンピック金メダリストの荒川静香さんが綾香さんのファンで、紅白歌合戦の舞台で、綾香さんの横にいて、生の歌声を聴いている映像です。


「誓い」

 最後の方に、自分のオリジナルグッズを宣伝したりして、おちゃめなところもみせてくれました。
アンコールに3曲も歌ってくれたり、サービス精神旺盛な、素敵なシンガーです。また来年もライヴに行きたいなと思いました。

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