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パーフェクトデイズ [日本&アジア映画]

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 役所広司(役名:平山)が主演です。この人はとてもカッコいい俳優だなと思いました。この映画の役柄は、東京・渋谷のトイレの清掃員の男です。役所さんは動きがキビキビしていて、まるでスポーツ選手のようなのです。


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平山(役所広司)と姪のニコ(中野有紗)
 
 平山(役所広司)は小さなボロアパートに住んでいます。朝は、近所の人が掃く竹ぼうきの音で、同じ時間に目覚め、朝ご飯を食べたら、すぐ車で渋谷区内17カ所の当番の公共トイレへ掃除用具を持って出かけ、そのトイレを念入りに磨き、ピカピカにします。そして、清掃員仲間のタカシ(柄本時生)と
その彼女アヤ(アオイヤマダ)を車で送ったりします。


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タカシ(柄本時生)、平山(役所広司)、アヤ(アオイヤマダ)

 平山は車中で、ザ・アニマルズの「THE HOUSE OF THE RISING SUN」(朝日のあたる家)、表題曲とも言えるルー・リードの「PERFECT DAY」、ニーナ・シモンの「FEELING GOOD」などをカセットテープで聴きます。これがすごくよかったです。耳見覚えのある曲と初めて聴いたのとがありましたが、音楽は最高でした。私は「THE HOUSE OF THE RISING SUN」しか知らなかったので、他の曲もすばらしいと感激しました。


 ある日、平山はタカシ(柄本時生)から、アヤとのデート代がないと打ち明けられ、お金を無心されます。平山は黙ってなけなしのお金を貸すのですが、タカシは次の日に清掃員をやめてします。平山は「掃除のシフトはどうするんだよ!」と怒りながらも、その感情をタカシ本人にも、他の誰にもぶつけることは、ありませんでした。

 彼は清掃が終わると、銭湯へ行ったり、いつもの一杯飲み屋へ寄ったり、カメラで公園の木々の木漏れ日を撮影したりします。それをカメラ屋で現像してもらい、家に帰って缶にその写真を入れ、押し入れにしまうのです。けれども、誰とも会話したり、無駄口をたたくことさえないのです。

 
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 平山は休日のたびにある古本屋に出向き、古本の文庫を買って読むことが楽しみでした。

 そしてときには、美人ママがいる小さなバーへ一杯飲みに行きます。この美人ママを石川さゆりが演じていて、1曲歌ってくれます。それがとてもすばらしいです。「朝日のあたる家」の英語を日本語に訳した歌詞だそうです。最高の歌のシーンです。


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 そしてある日、平山は開店前のそのバーへいったところ、男が一人店の中に居てママと親しい様子だったことに、ちょっとびっくりします。


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 その男(三浦友和)と成り行きで、話すことになった平山でした。二人は店を出て、海辺のほうに歩いていきます。男は、ママの元亭主ですが、ガンが進んでもう治らないと、平山に打ち明けます。
 平山は何を話したらいいかわからずその男に、「あの、影踏みしませんか?」といいます。そして大の男二人はだんだん夢中になって、影踏みをして、最後は笑い合います。このシーン、とてもよかったです。


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 平山は寡黙な男ではありますが、決して冷たい人間ではないのだなということが、だんだんにわかってきます。
 けれども、なぜもっといい仕事にも付けそうな男性が、トイレ掃除などして、独身で一人でボロアパートに住んでいるのか、そしてほんの些細な趣味や楽しみを見つけて毎日ほぼ変わらない生活を営んでいるのかは、全く語られません。そこが大きな謎です。

 でも彼は、不幸には見えません。それどころか、フッと微笑んだりすることも多いのです。平山は、先のことはほとんど考えず、ただ今を生きることしか考えていないのだと思いました。それはある意味、幸せなことかもしれません。

 色々な目標を目指して人々は努力し、だんだん地位があがったり、有名人になったり、お金持ちになったり。それが一般的な人の目指す人生ですね。
 
 それを無視して、煩わしいことを一切捨てて、必要最小限ともいえる生活を送っている平山。これは案外いい生き方をしているのかもしれないと思ったり。欲がない男、平山の生活がいいなと思える瞬間もありました。孤独ではあるでしょうが、これからも、彼は今の生活を変えずにひょうひょうと生きていくのでしょう。

 色々な出来事が起こる人生ですが、今日1日を大事に生きていきたいと思いました。

「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ビム・ベンダースが、2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては「誰も知らない」の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。

 カンヌ国際映画祭では男優賞とあわせ、キリスト教関連の団体から、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。そして、アカデミー賞の長編外国語映画賞にもノミネートされている。受賞が待たれる日々です。

題名:パーフェクトデイズ
監督:ヴィム・ベンダース  脚本:ヴィム・ベンダース&高崎卓馬
製作:柳井康治       エグゼクティブプロデューサー:役所広司
出演:役所広司、 柄本時生、 麻生祐実、 石川さゆり、 三浦友和、 中野有紗、
アオイヤマダ、 田中泯、 謙ナオコ、 松金よね子etc.
2023年製作/124分/G/日本
劇場公開日:2023年12月22日
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ポトフ美食家と料理人 [外国映画]

 トラン・アン・ユン監督の作品です。「青いパパイヤの香り」「夏至」などの作品があり、私は好きです。
 この映画は、料理への情熱で結ばれた美食家と料理人の、愛と人生を描き、2023年・第76回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した映画です。最後に予告編を貼りました。よかったらご覧ください。

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 19世紀末、フランスの片田舎のシャトーに住む美食家ドダン・ブファンは、「食」を追求し芸術にまで高めた。そして彼が閃いたメニューを完璧に再現する天才料理人ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)の評判はヨーロッパ各国に広まっていた。彼らは20年以上も一緒に料理を作り、美食を探求している。彼がレシピを読み、彼女が実践する。ふたりでアイディアを出し合い、ときには一緒に料理をし、親しい美食家仲間を招き食事会をする。

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          ドダンとウージェニーがつくった料理

 ある日、ユーラシア皇太子から晩餐会に招かれたドダンは、ただ豪華なだけの退屈な料理にうんざりする。食の真髄を示すべく、最もシンプルな料理・ポトフで、返礼として皇太子をもてなすことを決めるドダンだった。


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  ユーラシア皇太子の食事会。(食事そのものの写真はありませんでした)

 ドダンは、長年の料理家としてのパートナー、ウージェニーに結婚を申し込み、二人は料理仲間に囲まれて、幸せな結婚式を挙げる。


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 ガーデンウェディングですが、豪華とかいうのではなくナチュラルで緑が美しく、仲間と美味しい料理とワインに囲まれて、笑いの絶えないすばらしい式でした。

 そんな二人の新婚生活が始まったばかりのとき、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンはすべて自分の手でつくる渾身の料理で、愛するウージェニーを元気づけようとするが、ドダンの願いもむなしく、ウージェニーは帰らぬ人となったのである。

 ドダンは、しばらくの間、食べ物もろくに喉を通らなかった。友人たちが色々美味しいものを持って来てくれるのだが、それも食べられなかった。

 しかしドダンは、ユーラシア皇太子をポトフでもてなすために究極のポトフを作らなければならないことは、忘れていなかった。

 そこで、ドダンは、ウージェニーに変わる女性の天才料理人を探すべく、さまざまな女性の料理人を自宅に呼んで料理をさせる。しかし、誰一人として、ドダンの味覚を刺激してくれる女性料理人はいなかった。
 
 けれどもドダンは台所で仕事をさせている下働きの少女(後ろ姿の少女)が、料理の味にとても敏感なのを見抜いていた。

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 そして、ついにある日、ドダンの美食家の友人が、天才料理人と思われる人の料理を持って、ドダンのもとにやって来た。
 その料理を一口試食したドダンは、下働きの少女を連れて、新しい天才料理人に会いに行くのだった。この少女を第2の天才料理人に育てるために。

 この作品は、ミシュラン3つ星シェフのピエール・ガニェールが料理監修を手がけ、シェフ役で劇中にも登場しています。
 フランス料理というのは、種類も量も料理にも多くのワインを用いるし、食べるときもこの料理にはあのワインという風に、ワインとのマリアージュ(マッチング)をとても大切にしている料理なのだということを、改めて気付かされた。

 ところで、ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)が料理をする場面があるのだが、大きな銅鍋に玉ねぎや人参やじゃがいもなど、ゴロゴロと入っていて、それを炒めるのがいかにも料理人という感じだったが、彼女の細い腕でさぞ大変だったろうと思う。
 ドダン(ブノア・マジメル)も料理をつくるのだが、素人とは思えない手さばきだった。俳優は、その役によって、色々なことをこなさないといけないのが、本当にすごいことだと改めて思う。

 監督のトライ・アン・ユンはベトナム人で、13歳の時にフランスに渡ったそうだ。とても知的で、繊細な映画を創る人で、人の心の機微を表現するのに長けていると思う。

 本作品はとても楽しい映画で、これをみたら映画のあとは、きっと美味しいものを食べ、いいワインを飲みに行きたいという気持ちになると思う。ポトフを自分で作りたくなるかもしれない。






原題:La Passion de Dodin Bouffant (The Pot-au-Feu)
日本語タイトル:ポトフ美食家と料理人
監督:トライ・アン・ユン    脚本:トライ・アン・ユン
製作:オリビエ・デルボス    出演:ジュリエット・ビノシュ、 ブノア・マジメル、
エマニュエル・サランジュ、 パトリック・ダマンサオ、 ガラテア・べルージュetc.
2023年製作/136分/G/フランス
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明けましておめでとうございます [日記・雑感]

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昨年は皆様の記事で楽しませていただき、ありがとうございました。
今年も映画を観て、自分がよいと思うものをアップしていきたいと存じます。
今年もよろしくお願い致します。 ココより



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ナポレオン [外国映画]

 ナポレオンがどういう人物かは、あまり知らなくて、ルーブル美術館の戴冠式の絵が印象に残っているくらいです。

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    ナポレオン(ホアキン・フェニックス)

 「グラディエーター」の巨匠リドリー・スコット監督が「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを主演に迎え、フランスの英雄ナポレオン・ボナパルトの人物像を新解釈で描いた歴史スペクタクル。

 加筆というか、映画com,からの情報です。ナポレオンは、やはり戦いに長けていた人だったようです。
 将校の父を持ち一時は軍人を目指したこともあるのが、リドリー・スコット監督だそうで、8本目の史実戦記となる本作では、フィルモグラフィー最多となる6つの大規模な戦場シーンを詰め込んでいます。
 開巻の局地戦から、ワーテルローの戦いに至るまで、俯瞰からクローズアップ、砲戦から白兵戦まで、リアルなゴア描写も含め当時の戦争を可能な限り視覚的に再現しています。
 その中に、人間的なナポレオンの姿も取り入れたということでしょうね。

 18世紀末、革命の混乱に揺れるフランス。若き軍人ナポレオン(ホアキン・フェニックス)は目覚ましい活躍を見せ、軍の総司令官に任命される。ナポレオン は夫を亡くした女性ジョゼフィーヌ(バネッサ・カービー)と恋に落ち結婚するが、ナポレオンの溺愛ぶりとは裏腹に奔放なジョゼフィーヌは他の男とも関係を持ち、いつしか夫婦関係は奇妙に曲がった方向に行く。


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 とはいうものの、このマリーアントワネットの時代には、夫以外に愛人を持つのが普通だったように思っていましたが。夫以外の男性といかにすばらしい恋愛するかというのが、特に貴族階級の風潮だったのではなかったかしら。

 ナポレオンは「英雄」として快進撃を続け、クーデターを成功させて第一統領に就任、そしてついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰める。


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 戴冠式の様子

 政治家・軍人のトップに立ったナポレオンと、皇后となり優雅な生活を送るジョゼフィーヌだったが、2人の心は満たされないままだった。やがてナポレオンは戦争にのめり込み、凄惨な侵略と征服を繰り返すようになる。


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 戦闘のシーンはすごくリアルで迫力があった。ロシアに攻め込んだとき、湖の氷が割れ、傷ついた兵士たちが水中に投げ出され、もがき苦しみ、水が赤く染まるという水中を撮影したシーンがあった。こういう場面はあまり見たことがなかったのだが、残酷な場面だなと思いました。

 この作品は戦闘シーンが多いのだが、それが作品に迫力をもたらし、ナポレオンの残虐さをよく伝えていると思う。

 ナポレオンは、終生ジョセフィーヌに手紙を書き続ける。彼女からも返信が来る。彼らはやはりお互いを心の支えとして、必要としていたと思う。しかし、ジョセフィーヌはジフテリアで自分の屋敷で一人で亡くなり、ナポレオンは、セントヘレナ島(岩だらけの島)へ島流しになって、そこで息絶える。もちろん、死ぬまで彼女に手紙を書き続けるのだ。
 ナポレオンは、ジョセフィーヌといるとき、そして手紙を書くとき、子供っぽさが見えた。彼の人間性が垣間見える場面だった。でも彼は、自分の本当に大事なものに最後まで気がつかなかったのだろうか。

 戦闘の場面は他の誰も創りえなかった、リドリー・スコットならではの優れた描写なのだと思いました。私自身が戦闘というものをあまり理解できないし、好きではないので、ナポレオンの人間性についての感想になってしまっていますが、ナポレオンと「戦い」は切っても切れないものだったようですね。

 映画の最後に、ナポレオンが指揮した戦闘での死傷者は300万人にのぼると書いてあった。

原題:Napoleon  邦題:ナポレオン
監督:リドリー・スコット   
脚本:デビッド・スカルパ
出演:ホアキン・フェニックス、 バネッサ・カービー、 ポール・バラス.
タハール・ラヒム、マーク・ボナー、 ルパート・エベレット、
ユーセフ・カーコア
撮影:ダリウス・ウォルスキー

2023年製作/158分/PG12/アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2023年12月1日
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ロスト・キング 500年越しの運命 [外国映画]

 こんばんは。ご無沙汰しております。もう年末で、今年も残り少なくなりました。皆様お変わりなくお元気で、ブログを運営されているのをいつも楽しく拝見しておりました。
 この記事からまた、ブログを続けていこうと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。ココより


 さて、この映画「ロスト・キング」は「事実は小説より奇なり」という言葉がぴったりの作品で実話です。静かにヒットしていました。私はサリー・ホーキンスのファンなので、楽しかったです。


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 映画「クィーン」の名匠スティーブン・フリアーズが創った作品。「シェイプ・オブ・ウォーター」のサリー・ホーキンスが主演です。500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の、遺骨発見の立役者となった女性フィリッパ・ラングレーの実話をもとにした作品です。


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(リチャード三世のことが、頭から離れず、仕事中も公園で空想に耽っているフィリッパ)


 フィリッパ(サリー・ホーキンス)は職場で、自分の持病が、ME(筋痛性脳脊髄炎)で、上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。夫婦は別居中ではあるが、子育ては分担し、よい関係を保っていた。


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 夫ジョン(スティーヴ・クーガン)とフィリッパ(サリー・ホーキンス)


 ある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞したフィリッパは、悪名高きリチャード3世も、実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込む。そして、フィリッパはリチャード三世の幻影をよく見るようになる。
 映画では、舞台でリチャード三世を演じた俳優ハリー・ロイドがリチャード三世の幻影も演じている。


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      リチャード三世とフィリッパ


 フィリッパは、リチャード三世に関する書物を読破し、シェイクスピアの戯曲の影響で、彼が悪名高き国王になったことを知る。そして「リチャード三世協会」に入会する。


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リチャード三世(ハリー・ロイド)

 「リチャード三世協会」なるものがあるのが、英国の面白い所。英国人は歴史好き、王室好きなんでしょうね。この協会員達は、すごい情熱をもって、リチャード三世の遺骨を発見しようと、全力を挙げて日夜努力している。それが興味深い。王室というものに対する、揺るぎない愛をもっているのが、特にイギリス人ではないだろうか。そして、彼らは集まっては、真剣に議論し、パブでお酒を飲む。なんと楽しい会だろう。

 それにしても、名もない女性フィリッパが男性中心の社会の中で声をあげ、500年もの長きにわたって誰もなしえなかった、リチャード三世の遺骨発見という偉業を、めげることなく成し遂げたというのは、あり得ないようなすごいことだと思った。

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     リチャード三世とフィリッパ

 フィリッパは亡骸が、レスター(街の名前)のグレイフライヤーズ教会の敷地内に眠っているとの説があることに注目。そして、開発区画に取り残された駐車場に足を踏み入れたとたん、フィリッパは、強烈な感覚に襲われる。そして、ふと地面をみるとそこには、「R」文字が!駐車場の係員に、”R”の意味を問うと、係員は「Reserved(専用駐車場)」と答える。

 少しがっかりするフィリッパだったが、市議会の支援を調達するため、レスター市議会に乗り込んで①様々な歴史的調査の結果もあるし、自分の直感で駐車場がリチャード三世の永眠の地であると、強く感じていること。 ②ある博士のDNA調査を用いて、発見物とリチャード三世の存命の子孫のクロスマッチ試験を行い、身元確認ができ得ること」を説明。もちろん、反対意見もあったが、結局資金は調達できることになった。

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 発掘の第一段階では、何も発見されず、資金も取り下げられ、フィリッパは肩を落とすが、クラウドファンディングを立ち上げ、世界中の「リチャード三世協会」の会員に呼びかけたところ、発掘調査に十分な資金が集まり、しかも500通もの応援メッセージが寄せられた。

 2012年8月25日、”R“のマークの場所から再発掘が行われるや否や、人骨の一部が現れる。フィリッパは直感で「リチャード三世に違いない」と確信。そしてフィリッパは「もっと奥を掘って!」と皆に言う。そして、ついに遺骨一式を発掘したのだった。

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 こうしてDNA鑑定でも、この遺骨がリチャード三世のものと正式に認められた。

 2015年3月26日、プランタジネット家の最後の王であるリチャード三世(1452~1485)が、あらゆる敬意と尊厳と名誉をもって、レスター大聖堂にて再埋葬された。同大聖堂の前には、弔意を示すために数千人が集まった。
 エリザベス女王は手書きのメッセージを送り、「再埋葬は英国だけでなく国際的にも大きな意味を持つイベントだ」とし「遺骨の発見は、英国の歴史において重要な考古学的発見」と述べたとのこと。
 同2015年にフィリッパ・ラングレーさんは、リチャード三世の遺骨発掘と特定における貢献に対し、エリザベス二世により、大英帝国勲章第5位(MBE)を授与された。

 この映画についての評論として「これは究極の押し活といっても過言ではない」と書かれていて、なるほど、まさにその通りだと思いました。
 「押せる!」と思えるきっかけは、人それぞれ。フィリッパさんはリチャード三世に出会って「押しの名誉回復」のために奔走しまくります。その人生の時間はとても充実したものだったと想像できます。私の「押し」はなんなのか、今からでもそれを探し出したいものです。

ロスト・キング500年越しの運命 予告編




2022年製作/108分/G/イギリス
原題:The Lost King
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2023年9月22日
監督:スティーブン・フリアーズ
製作:スティーブ・クーガン クリスティーン・ランガン ダン・ウィンチ
製作総指揮:キャメロン・マクラッケン ジェニー・ボーガーズ ローズ・ガーネット アンドレア・スカルソ ジェフ・ポープ フィリッパ・ラングレー

出演:フィリッパ・ラングレー:サリー・ホーキンス  ジョン・ラングレー:スティーブ・クーガン
リチャード3世/役者ピート:ハリー・ロイドetc.

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宮崎駿「君たちはどう生きるか」 [日本&アジア映画]

 お彼岸となり、ようやく暑さがましになってきましたが、皆様にはお変わりございませんか。私、夏の間はあまりの暑さに、まったくやる気がでなくて、夏負け状態になりお休みし、そのまま9月の終わりになってしまいました。大変ご無沙汰いたしました。

 先日、長編アニメーション作品「君たちはどう生きるか」を観てきました。
これは、宮崎駿監督が「風立ちぬ」以来10年ぶりに創作した長編作品。宮崎さんが「風立ちぬ」公開後に表明した、長編作品からの引退を撤回して手がけた作品です。監督の記憶に残る、かつての日本を舞台に、自らの少年時代を重ねた、自伝的要素を含むファンタジー。


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 これが、アオサギです。鷺の頭の下から、人間の顔がちょっと見えています。
      
 母親を火事で失った少年・眞人(まひと)は父の勝一とともに東京を離れ、「青鷺屋敷」と呼ばれる広大なお屋敷に引っ越してくる。眞人は、亡き母の妹であり、新たな母親になった夏子に対して複雑な感情を抱き、転校先の学校でも孤立した日々を送る。そんな彼の前にある日、鳥の姿になったり、人間の姿にも変身する不思議な青サギが現れる。

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              眞人(まひと)(声の出演:山時聡真)

 その青サギに導かれ、眞人は生と死が渾然一体となった世界に迷い込んでいく。


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        新しい母親、夏子

 この作品は、人の動きが今までのアニメより、相当スムーズになっていて、びっくりしました。そして、風景や昔の日本の立派なお屋敷が美しく雰囲気があって、まるで油絵を観ているようで、すばらしいの一言でした。この風景やお屋敷の絵はアニメーションではないのかもしれません。この記事に添付している絵の風景と、タッチが全然違うと思いました。

 主人公眞人の母は、空襲で入院している病院が火事になって、亡くなりました。その後、亡くなった母親そっくりの新しい女性が父と結婚し、眞人の世話をしてくれます。その人は亡き母親の妹でした。

 そして、お屋敷の庭に住んでいるヘンなアオサギが現れ、眞人を生者と死者が混在する不思議な世界へと導きます。

 そこからは、宮崎ワールド全開で、変わったキャラクターが次々と登場します。怖くもあり、おもしろくもありました。亡くなった眞人の母もそこに居ました。
 この世界で、眞人は変な生き物に命を狙われたり、そこで暮らしている女の子に助けられたり、アオサギに救われたりします。


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 この女の子は不思議な世界に住んでいますが、眞人と出会い、彼の危機を救います。

 最後に、眞人の祖先である不思議な老人が現れます。この老人は、空間に浮かぶ積み木を操っていて、そのバランスを保つことで争いのない平和な世界を維持できると、眞人に説明し、この積み木のバランスを保つ作業は、自分の子孫にしかできないので、長い間自分の子孫がやって来るのを待ち望んでいたというのです。


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 しかし、眞人はその作業を継承することを断り、不思議な世界からアオサギと女の子とともに脱出して、愛する家族の住む現実世界に帰っていくのです。そして、生者と死者の混在する世界は、消滅します。眞人は人間界に戻って、両親やお屋敷で働く人々と再会することができました。

 宮崎さんは、生者と死者が混在している平和で完全な異界で暮らすよりも、色々なことがあるが、人間界で愛する人々と一緒に暮らすのが人間にとって幸せなのだということを、言いたかったのかと思いました。これからも、長編でなくても、短編でいい作品を創り続けていただきたいものです。



原題:君たちはどう生きるか  原作・脚本:宮崎駿オリジナル作品
声の出演 眞人:山時聡真、 アオサギ:菅田将暉、 その他、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、
木村拓哉、大竹しのぶ、國村準、小林薫、火野正平etc,
作画監督:本田雄(「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ)
音楽:久石譲
主題歌:米津玄師 書き下ろし新曲「地球儀」
なお、タイトルは吉野源三郎著「君たちはどういきるか」より借りたもの

2023年製作/124分/G/日本
配給:東宝
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インディー・ジョーンズ [外国映画]

 ハリソン・フォード演じる考古学者インディ・ジョーンズの冒険を描く「インディ・ジョーンズ」シ
リーズの第5作を観てきました。


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 前作から15年ぶりの新作となり、過去4作でメガホンをとったスティーブン・スピルバーグはジョージ・ルーカスとともに製作総指揮を務め、「LOGAN ローガン」「フォードvsフェラーリ」のジェームズ・マンゴールドが監督です。


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 ハリソン・フォードは御年80歳だそうです。どこまでがCGかはわからないのですが、ハリソン、かなりの活躍ぶりでした。びっくりです。

 考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)の前にヘレナ(フィービー・ウオーラー=ブリッジ)とgaいう女性が現れ、インディが若き日に発見した伝説の秘宝「運命のダイヤル」の話を持ち掛ける。


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ハリソン・フォード&フィービー・ウオーラー=ブリッジ

 ハリソン・フォードの相棒を務めるフィービー・ウオーラー=ブリッジは、かなりの美人でアクションも大丈夫な女優さんです。相当すごい場面が多かったのですが、上手く演じていたと思います。

 ところで、「運命のダイアル」という機器を手に入れるため、インディは、因縁の宿敵、元ナチスの科学者フォラー(マッツ・ミケルセン)と争奪戦を繰り広げるのである。


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 マッツ・ミケルセン(元ナチスの科学者フォラー)です。こんな優し気な写真しかなくて。
素敵ですよね、マッツ・ミケルセン。007での敵役もすごく怖かったけど、今回も見るからに怖いですよ。デンマーク人だそうです。

 スペインの名優アントニオ・バンデラスも出演していたらしいのですが、わからなかったです。見つけられなくて、残念!

 さて「運命のダイヤル」とは何でしょう。それは、映画を観てのお楽しみにとっておきましょうね。

 巨匠ジョン・ウィリアムズが、シリーズおなじみのテーマ曲と音楽を担当。

 アクションあり、秘密ありで結構楽しませてくれます。俳優もそろっていて、娯楽作ですが、出演の俳優たちが、自分の役を必死で演じているという、彼らのエネルギーが伝わってきました。



原題:Indiana Jones and the Dial of Destiny  監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ハリソン・フォード、 アントニオ・バンデラス、 フィービー・ウォーラー=ブリッジ、
マッツ・ミケルセンetc.
2023年製作/154分/G/アメリカ
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気軽なランチ 京都四条河原町 [日記・雑感]

 5月5日に、ちょっと京都へ行ってきました。ゴールデンウィークはどこも混んでいますが、ランチを、高島屋/京都店2階の喫茶室「バラの木」で食べました。こういう時、食堂街ではなく、各階の喫茶室だったらけっこう空いていますよ。洋食系の喫茶ですが、お料理がなかなかおいしいのです。お店もきれいです。

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 kさんと一緒に行きました。私が食べたのは「鯛のポアレ」ランチです。
  
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            鯛のポアレ

 鯛の焼き加減が良く、身もプリプリでソースもおいしかったです。付け合わせはキャベツの茹でたもの。これに、グリーンサラダ、パン、コーヒーなどの飲み物とミニアイスが付いています。kさんは、「タコのスパゲティーランチ」で、おいしいといってました。↑のと同じものが付いています。

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          タコのスパゲティー

 京都のビールも飲みましたが、メーカーもののほうがおいしかったかしら?
 
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 もし、京都へ行ってどこも混んでいるようだったら、お勧めのお店です。ただし、予約はできません。ほかにも、ビフカツ、サンドイッチ、ピラフ、野菜カレー、パフェ類、ケーキ類、各種飲み物があります。食べていないのですが、画像がきれいなので、アップしておきますね。

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      パフェ類

 気が張らず結構おいしいものが食べられます。もし、京都で食べるところに困ったら、利用してみられたらと思います。

但:画像は全て、「バラの木」さんのサイトからお借りしました。
 
「バラの木」高島屋/京都店 2階
 Tel: 075-221-8811

 

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パリタクシー [外国映画]

 この映画の主役は、92歳の魅力的なマダムマドレーヌ(リーヌ・ルノー)でありまた、映画の随所に出てくるパリの美しい風景も名脇役といえるだろう。


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 住み慣れたパリの住居を離れ、老人ホームに向かうマダム(リーヌ・ルノー)を乗せたタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)が、彼女の人生をめぐるパリ横断の小旅行に付き合ううちに、自分の生き方に対する考え方にも、影響をうけるというドラマ。


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     シャルル(ダニー・ブーン)とマダム(リーヌ・ルノー)

 無愛想なタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)は、お金も休みもなく免停寸前で、家族関係もうまくいかず、人生最大の危機に陥っていた。そんな折、彼はタクシー会社からの依頼で、92歳の女性マドレーヌをパリの反対側の老人ホームまで送ることになる。


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               オペラ座


 マドレーヌは、シャルルに次々と寄り道を依頼する。彼女が人生を過ごしたパリの街には多くの秘密が隠されており、寄り道をするたびに、マドレーヌの意外な過去が明らかになる。

 車の中で語られる身の上話は壮絶そのもの。若いころに恋し、子どもを身籠るも、恋人は戦争終結とともに、故郷の国に帰ってしまい、彼女は1人で子供を育てた。その後、別の男性と結婚するが、夫がDV男だったので、その家庭内暴力を何年も受けてきたこと、そして夫への過激なリベンジ(夫を殺しはしなかった)が裁判沙汰となり、25年の刑が下った。

 マドレーヌは映画の中で、1950年代の社会は裁判官は全員男性で彼女の、夫の暴力に対する正当防衛の訴えは聞き入れられなかったと、シャルルに語るのだった。彼女は女性の権利獲得のための社会活動もしたという。


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若いころのマドレーヌ


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 そして、彼らは最後のディナーに向かう。マドレーヌの行きつけのレストランで。


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 この作品を観るとパリが好きになるような、素敵な風景やシーンがたくさん盛り込まれ、マドレーヌとシャルルの会話劇というべきストーリーです。

 けれどもマドレーヌが出所して、青年になった息子と会うと、彼はベトナム戦争に志願して出兵すると、久方ぶりにあった母に告げます。その後、1場面だけの展開で、この息子が戦死したと告げられます。これは、観客にとって、感情移入できないなと思いました。ただのセリフだけで済まされては。映画なので、やはりこの息子が戦死する場面を映像としてみせるべきだったと思います。

 この映画の中にはDVとか正当防衛とか、女性の権利主張とか、色々な問題がほんのちょっと描かれているのですが、これでよかったのかなとも思います。

 とにかく、美しいパリの場面がたくさん出てきて楽しかったです。またパリに行きたくなりました。

 ただし、この映画は最後にサプライズがあります。ただ楽しいだけの作品ではないのですよ。

 マドレーヌを演じるのは、女優、社会活動家としても知られる現在94歳の現役シャンソン歌手リーヌ・ルノー。タクシー運転手シャルルは大物コメディアンのダニー・ブーン。二人は実生活でも友達同士だそうです。


「パリタクシー予告編」



原題:Une belle course  監督:クリスチャン・カリオン  出演:リーヌ・ルノー、 
ダニー・ブーンetc,
2022年製作/91分/G/フランス



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生きる LIVING [外国映画]

 この映画は、黒澤明監督の名作映画「生きる」(主演:志村喬)を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本により、イギリスでリメイクした作品です。私はビル・ナイのファンで、黒澤明監督の「生きる」もかなり前に観たので、ぜひという思いで観に行きました。


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 (アカデミー賞では、カズオ・イシグロさんが脚色賞、ビル・ナイが主演男優賞にノミネートされましたが、無冠に終わりました。残念!)


 1953年、第2次世界大戦後のロンドン。仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、自分の人生を空虚で無意味なものと感じていた。


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 (余談ですが、これは1953年当時のイギリスのサラリーマンの出勤風景です。彼らは、山高帽をかぶり、ピンストライプのスーツやダークスーツを着て、汽車で都心の会社へ通勤していたのです)

 ウィリアムズは息子夫婦と同居していたが、息子とはあまり話すこともなかった。
 
 そんなある日、彼はガンに冒されていることがわかり、医師から余命半年と宣告される。手遅れになる前に充実した人生を過ごしたいと考えたウィリアムズは、仕事を放棄し、海辺のリゾート地のパブで酒を飲んで、スコットランド民謡の「ナナカマドの木」を歌うが、誰も聴いてくれないと彼は思った。(ビル・ナイの歌は、すごくハリがあって上手でした。歌手でもあるのかも最後に添付しています)そして、慣れないショウを観たりするが、まったく溶け込めなくて、満たされない。


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 ロンドンへ戻った彼は、部下の若い女性マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)と偶然道で会い、彼女が役所をやめて、カフェで働くことを知る。そして、マーガレットがウィリアムズに次の職場で雇ってもらうのに、推薦状がいると相談を持ち掛けてくるのを承諾し、彼女をフォートナム・アンド・メイソンのカフェに誘う。そこで推薦状を書くためだ。


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 ウィリアムズ(ビル・ナイ)&マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)
(フォートナム&メイソンはロンドンの老舗百貨店で、そのティールームは有名です。紅茶も有名)

 マーガレットは明るくて、よく話す楽しい女性だった。彼女は前の職場で密かにみんなにあだ名をつけて楽しんでいて、ウィリアムズのことは「ゾンビ」と呼んでいたと、悪気もなく打ち明ける。ウィリアムズはとても細くて静かだからとのこと。


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エイミー・ルー・ウッドは、とても明るく健康的で、お茶目で優しさもある女性、 マーガレットをうまく体現して演じていた。

 ウィリアムズは、元気でバイタリティーにあふれたマーガレットに好感を抱き、映画やパブに誘ったり、彼女の新しい職場であるカフェにも行ったりする。マーガレットはだんだん「え?」という気持ちになるが、親切にも彼につきあうのだった。そしてウィリアムズは、息子にも言っていない、自分がガンに侵されて、長くは生きられないことを、マーガレットにだけ、伝えるのだった。


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 若く明るいマーガレットとつきあうことによって、ウィリアムズは気持ちも明るくなり、自分もまだ残されたやるべきことがあると考え、新しい一歩を踏み出すことを決意し再び出勤する。彼は、部下に指図をして、棚上げになっていた案件を実行に移すことにする。


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 部下の中で、ピーター(アレックス・シャープ)は、ウィリアムズを慕っていて、彼がいないと職場は締まりがなくなると感じていた。


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ピーター(アレックス・シャープ)


 ウィリアムズは、以前から女性3人が再三、陳情に来ていた「子供たちのために公園をつくってほしい」という願いを実現させようと思った。その土地を下見に行くと、そこは大きな水たまりができていて、歩行も困難な場所だった。


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 彼は、この案件をまたしても後回しにしようとする上司に、この工事に必要な書類を入れた箱を持っていき、上司がそれに目を通すまでは、梃子でも動かないことをしめすのだった。


 こうして彼の努力によって、ようやく公園は造られた。そしてウィリアムズは雪の日に、公園のブランコを微笑みながら漕ぐのだった、「ナナカマドの歌」を歌いながら。


 場面は変わって、ウィリアムズの葬儀が行われている。陳情に来ていた女性達、マーガレットやピーターをはじめ、たくさんの会社の同僚や上司がその場に駆けつけて、ウィリアムズのことを思い出し、彼の最後の仕事を称えた。


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 本当に心を打たれる作品でした。ビル・ナイが武骨な紳士そのもので、すばらしかったです。「生きる」とはどういうことなのか、人は命が制限されるとき、何をなすべきなのか、その答えがこの作品にあると思いました。ぜひ、ご覧ください。



      「ナナカマドの木」

原題:Living 監督:オリバー・ハーマナス  出演:ビル・ナイ、 エイミー・ルー・ウッド、
          アレックス・シャープetc.

2022年製作/103分/G/イギリス
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