モリエール 恋こそ喜劇 [外国映画]
結婚は現実生活そのものだが、芸術には恋が必要だ。それを教えてくれた映画である。
モリエールは17世紀のフランスを代表する劇作家である。彼はイギリスのシェイクスピアと並び賞される天才だ。モリエールは若き無名時代、空白の数ヶ月間という期間があったのだそうだ。そのとき一体彼はどこで何をし、その経験をどのように後の喜劇に生かしたのかを、フィクションで描いた作品である。
22才のモリエール(ロマン・デュリス)は、旗揚げした劇団の借金で債権者に追われていた。そのとき、金持ちの商人ムッシュ・ジュルダン(ファブリス・ルキーニ)が助け舟をだす。
ムッシュは美しい公爵夫人セリメーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)に恋焦がれていて、彼女の気を引くため、自分が主役の芝居をしようともくろんでいた。そこで、モリエールを芝居の指南役として迎えることにする。ただし家族に事実を知られないように、モリエールは「司祭タルチュフ」と名乗り、末娘の教育係として屋敷にもぐりこむ。
ロマン・デュリス
作品は喜劇仕立てだったので、上映中始終あちこちからくすくす笑いが起こり、久しぶりにおもしろく観ることができた。特にファブリス・ルキーニ扮するバカな商人ムッシュ・ジョルダンが笑いを誘った。ファブリス・ルキーニは若いときエリック・ロメール監督の作品に多く出演していた。セリフ劇が得意の俳優である。
ロマン・デュリスはフランス映画界の第一人者で、私は「スパニッシュ・アパートメント」がお気に入りだ。彼の作品では「真夜中のピアニスト」が評価が高いようである。
ファブリス・ルキーニ、 ロマン・デュリス、 ラウラ・モランテ
ファブリス・ルキーニのとぼけた演技がすごくおかしかった。他の脇役の人たちも、それぞれにおかしさをかもし出していた。またロマン・デュリス演じるモリエールがムッシュ・ジュルダンに演技指導するとき、「馬」を演じ分けるシーンがあった。「アンダルシアの馬」と「農耕馬」の違いをみごとに表現していた。役者はすごいと思った。
モリエールは、美しいマダム・ジュルダン(ラウラ・モランテ)と恋に落ちる。それはただの遊びではなく、マダムの的確なアドバイスによって、彼の演劇の方向を決めるようなものだった。ムッシュが、他の女性に心を奪われているのを知っているモリエールはマダムに、「私と一緒に行こう!」と誘う。しかしマダムは、彼を本気で好きなのにもかかわらず、冒険の旅には足を踏み出せないのだった。
成就しない恋のすばらしさ。恋愛とはそういうものなのだ。もし、彼と一緒に旅立っても、そこには現実が待っているだけで、恋愛の熱さはたちまちのうちに消えてしまう。そのことをマダムはよくわかっていたのだ。
モリエールが地方で成功をおさめ続けている間に、マダム・ジュルダンは重い病気にかかってしまう。彼は彼女の病床にかけつける。マダムは平凡だが幸せだった結婚生活を彼に語るのだった。
モリエールは芝居の舞台裏で、観客の拍手と笑いと喝采を聞きながら、マダムのことを想い一人涙を流した。ロマン・デュリスの顔がアップになり、彼の整った顔に一筋の涙があふれたとき、私も胸が熱くなった。
恋愛っていいもんだな、そんなことを思わせてくれた。恋の国フランスの粋で素敵な作品である。
原題:MOLIERE 監督:ローラン・ティラール
出演:ロマン・デュリス、 ファブリス・ルキーニ、 リュディヴィーヌ・サニエ、 ラウラ・モランテ、
エドゥアール・ベール
2007年 フランス
モリエールは17世紀のフランスを代表する劇作家である。彼はイギリスのシェイクスピアと並び賞される天才だ。モリエールは若き無名時代、空白の数ヶ月間という期間があったのだそうだ。そのとき一体彼はどこで何をし、その経験をどのように後の喜劇に生かしたのかを、フィクションで描いた作品である。
22才のモリエール(ロマン・デュリス)は、旗揚げした劇団の借金で債権者に追われていた。そのとき、金持ちの商人ムッシュ・ジュルダン(ファブリス・ルキーニ)が助け舟をだす。
ムッシュは美しい公爵夫人セリメーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)に恋焦がれていて、彼女の気を引くため、自分が主役の芝居をしようともくろんでいた。そこで、モリエールを芝居の指南役として迎えることにする。ただし家族に事実を知られないように、モリエールは「司祭タルチュフ」と名乗り、末娘の教育係として屋敷にもぐりこむ。
ロマン・デュリス
作品は喜劇仕立てだったので、上映中始終あちこちからくすくす笑いが起こり、久しぶりにおもしろく観ることができた。特にファブリス・ルキーニ扮するバカな商人ムッシュ・ジョルダンが笑いを誘った。ファブリス・ルキーニは若いときエリック・ロメール監督の作品に多く出演していた。セリフ劇が得意の俳優である。
ロマン・デュリスはフランス映画界の第一人者で、私は「スパニッシュ・アパートメント」がお気に入りだ。彼の作品では「真夜中のピアニスト」が評価が高いようである。
ファブリス・ルキーニ、 ロマン・デュリス、 ラウラ・モランテ
ファブリス・ルキーニのとぼけた演技がすごくおかしかった。他の脇役の人たちも、それぞれにおかしさをかもし出していた。またロマン・デュリス演じるモリエールがムッシュ・ジュルダンに演技指導するとき、「馬」を演じ分けるシーンがあった。「アンダルシアの馬」と「農耕馬」の違いをみごとに表現していた。役者はすごいと思った。
モリエールは、美しいマダム・ジュルダン(ラウラ・モランテ)と恋に落ちる。それはただの遊びではなく、マダムの的確なアドバイスによって、彼の演劇の方向を決めるようなものだった。ムッシュが、他の女性に心を奪われているのを知っているモリエールはマダムに、「私と一緒に行こう!」と誘う。しかしマダムは、彼を本気で好きなのにもかかわらず、冒険の旅には足を踏み出せないのだった。
成就しない恋のすばらしさ。恋愛とはそういうものなのだ。もし、彼と一緒に旅立っても、そこには現実が待っているだけで、恋愛の熱さはたちまちのうちに消えてしまう。そのことをマダムはよくわかっていたのだ。
モリエールが地方で成功をおさめ続けている間に、マダム・ジュルダンは重い病気にかかってしまう。彼は彼女の病床にかけつける。マダムは平凡だが幸せだった結婚生活を彼に語るのだった。
モリエールは芝居の舞台裏で、観客の拍手と笑いと喝采を聞きながら、マダムのことを想い一人涙を流した。ロマン・デュリスの顔がアップになり、彼の整った顔に一筋の涙があふれたとき、私も胸が熱くなった。
恋愛っていいもんだな、そんなことを思わせてくれた。恋の国フランスの粋で素敵な作品である。
原題:MOLIERE 監督:ローラン・ティラール
出演:ロマン・デュリス、 ファブリス・ルキーニ、 リュディヴィーヌ・サニエ、 ラウラ・モランテ、
エドゥアール・ベール
2007年 フランス
ココさんの4月の記事を一気に読んで、
すごく映画館に行きたくなりました(^ ^*)
みたいなと思っていた映画や、初めて知った映画もあり、
記事を読んでいるだけでわくわくしてきました(*^▽^*)
「モリエール 恋こそ喜劇」も見てみたいです。
そちらは桜が咲いているんですね。
今年は寒いので札幌の桜が咲くにはもう少しかかりそうです。
遅くなりましたが、5周年おめでとうございます。
これからも素敵な記事楽しみにしています(^-^)/
by Sora (2010-04-29 08:17)
Soraさんへ
お久しぶりです。nice&コメントありがとうございます♪
レビューを読んでくださって、嬉しいです。いつも温かいコメント
感謝しています。「モリエール」はお薦めですよ。
大阪の桜は、今月20日で「通り抜け」が終わったので、もう
見られないんですよ。北海道はこれからなんですね。いいなあ。
ブログを始めて5年もたったなんて、信じられません。いつごろから
Soraさんと知り合ったのかな、なんて思ってました。
カレンダーも5月になりますね。下駄がなんだか昔を思い出させて
懐かしい風景のような気がします。
これからもよろしくお付き合いくださいね。
by coco030705 (2010-04-29 08:53)
成就しない恋は悲劇に終わりそうなのに、それを喜劇にする
ストーリー、脚本がよほどいいのでしょうね。
でも、リアルでは恋は成就してほしいものです。
遅くなりましたが、ブログ開設5周年お目出度うございます。
先日大阪では、駅の工事でシャトルバスの発着所が移動しており、
朝一で会場行きたいのにたどり着けなくて右往左往しました。
by aranjues (2010-04-29 17:23)
こんばんは!
ヨーロッパの時代モノって最近あんまり触手動かなかったんですが・・・
ロマン・デュリスとファブリス・ルキーニ!
ってだけでがぜん気になってきました!
楽しいだけではなくなかなか深い作品のようですし、見に行くべきですねこれは。
by トミュウ (2010-04-29 19:22)
xml_xslさんへ
nice! ありがとうございます♪
aranjuesさんへ
コメントありがとうございます♪
大阪は今、どこもかしこも工事で、ご迷惑をお掛けしました。
大阪人を代表して、お詫びいたします。(笑)
ところで、この映画のよさはやはり2人が駆け落ちしなかったこと。
特に女性がよく自分を知っていました。
そんなことしなくても、誰かを(お互いを)好きになるだけで、
充分なのだと思います。
今後ともよろしくお願い致します。
トミュウさんへ
こちらにも、nice!&コメント ありがとうございます♪
これはおすすめですよ。おかしくておかして、笑いがとまらないのに、
恋愛映画としてすごくよくできています。さすがフランスです。
ファブリス・ルキーニとロマン・デュリスの芸達者ぶりに感心します。
脇の人も、もちろんうまい人ばっかり。
恋愛を描かせたらピカイチですね、フランス映画は。
by coco030705 (2010-04-29 23:48)
こんばんは。
ホントに、フランス映画らしい恋愛コメディですね。
モリエールが喜劇作家として成功した陰に
愛する人の存在があったなんて、とてもロマンティックだと思いました。
デュリスは私の大好きな俳優ですが、
演技面でまた新しい彼が見られて満足でした♪
今後もますます目が離せなくなりそうです(^^
by Naka (2010-04-30 00:19)
Nakaさんへ
こんばんは。nice&コメント ありがとうございます♪
とてもいい映画でしたね。ロマンティックですよね~。
デュリス、演技がうまいですね。「スパニッシュ・アパートメント」のときは、
そんなにハンサムな俳優とは思わなかったんですが、今回の長髪が
とても似合っていて、素敵でした。これからも、ぜひ注目していきたいです。
「真夜中のピアニスト」もいつか観てみますね。
by coco030705 (2010-04-30 00:31)
佐々木さんへ
ようこそ。nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-04-30 11:13)
こんばんは。
大人の愛の物語でしたね~☆ しかも笑いどころがいっぱいで、
久々に心から笑えるフランス映画に出会えたのが嬉しかったです(^^)
ロマン・デュリスの出演作品はあまり観ていないです。
「ルパン」と「PARIS パリ」くらいで…
「スパニッシュ・アパートメント」は気になっている作品です。
いつかチャレンジしてみたいです☆
by non_0101 (2010-05-01 01:12)
nonさんへ
こんにちは~。(^^)
nice&コメント&TB ありがとうございます♪
ほんとうにこんなに笑えるフランス映画は、久しぶりでした。
楽しくそして最後にほろりとさせるなんて、憎いですね。
ロマン・デュリスのスパニッシュ・アパートメント、なかなか
おもしろいですよ。この続編も創られたんですが、これは私は
まだ未見です。そのうちに観まーす。
by coco030705 (2010-05-01 17:22)
モリエール自身の物語なんですね。小説家をはじめとして、芸術家は恋をして大きくなっていきますね。実らぬ恋で得たものは、あとになって気づくものでしょうね。フランスには大人の魅力のマダムが結構いますね。
ロマン・デュリス作品は、私も「スパニッシュ・アパートメント」「ルパン」を見ました。「パリの確率」もよかったです。東京で見たのですが、撮影で着た衣装が展示してあったんですよ。彼は割合小柄なようです。
by TaekoLovesParis (2010-05-01 17:31)
Taekoさんへ
nice!&コメント ありがとうございます♪
芸術家はたくさんの女性と恋愛する人が多いですね。新しいものを生み出すとき、イマジネーションをかきたててくれるものが必要だからでしょうか。平凡な日常は、想像力を枯渇させますものね。
この映画のロマン・デュリスはなかなかステキでした。↑の写真より、映像のなかで動いている彼の方が、ハンサムに見えました。
Taekoさんはフランス語が得意でいらっしゃるので、仏映画は字幕なしで楽しまれるんでしょう?素敵ですね。
by coco030705 (2010-05-01 18:38)
aranjuesさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-02 02:31)
はじめまして(と、云ってもいつもtaekoさんのところでコメントは拝見させて頂いております)。
拙blogへのご訪問、ありがとうございました。
映画、好きなんだけど全然詳しくないのですが、つい先日DVDで見たばかりの『PARIS』に、ここでご紹介されているロマン・デュリスとファブリス・ルキーニが出ていたので、をを!と思い、こちらにコメントさせて頂きました。シェイクスピア物も含め、この手の映画が好きなので、次に何か見てみようと思った時の参考にさせて頂きますね。
by yk2 (2010-05-07 20:45)
yk2さんへ
nice!&コメント ありがとうございます♪
フランス映画はいいですよね。
私は結構色々な種類の映画をみるのが好きなのですが、
やはりフランス映画の粋さというのはとてもいいとおもっています。
またブログにお邪魔致します。
by coco030705 (2010-05-07 21:31)