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プレシャス [外国映画]

 なぜ人は過酷な運命を生きなければならないのだろう。


プレシャス1.jpg
 プレシャス: ガボレイ・シディベ 


 16才の少女プレシャス(ガボレイ・シディベ)はアフリカ系アメリカ人で、極度の肥満体型の上に、読み書きがほとんどできなかった。彼女は実父と義理の父によってそれぞれ妊娠させられ、母親(モニーク:アカデミー賞助演女優賞受賞)からは虐待を受けていた。プレシャスは2度目の妊娠が学校側に知られ、停学処分になった。そして、校長のすすめで通いだしたフリースクールで女性教師レイン(ポーラ・バットン)と出会い、彼女の親切な指導の下で読み書きを覚え、クラスの仲間とも次第に打ち解けていく……。

 この映画の原作は小説で、女性詩人のサファイアが執筆。彼女は実際にニューヨークのハーレムで、ソーシャルワーカーや教師をした経験を持つのだそうだ。そしてそこで出会った黒人の貧困家庭に暮らす子どもたちの実態を背景に書き上げたとのこと。

 今は日本の社会も虐待が増えていて、新聞やTVでも目にしない日がないくらいだ。きっと全世界にこんな状況はあるにちがいない。なんともいえない暗い気持ちになる。


プレシャス2.jpg
  ソーシャル・ワーカー: マライヤ・キャリー


 作品の方は、プレシャスがおかれている悲惨な現実の合間に、彼女が現実逃避して自分の空想の世界で描き出す、理想の自分の姿が映像化される。例えば、美しく着飾ったプレシャスが、ハンサムな男の子とダンスしたりというようなシーンだ。このお蔭で、思ったよりも観やすいものになっていた。またフリースクールでよい教師に出会ったり、親身に相談に乗ってくれるソーシャル・ワーカー(マライヤ・キャリー)がいたりして、後半になって少しホッとした。だが、現実はダメ押しとも言えるような事態をプレシャスに突きつけるのだった。

 最後にプレシャスは、学ぶことに喜びを見出し、自分にとって最も大事な存在である2人の子供と一緒に、未来に向かって一歩を踏み出すのである。

 人は基本的に親を選べない。運命は変えられない。しかし人は、生き方を変えることができる。たとえ不幸な家庭に育ったとしても、他人からの愛によって、生きていくことができるのだ。そして人は、命ある限り生きなければならない。自分の命と他人の命、その両方ともかけがえのない尊いものだから。

原題:PRECIOUS    監督リー・ダニエルズ
出演:ガボレイ・シディベ、 モニーク、 ポーラ・バットン、 マライヤ・キャリー、 シェリー・シェパード、 
レニー・クラヴィッツ
2009年 アメリカ

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コメント 12

coco030705

shinさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-06 22:11) 

coco030705

xml_xslさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-06 22:12) 

coco030705

dorobouhingさんへ
nice! ありがとうございます♪

by coco030705 (2010-05-07 19:06) 

TaekoLovesParis

この本と著者の紹介を新聞で読んだことがあります。
「プレシャス」と「サファイア」ですから、因果関係大ありで、覚えてました。
この女優さんの写真より、サファイアは魅力的な人っていう写真でした。
マライア・キャリーが出てるんですね。レニー・クラヴィッツも!あ、でも
納得です。
by TaekoLovesParis (2010-05-08 01:09) 

キキ

こんにちは。
敷島シネポップでやってたので近日見に行こうと思ってました。^.^
アカデミー賞でも助演女優賞(モニーク)と脚色賞の受賞作品ですよね。
by キキ (2010-05-08 08:00) 

coco030705

Taekoさんへ
nice! &コメント ありがとうございます♪

>「プレシャス」と「サファイア」ですから、因果関係大あり
さすがTaekoさん、そうですね。

マライヤはソーシャル・ワーカーの役だったんですが、演技がすごく自然で、
うまかったですよ。レニー・クラヴィッツはプレシャスが入院する病院の看護師の
役でした。かっこよかったです。
内容的に面白い映画ではありませんが、こういう現実を世に知らしめる役割をはたしたのかもしれません。
by coco030705 (2010-05-08 11:22) 

coco030705

キキさんへ
nice! &コメント ありがとうございます♪

アカデミー賞でも注目されていましたね。モニークの演技はすごかったです。
彼女の動画インタビューをみたのですが、「大嫌いな女性を演じなくてはいけなかったのが、すごいプレッシャーだった。でも次第に、この母親がなぜこんなに残酷で陰湿な女になってしまったのか、彼女に話を聞きたいという気持ちになっていった。」といってました。女優さんって大変ですね。
お時間があったら、みてみてくださいませ。

それから、黒澤さんの映画やっぱり行けませんでした。せっかくキキさんが調べてくださったのに、申し訳ないです。またの機会に……。
by coco030705 (2010-05-08 11:31) 

トミュウ

こんばんは。
日本でも最近虐待のニュースが多いし、なんだか苦しい気持ちになる
作品でしたね。
それでもプレシャスの空想やフリースクールのガールズトークなどが
面白くて、ズッシリ重くなっていない所が良かったと思います。
by トミュウ (2010-05-08 20:48) 

coco030705

トミュウさんへ
nice! &コメント ありがとうございます♪

>フリースクールのガールズトーク
いやいや、まいりましたね。元気いい~って思っちゃいました。(笑)
レニー・クラヴィッツもタジタジでしたものね。(もちろん演技でしょうけど。)

フリースクールではプレシャスも楽しそうだったので、良かったと思いました。
ガボレイ・シディベの持ち味でしょうか、悲惨な筋書きなのに、深刻な作品にならなかったのが救いでした。太っているっていいことだなあと思いました。
by coco030705 (2010-05-08 21:13) 

coco030705

Soraさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2010-05-11 01:28) 

non_0101

こんにちは。
次々と明らかになるプレシャスの状況にショックを受けながら観ていました(T_T)
これ以上は観るのが辛すぎる~と思う限界のタイミングで入り込むプレシャスの夢の可愛さに
ほっとしながらも切なさを感じました。
どんなに絶望を感じても前向きに生きようとする彼女の強さに胸を打たれました☆
by non_0101 (2010-05-18 21:35) 

coco030705

nonさんへ
どうも~!nice! &コメント ありがとうございます♪

かわいそうな現実でしたね。プレシャスの想像の世界が、観客には救いだったと思います。悲惨な状況で産まれた子供だったけど、プレシャスは母として強く前向きに生きていく、その姿に胸をうたれました。やはり母は強し!ですね。
色々考えさせられるいい映画だったと思います。
by coco030705 (2010-05-18 23:02) 

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