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評決(DVD) [外国映画]

 ポール・ニューマン主演の法廷映画である。酒びたりの日々を送る弁護士フランク・ギャルビン(ポール・ニューマン)が、ある訴訟をきっかけに再び真実と正義を問いただすようになるまでを描いている。


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 弁護士のフランク・ギャルビン(ポール・ニューマン)は新聞の死亡欄から裁判になりそうな事件を見つけては、その人たちの葬儀に紛れ込んで依頼を受けようとしていた。そして葬儀場から追い出されるという情けない生活を繰り返していた。昔は権威ある法律事務所で働き、ボスの娘と結婚していたのだが、不正事件に巻き込まれ、罪を着せられ妻とは離婚の憂き目にあった。そこから転落の人生を歩んでいた。

 ある日、親友の弁護士ミッキー(ジャック・ウォーデン)がギャルビンに、医療ミスで植物人間にされた患者の弁護の仕事をまわしてくれた。始めは金になりそうと言うだけで引き受けたが、調査を進める内に彼は、麻酔科の権威、グルーバーに面会し、この事件が完全な医師のミスであることを確信した。そして再びギャルビンの弁護士魂に火がついて、大病院と経営者である教会とやり手の被告側弁護士コンキャノン(ジェームズ・メイスン)を相手に、地道で孤独な戦いが始まるのだった……。

 ポール・ニューマンの演技力のすばらしさに圧倒される作品である。最初は落ちぶれた弁護士の様子がよく描けていて、中盤からは正義を訴えるべく必死に証人を探してあちこちを駆け回り、検察側とも法廷で闘うさまが非常にかっこよく描かれている。権力に屈せず真実を証明しようとする最終弁論の姿が胸を打つ。また謎の女性ローラ(シャーロット・ランプリング)との関係も、とても面白く描かれている。

 法廷ものの作品はとかく面白いものが多いが、これはその中でも出色の出来栄えである。この作品は、アカデミー作品、監督、脚色、主演男優(ポール・ニューマン、6度目の候補)、助演男優(J・メイソン)の5部門にノミネートされたが、「ガンジー」という強敵の前に無冠となっている。なんと惜しいことだろう。アカデミー賞とはいったいなんなのか、疑問に思う。

 ポール・ニューマンはこの映画の4年後1986年に、「ハスラー2」で念願のアガデミー賞主演男優賞の受賞を果たしている。
 今作の監督、シドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」や「セルピコ」等、社会派サスペンスも「評決」に劣らずすばらしい作品なので、近いうちにもう一度観なおしてみたいと思っている。もちろん、ポール・ニューマンの数々の作品も、である。

原題:THE VERDICT  監督:シドニー・ルメット  出演:ポール・ニューマン、 
シャーロット・ランプリング、 ジェームス・メイソン、 ジャック・ウォーデン、 ミロ・オーシャ etc.
1982年 アメリカ



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coco030705

blogkumaさんへ
こんばんは。ようこそ。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-02-21 23:14) 

coco030705

ryo1216さんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪


世界のアイドルさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪


りんこうさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪


pistacciさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪



月夜のうずのしゅげさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪



by coco030705 (2013-02-22 09:32) 

coco030705

マチャさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-02-22 17:00) 

coco030705

怪しい探麺隊さんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2013-02-22 21:39) 

Naka

ポール・ニューマンの演技、
深みがあって素晴らしかったですね。
彼がそんなに何度もアカデミー賞の候補に
選ばれていたとは知らなかったです。
私も、彼の他の出演作品をもっと観たくなりました☆
by Naka (2013-02-23 14:08) 

coco030705

Nakaさんへ
こんにちは。nice&コメントありがとうございます♪

おかげさまでいい作品を観れて嬉しく思います。有難うございます。
ポール・ニューマンの演技、変化していくところが出色でしたね。
本当の意味でかっこいい人だと思います。
彼の作品、追々再見したいものです。
by coco030705 (2013-02-23 15:21) 

coco030705

ネオ・アッキーさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2013-02-24 21:11) 

coco030705

Taekoさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-02-25 00:54) 

キキ

こんにちは。
昔見たけどもう一回見直したいとか、観ていないから見てみたい映画が沢山あります。
ポール・ニューマンの映画もそうですね。

by キキ (2013-02-26 08:27) 

coco030705

キキさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪

昔の映画でもほんとにいい映画がたくさんありますよね。
「TOHO午前10時の映画祭」も行ってみたいものです。
by coco030705 (2013-02-27 22:48) 

coco030705

nonさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2013-03-17 17:26) 

オーウェン

こんにちは、coco030705さん。

第55回アカデミー賞で、この映画「評決」は、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞にノミネートされていましたが、何一つ受賞出来ませんでした。

特に、過去5回も主演男優賞にノミネートされながら、一度も受賞した事のないポール・ニューマンが、今回はきっと受賞するだろうとの下馬評が高かったのに、その力演も空しく、「ガンジー」で一世一代の名演技を披露したベン・キングスレーに敗れ去りました。

ポール・ニューマンが主演するこの「評決」を、オスカーが無視した背景として、彼が人権擁護に積極的な民主党員であり、1968年には同党のコネティカット州の代表に選ばれ、当時のカーター大統領の時代には国連軍縮特別総会の米国代表候補にされたという、反戦運動家としての政治的キャリアが災いしたとも言われています。

「核問題は全ての事より大切なんだ。非合法移民、インフレ、失業、レイオフの問題よりもだ。だって核の問題で読み違いをおかしたら、他の問題など吹き飛んでしまう」と、ある雑誌のインタビューに答えて、自分の政治的な信条をはっきりと表明するような彼は、華やかで、当時の保守的なハリウッドのアカデミー賞の会員にソッポを向かれ、アメリカ国内の既成の権力に対して反抗的な内容の「評決」が、同じ性格のコスタ・ガブラス監督、ジャック・レモン主演の「ミッシング」と同じ冷遇を受けたのは、アカデミー賞の限界を示すものだと言えるのかも知れません。

この映画「評決」は、陪審制下の"法廷もの"であり、また"医療ミス"を題材にした、弁護士出身のジョン・リードの原作の映画化作品です。

かつてはエリート弁護士でしたが、陪審員を買収した上司を内部告発しようとして失脚した、負け犬でアル中で女にも弱い弁護士のギャルヴィン(ポール・ニューマン)を立ち直らせたものは何なのか?

落魄したうつろな自分をそこに見るような、生命維持装置に繋がれた悲惨な患者の姿なのか?
真実を追求しようとせず、金だけで解決しようとする安易な法曹界への反発なのか?
支配階級であるWASPへの憎悪なのか?
それとも謎の女ローラ(シャーロット・ランプリング)への愛情なのか? --------。

この映画は、自らを失っていた弁護士ギャルヴィンの"人間としての自己回復、魂の再生のドラマ"を静かに、しかし、熱く描いていくのです。

酒と人いきれにすえたような暗いパブ、その片隅で弾けるピンボールの虚しい響き、悲惨な状態で長期療養病院に横たわる植物人間と化した患者の姿、厚味のある色調のボストンの街並み、寒々しい法律事務所の雑然とした室内、重々しく緊張感に満ちた法廷----、これらを静かに、厳しく映していくポーランド生まれのアンドレイ・バートユウィアクのカメラには深い情感があり、デービッド・マメットの脚本には濃密な味わいがあります。

監督のニューヨーク派の名匠シドニー・ルメットは、「十二人の怒れる男」「狼たちの午後」「ネットワーク」で三度もアカデミー賞の監督賞の候補になりましたが、受賞しないままです。

ギャルヴィンの相棒に扮するジャック・ウォーデン、ギャルヴィンの法廷での強敵となる、被告側の弁護士コンキャノン役の名優ジェームズ・メイスンの演技は、共に白熱した演技を示しています。

そして、コンキャノンのスパイとして、ギャルヴィンを誘惑するローラを演じるシャーロット・ランプリングは、「愛の嵐」以上に神秘的な妖しい魅力を発散させています。
挫けそうになるギャルヴィンを叱咤する彼女の姿には、スパイではなく本当の愛がのぞいているように感じます。

この映画のラストで彼女がベッドからかける電話、それを取り上げようとしないギャルヴィンの思いは、複雑で切ない余情を感じさせてくれます。

法廷のシーンで自己の人間としての復権を賭け、絶望的に不利な状況の中で、ギャルヴィンが陪審員に向かって静かに訴えかける言葉------。

「正義を与えるためではなく、正義を我がものにする機会を与えるために法廷があるのです」

「法とは、法律書でもなければ、法律専門家でもなく、法廷でもありません。そういうものは、正しくありたいという私たちの願望のただの象徴にすぎないのです」

「金持ちは常に勝ち、貧しい者は無力。正義はあるのか? 私たちは自分の信念を疑い、法律を疑う。しかし正義を信じようとするなら、自分を信じることです。正義は、私たちの心の中にあるのです。あなたが今感じていることこそ正義なのです。」
by オーウェン (2024-01-31 10:43) 

coco030705

オーウェンさんへ
こんばんは。nice!&コメントありがとうございます♪
by coco030705 (2024-01-31 21:17) 

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