愛、アムール [外国映画]
これはまぎれもない恋愛映画である、老夫婦という名のカップルの。彼らは、もう少しで人生に別れを告げる年齢である。だが、その心はお互いを想い合う愛に満ちていた。
ジョルジュ(ジャン・ルイ・トランティニアン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)はパリのアパルトマンで、悠々自適の老後を送る音楽家の夫婦である。ところがある朝、いつものように二人で朝食をとっているときに、アンヌは突然だまりこみ、しばらくの間目を開けたまま意識がなくなる。検査の結果、病気が発覚したアンヌは、手術の失敗で半身に麻痺が残る身体になってしまう。アンヌはジョルジュに「二度と病院には戻りたくない」と告げ、ジョルジュは自宅での介護を決意する。そして、これまで通りの生活を貫こうとする妻を献身的に支えていくジョルジュだったが…。
(以下内容にふれています。)
最初の場面から衝撃的な映像が現れる。観客は、一体何が起こっているのかよくわからないまま、シーンは切り替わって、老夫婦の穏やかな、ごく日常的な一日の始まりが映し出され、アンヌに唐突に異常が起こる。このファーストシーンから私たちは否応なく映像に引き込まれる。なんとうまい展開だろう。
それからは、二人の介護生活がずっと描かれていき、その間にアンヌの認知症はどんどん進んでいく。老人といっても美しいアンヌが、認知症のためだんだん変貌していくさまを、エマニュエル・リヴァは巧みに演じている。
色々な人たちの手を借りて、なんとか介護生活をこなしていくが、状況は悪くなるばかりである。そして娘が老人ホームへの入居を勧めるのだが、ジョルジュはそのアドバイスも断って、介護ヘルパーの人数を増やして乗り切ろうとする。
途中に、ジョルジュが悪夢を見るシーンがあるが、それがハネケ流で怖くてすごいと思った。
アンヌは失禁して、女性としてのプライドをたたき壊され、認知症がすすんでからはヘルパーの女性に介護してもらうが、自分が望まないことをされて叫びだす。そして、昼間ベッドに寝ているときも「痛い!」と大声で連呼するのである。ジョルジュが話しかけて、しばらくとりとめのないことを話していると、安らかな寝息を立てて眠りに落ちるのだが……。
介護した経験のある者も、ない者もやはりこういう介護の場面は観るのがつらいものだ。しかしハネケ監督は介護の場面を丁寧に描いた。もちろん、観客はシーンを通して介護の大変さを理解し同情するだろう。そうしてもっといい方法をみいだせないのかと、やきもきするだろう。しかし私は監督の意図は介護の大変さを伝えるものではないと思う。それは最後のある事柄を観客に納得させるためのものである。だからこうして延々と描かれたのだと思う。ハネケ監督の伝えたかったものは、やはり二人の間の「愛」なのであり、愛のために行われることは道徳では理解できないということだ。
映画の最後はなんでもない日常生活から魂の世界への旅立ちに向かうところで終わりとなる。愛とはなんだろうか。そして人間の尊厳とは。人を介護することの意味は。この作品を通して、本当に色々と考えさせられた。善悪や道徳で判断するのではなく、「愛」というフィルターを通してこそ、この映画を理解できるのかもしれない。最後に救いのあるすばらしい作品である。一生心に残る映画となるだろう。
原題:AMOUR 監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:ジャン・ルイ・トランティニアン、 エマニュエル・リヴァ、 イザベル・ユベール、 アレクサンドル・タロー、 ウィリアム・シメル
2012年 フランス/ドイツ/オーストリア
ジョルジュ(ジャン・ルイ・トランティニアン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)はパリのアパルトマンで、悠々自適の老後を送る音楽家の夫婦である。ところがある朝、いつものように二人で朝食をとっているときに、アンヌは突然だまりこみ、しばらくの間目を開けたまま意識がなくなる。検査の結果、病気が発覚したアンヌは、手術の失敗で半身に麻痺が残る身体になってしまう。アンヌはジョルジュに「二度と病院には戻りたくない」と告げ、ジョルジュは自宅での介護を決意する。そして、これまで通りの生活を貫こうとする妻を献身的に支えていくジョルジュだったが…。
(以下内容にふれています。)
最初の場面から衝撃的な映像が現れる。観客は、一体何が起こっているのかよくわからないまま、シーンは切り替わって、老夫婦の穏やかな、ごく日常的な一日の始まりが映し出され、アンヌに唐突に異常が起こる。このファーストシーンから私たちは否応なく映像に引き込まれる。なんとうまい展開だろう。
それからは、二人の介護生活がずっと描かれていき、その間にアンヌの認知症はどんどん進んでいく。老人といっても美しいアンヌが、認知症のためだんだん変貌していくさまを、エマニュエル・リヴァは巧みに演じている。
色々な人たちの手を借りて、なんとか介護生活をこなしていくが、状況は悪くなるばかりである。そして娘が老人ホームへの入居を勧めるのだが、ジョルジュはそのアドバイスも断って、介護ヘルパーの人数を増やして乗り切ろうとする。
途中に、ジョルジュが悪夢を見るシーンがあるが、それがハネケ流で怖くてすごいと思った。
アンヌは失禁して、女性としてのプライドをたたき壊され、認知症がすすんでからはヘルパーの女性に介護してもらうが、自分が望まないことをされて叫びだす。そして、昼間ベッドに寝ているときも「痛い!」と大声で連呼するのである。ジョルジュが話しかけて、しばらくとりとめのないことを話していると、安らかな寝息を立てて眠りに落ちるのだが……。
介護した経験のある者も、ない者もやはりこういう介護の場面は観るのがつらいものだ。しかしハネケ監督は介護の場面を丁寧に描いた。もちろん、観客はシーンを通して介護の大変さを理解し同情するだろう。そうしてもっといい方法をみいだせないのかと、やきもきするだろう。しかし私は監督の意図は介護の大変さを伝えるものではないと思う。それは最後のある事柄を観客に納得させるためのものである。だからこうして延々と描かれたのだと思う。ハネケ監督の伝えたかったものは、やはり二人の間の「愛」なのであり、愛のために行われることは道徳では理解できないということだ。
映画の最後はなんでもない日常生活から魂の世界への旅立ちに向かうところで終わりとなる。愛とはなんだろうか。そして人間の尊厳とは。人を介護することの意味は。この作品を通して、本当に色々と考えさせられた。善悪や道徳で判断するのではなく、「愛」というフィルターを通してこそ、この映画を理解できるのかもしれない。最後に救いのあるすばらしい作品である。一生心に残る映画となるだろう。
原題:AMOUR 監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:ジャン・ルイ・トランティニアン、 エマニュエル・リヴァ、 イザベル・ユベール、 アレクサンドル・タロー、 ウィリアム・シメル
2012年 フランス/ドイツ/オーストリア
ハマコウさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-19 22:21)
世界のアイドルさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-20 09:07)
りんこうさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
マンチ軍団さんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-20 18:34)
こんばんは。
カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した
ハネケ作品ということで、凄く気になっていました。
私もぜひ観たいです♪
ジャン・ルイ・トランティニアン、懐かしいです。
「男と女」「トリコロール/赤の愛」を思い出しますが、
どちらの演技も印象的でした。
by Naka (2013-03-21 00:07)
Nakaさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪
アカデミー賞でも外国語映画賞を受賞、主演のエマニュエル・リヴァは
主演女優賞にノミネートされましたね。
介護の様子を丁寧に描いてあり、それが説得力になってます。
そしてこの作品を観て、「魂」というのは確かにあるのだなと思いました。
本当に深い作品です。ぜひご覧になってくださいね。
by coco030705 (2013-03-21 00:54)
まるみさんへ
こんにちは、ようこそ。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-21 07:24)
いきつくところがみえない老老介護の閉塞感でいっぱいだったので、最後にジョルジュが選んだ道には、哀しくとも愛おしさが感じられました。
by クリス (2013-03-21 07:49)
こんにちは。
まだ観ていないんです。
とりあえず行ってきます。^.^
by キキ (2013-03-21 19:07)
クリスさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪
ハネケ監督が介護の様子を丁寧に描いたのは、事の起こりに説得力を持たせるためでしょうね。最後はやはり救いですよね。魂の世界への旅立ちと私は理解しました。
by coco030705 (2013-03-21 23:31)
月夜のうずのしゅげさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
ネオ・アッキーさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-21 23:33)
キキさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪
ご覧になったら、感想をきかせてくださいね。
by coco030705 (2013-03-21 23:34)
alo-hadさんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
pom405さんへ
こんばんは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-21 23:36)
ゆきママさんへ
こんばんは。ようこそ。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-22 19:22)
こんばんは。
途中、アンヌが自分だとしたらそうしたいだろうなあと思っていたのですけど、
突然に終わりが来たのでドキドキしてしまいました。
でも、やっぱり愛だなあと納得でした☆
by non_0101 (2013-03-24 23:45)
nonさんへ
こんばんは。nice&コメント&TBありがとうございます♪
ほんとに突然でちょっとびっくりしましたね。
これであの続きがなかったら、ものすご~く暗い作品になっていたでしょうけれど、最後は救われましたね。やはりどんな深い作品でも
救いのない作品は、私は好きではないので、納得しました。
だからこそ、色々なところで評価されたのでしょうね。
by coco030705 (2013-03-25 00:38)
Taekoさんへ
こんにちは。niceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-03-27 13:59)
見ようかな?見ると辛いかな、って思っていた作品です。
でも、ここを読んで見ることにしました。スケジュールを見たら、まだ
やっていました。
by TaekoLovesParis (2013-03-30 22:03)
Taekoさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪
ミヒャエル・ハネケ監督作品は初めて観ました。介護の様子を
延々と描くのですが、住んでいるアパルトマンが素敵なところだし、
そんなに貧乏臭くないのが良いですよ。
最初にアンヌの教え子のピアニストの若い男性が出てくるのですが、
すごくハンサムです。(^^)
中ほどで、ジョルジュが悪夢を観るシーンもすごくうまくて、これが
監督のセンスだと感心しました。
最後に救いがあり、こういうところが評価されたのだなと私は思っています。
by coco030705 (2013-03-30 22:49)
怪しい探麺隊さんへ
こんばんは。こちらにもniceとご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2013-06-13 19:02)