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暮れ逢い [外国映画]

 パトリス・ルコント監督の映画で恋愛物語である。実業家に雇われた切れ者の青年フリドリックと、その屋敷の若く美しい妻ロットのプラトニックラブを描いている。

 1912年。ロット(レベッカ・ホール)の屋敷に、持病を抱えた老年の夫ホフマイスター(アラン・リックマン)の個人秘書として、頭が切れる青年フリドリック・ザイツ(リチャード・マッデン)がやって来る。若妻のロットは青年と惹(ひ)かれ合うが、二人の立場ゆえ触れ合うことも甘い言葉を交わすこともなかった。そんな中、青年が南米へ2年間転勤することに。二人は思いを確かめ合い再び会おうと誓うが、間もなく第1次世界大戦が始まり手紙もお互い届かなくなる・・・。

 もどかしい恋だ。若妻のロットは突然やってきた若く仕事のできる青年フリドリックに心惹かれる。彼は仕事ができて、しかも夫の提案によりロットの子供オットーの家庭教師も引き受けてくれ、オットーもフリドリックになついて行った。ロットはますます心惹かれるが、大胆な行動に出ることはしなかった。
 なぜ彼らはこんなにも自制しあっていたのか。映画であれ、小説であれ、最近の作品は描写がとても大胆なのでこういうのはもどかしく感じるのだろうか。自制する苦しさが充分に表現できていたのだろうか。俳優たちの表情からは、どうもそれが伝わりにくかったように思えた。
 フリドリックが南米のメキシコへ転勤してしまうと、二人は手紙によって互いに胸の内のあふれる愛情を告白しあうのだが、第一次世界大戦がはじまって文通もとだえてしまう。そしてロットは夫を持病の悪化で亡くして、未亡人となる。元気のなくなったロットは子供を学校の寮に入れて一人広大な屋敷でやつれた姿で暮らしている。だが戦争が終わったとき、フリドリックはロットに逢いにやってくる。彼は自分が結婚していることを告げるが、ロットは「二度と私を離さないで」とつぶやく。
 
 レベッカ・ホール、 アラン・リックマン、 リチャード・マッデンは3人ともとてもよく、背景や衣装、音楽も申し分なかったが、プラトニックラブであることの理由がなぜなのか、よくわからなかった。だから、自制する二人に共感できなかったのである。恋愛映画に浸りたいと思って観に行ったのだけれど、ちょっと肩すかしを食わされたような気持ちで劇場を後にした。

原題:A PROMISE/ UNE PROMESSE  監督:パトリス・ルコント  出演:レベッカ・ホール、
アラン・リックマン、 リチャード・マッデンetc.
2013年 フランス・ベルギー

PS この作品と比較してほしい映画
1 愛の神、エロス
  オムニバスの3作品の内の1つで、ウォン・カー・ウアイの「仕立て屋の恋」がすばらしい。ウォン・カー・ ウアイの独特の美しい世界である。1963年の香港が舞台で、レトロな雰囲気が建物や仕立て屋の店の内部の様子から漂ってくる。この仕立屋見習い役のチャン・チェンがすごくよかった。寡黙で、片思いの相手 を想い続けるおとなしい純情な男。

2 夏至
  恋人同士のように慕い合う兄妹、お互いに不倫している夫婦、夫に出張先で不倫される妻。ドロドロした筋書きになる材料はそろっているのに、何もそういうものは描かれない。セリフが少ない。でも、俳優たちの表情がいい。特に、不倫して子供まである男の表情が、その心の重さを伝えているようだ。  
       

  
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coco030705

月夜のうずのしゅげさんへ
こんばんは。nice!とご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2015-01-18 19:25) 

coco030705

mayuさんへ
こんばんは。nice!とご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2015-01-18 23:22) 

coco030705

Aちゃんさんへ
こんばんは。nice!とご訪問ありがとうございます♪


by coco030705 (2015-01-18 23:30) 

coco030705

makimakiさんへ
こんにちは。nice!とご訪問ありがとうございます♪


by coco030705 (2015-01-19 07:19) 

coco030705

sugoimonoさんへ
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by coco030705 (2015-01-19 18:08) 

coco030705

gillmanさんへ
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by coco030705 (2015-01-19 18:09) 

tap

観ようかと思ってやめてしまいました…ルコント作品を「ハーフ・ア・チャンス」以来観ていなくて、久々に観ようかと思っていたのですが今一つその時は気分が乗らず…。
ウォン・カーウァイの「仕立て屋の恋」って、ルコントの「仕立て屋の恋」とは全く違うお話なんですか?
ルコント版は好きなんですが…。
by tap (2015-01-19 19:56) 

coco030705

tapさんへ
こんばんは。nice!&コメントありがとうございます♪

ウォン・カー・ウアイの「若き仕立て屋の恋」はルコントのそれとは
全く違った作品です。「暮れ逢い」もtapさんの感覚と私のとは
違いますので、ご覧になって感想をお聞かせくださいませ。

by coco030705 (2015-01-19 21:13) 

coco030705

uminokajinさんへ
こんばんは。nice!とご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2015-01-19 21:14) 

coco030705

Taekoさんへ
こんにちは。nice!とご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2015-01-20 08:10) 

coco030705

りんこうさんへ
こんにちは。nice!とご訪問ありがとうございます♪



by coco030705 (2015-01-20 08:11) 

coco030705

ryo1216さんへ
こんばんは。nice!とご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2015-01-20 16:35) 

coco030705

アルファルハさんへ
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by coco030705 (2015-01-20 21:02) 

coco030705

prin4795さんへ
こんばんは。nice!とご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2015-01-20 22:58) 

TaekoLovesParis

予告編を見ました。映像が綺麗ですよね。シュテファン・ツヴァイクの原作だから、第一次世界大戦の頃、メキシコが遠かった時代ですね。ザイツが戻って来て、もちろん、ロットは嬉しかったでしょう。でも、自分が年老いたことを考えると、そしてザイツが立派になり結婚しているのだったら、
もう情熱に身を任せることはしないのでは、、と思ったり、、映画を見てから、また書きますね。
by TaekoLovesParis (2015-01-21 22:37) 

coco030705

Taekoさんへ
こんばんは。コメントもありがとうございます♪

メキシコからザイツが戻ってきたとき、ロットは心躍ってお化粧し、美しく着飾ります。だから二人とも、ほとんど年も取らないし同じ感じでした。そういうのが、現実感がなかったのかも、です。ロットの主人のアラン・リックマンがかなりよかったですよ。だからザイツが青二才に見えてしまったんですよ。(笑) いずれにしろ、美しい映画なのでTaekoさんのご趣味に合うかもしれませんね。
by coco030705 (2015-01-22 01:30) 

coco030705

Inatimyさんへ
こんにちは。nice!とご訪問ありがとうございます♪

by coco030705 (2015-01-22 14:46) 

coco030705

キキさんへ
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by coco030705 (2015-02-09 21:38) 

coco030705

nonさんへ
こんにちは。nice!とご訪問ありがとうございます♪
by coco030705 (2015-02-13 16:11) 

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