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パッチギ! [日本&アジア映画]

監督:井筒和幸  出演:塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、オダギリジョー
2004 日本     DVD

 井筒監督といえば、関西ではワイドショーでコメンテイターとして結構画面に登場している人だ。かなり辛口のコメントを言ったり、「俺は五月みどりが好きだ~。」とか叫んでいて、なんか変な人だなといつも思っていた。
 その人の映画が、友人の間でもこのソネットブログの中でも、評判がいいので今日見てみた。
(以下ネタバレあり)



 「パッチギ」とは「頭突き」または、「剃りこみ」のことだそうだ。
この映画では、京都の朝鮮高校と日本の高校の生徒達の喧嘩がたくさんでてくるのだが、けんかのときに頭突きをかましている場面が多くでてくる。

 最初は、高校生役の生徒達が、無名の役者ばかりであまりうまくないし、ほんとにこの映画おもしろいのかしら、と思いながら見ていた。

 しかし、ストーリーは展開し、庸介(塩谷瞬)が担任からの指示で、喧嘩ばかりしている朝鮮高校に親善サッカーの試合を申し込みに行く。そこの音楽室でフルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)に一目惚れするところから、おもしろくなっていった。

 そうして庸介はキョンジャに近づくために、朝鮮高校の番長である、キョンジャの兄の送別会が円山公園で開かれている所に、ギターをひっさげて乗り込むのだった。兄は北朝鮮に帰国する予定だった。そこでキョンジャと「イムジン河」をギターとフルートでデュエットし、家族に認められる。

 このあたりは、いかにも青春の恋という感じだった。一途な男の子がさわやかで、女の子も彼の気持ちにだんだん応えていくのが、うまく描かれていた。

 けれども、事故で朝鮮高校の生徒が死んで、その葬儀を手伝いに行っていた庸介に、その席にいた大人から、戦時中日本人が朝鮮民族にむごい仕打ちをしてきたことを聞かされ、「お前は帰れ」といわれてしまう。
 彼はショックから自暴自棄になって、せっかく買ったギターを川へ投げ込んでしまうのだった。

 ところが、ここで救いの手が!ハウンドドックの大友康平扮するラジオ局のディレクターが、円山公園での庸介の「イムジン河」の歌を聞いて、ラジオ番組でそれを歌うように設定してくれる。この当時、「イムジン河」は発売禁止となっていた。上司に逆らってまでも、ディレクターは庸介が歌うこの歌を、ラジオで放送した。それをラジオで聞いたキョンジャは、改めて自分の庸介への想いに気付くのだった。

 このように、庸介とキョンジャの純粋な恋を軸に、喧嘩あり、別の恋愛あり、朝鮮民族と日本人との関係もチラリと覗かせ、フォーククルセダーズの名曲「イムジン河」その他が流れる中で、1968年のある青春が、見事に描かれていた。とてもいい映画だったと思う。

 蛇足だが、この中でオダギリジョーが、庸介に「イムジン河」を教える変わった若者の役で登場する。彼はやはりほかの役者とは感じが違った。なにか一流の雰囲気があった。今、大活躍なのがわかる気がした。

 
 


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コメント 14

acid_bloom_8322

どうもですー
TBありがとうございましたぁ
ちらかってたいろいろな景色が、庸介のうたう「イムジン河」をBGMに収束していくかんじはお見事 でしたね
大友康平がでてきたときはおもわず爆笑してしまいました
でもやっぱり、オダギリジョーがMVPですかね 個人的には 笑
by acid_bloom_8322 (2005-09-13 20:39) 

coco030705

どもども。
そうですね。「イムジン河」はほんとうにいい歌だと思います。
この映画の核となる曲でしたね。
井筒さんを見直した作品でした。
by coco030705 (2005-09-13 21:01) 

kenskish

こんばんは。
ご覧になりましたか「パッチギ!」
いいですよね?いいんですよ~。ねー(笑)
by kenskish (2005-09-13 22:19) 

coco030705

こんばんは。
ほんとに面白い映画でしたね。感動ものでした。
いいですよね~~。(笑)
by coco030705 (2005-09-13 22:53) 

ken

僕はこの映画を観て、井筒監督の過去のキャリアを確認したくなり
「ガキ帝国」や「ゲロッパ!」を観たのですが(「のど自慢」は過去に観ていた)
映画監督って、ヒット作を生む時期ってものがあるんだなあ、と実感しました。
この映画は明らかに井筒監督がやりたかったもの。
それを今まで温めて温めて、ようやく2004年に結実したんですね。
緻密さには欠けますが、本当に素晴らしい映画だったと思います。
by ken (2005-09-13 23:12) 

coco030705

kenさんへ
ほんとにそうです。「映画監督のヒットを生む時期」というものは、確かに
ありますね。それをずっと「温めて」持ち続けることが大事なのでしょう。
映画はやはり情熱が画面に出ていてこそ、観客をひきつけることができるのでしょうね。
by coco030705 (2005-09-13 23:53) 

こんにちは。
やはり面白そうですね、これもブログならではのことですよね。
不思議だな、と感じます。
帰ったら、まずは観てみようと思います。
by (2005-09-14 12:45) 

coco030705

bikさんへ
帰国準備も忙しくなってこられたんじゃないですか。
この「パッチギ!」は関西が舞台の映画ですが、関東の方にも
受けがいいようです。
井筒監督の情熱が、画面から感じられたからだと思います。
by coco030705 (2005-09-14 15:59) 

zilwan

ぎゃはは、あの歌は「イムジン河」だったのかぁ、自分のブログで「テムジン河」と紹介してしまった。
失敗失敗。
てな事で、週末から福岡のアジアフォーカスに参加してきます。
「テムジン」で異性の友人と餃子食べほーだいだもんね。
アジアフォーカスではイラン・台湾・インド・韓国・日本の映画を見てきまーす。

さて、問題。
映画パッチギの終わりであのリ・アンソン(例の番長さんですね)親子はどこへ向かっていたのでしょう?
by zilwan (2005-09-16 01:05) 

coco030705

こんばんは。
どもども~。このところ、九州方面へ行かれることが多いようですね。
アジアフォーカスという映画祭があるとは、知りませんでした。
変わった映画が見れそうですね。ご報告おまちしてまーす。

「パッチギ」の親子ですか?どこかな・・・。わかりませ~ん。教えてください。
by coco030705 (2005-09-16 21:02) 

こんばんわっ。
この映画、
色々な登場人物の想いがラストに向けて集約してて面白かったです。
最近こういう熱い映画、ありそうでなかなか無いですよね。
あ、TBさせて頂きます。
by (2005-09-17 00:48) 

coco030705

番台さんへ
TB&コメントありがとうございました。
やっぱり男の人は喧嘩のシーンがお好きみたいですね。
私とは見方がちがうところが、おもしろいです。
観客を引っ張っていく「熱さ」に感動しました。
by coco030705 (2005-09-17 07:44) 

「パッチギ」、当時ウワサは聞いていましたが、2005年は忙しい時期だったので映画は見ていませんでした。こういう内容だったんですね。
沢尻エリカさんも出ていたんですね。

気が付いたらココさんのブログに来てからもう3時間経っていました(@@;)
いつも拾い読みしていたから、じっくり遡って読んでみたいなって思って読み進めたらもうどっぷりココさんの世界にはまっていました(^-^*)
偶然にも2005年の私の誕生日の日の記事でnice!が777になったので今日はここまでにします。どの映画の解説も良かったです。
見たような錯覚になるものから、見たい!と思わせるものまで幅広くて、生きることや、人生、友情、恋について語られたものが多くて、どれも好きな系統のものばかりで、知らない作品から知ってる作品までとても楽しく読ませてもらいました。
また続きを読みにきますね。おやすみなさい。
by (2007-09-30 03:00) 

coco030705

Soraさんへ
たくさんのnice&コメントありがとうございます♪
nice!を捜しきれないので、ここでお礼をいっておきますね。
(nice!の数がどんどん増えてびっくり!>(@_@)vv
重ねて御礼をいいます。それに、記事を読むだけでもたいへんなのに、
お疲れ様でした。温かいコメント嬉しく拝読しました。

この記事、偶然にもSoraさんの誕生日の記事だったんですね。
やっぱり縁があるのかしら。これからもよろしくお願いしま~す☆
by coco030705 (2007-09-30 09:27) 

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