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プラダを着た悪魔 [外国映画]


〔パンフレットを買ったら、ケータイストラップ↑(写真上) が付いてきました。ちょっと嬉しかった。〕

監督:デヴィッド・フランケル   衣裳:パトリシア・フィールド     キャスト:メリル・ストリープ、 アン・ハサウェイ、 スタンリー・トゥイッチ、  エミリー・ブラント、   サイモン・ベイカー、 
エイドリアン・グレニアー
2006年  アメリカ        スクリーン

 これは、メリル・ストリープとアン・ハサウェイのファッションと演技の対決が見られる作品だ。
 メリルはファション界の最高峰「ランウェイ誌」の編集長ミランダの役である。出勤してくるや否や、アシスタントの机の上にドカンとコートとバッグを投げ出す。ここでまず度肝を抜かれてしまった。これはただものではないな、という感じである。しかも次々と無理な要求を出す。朝のコーヒーは、アシスタントがスタバに駆けつけて調達。それも、ベストな温度でなくちゃいけない。靴は、オフィスでも全員ヒールが基本。(だから、オフィスの女性達は彼女が出勤してくると同時に、大急ぎでフラットシューズをヒールに履き替える)オフィスで働く女性は、太っていてはいけない。(むむむ・・・耳が痛い!)
 最初はまあざっとこんな調子だ。でもこれは序の口で、ここからもっとすごい要求が次々とアシスタントたちに出されていくのだ。それがあまりにも度を越しすぎているので、思わずクスッと笑ってしまうほどだった。

 アン・ハサウェイは、アンドレア・サックスという女の子の役だ。ジャーナリストをめざしているものの、なかなか自分の思うような仕事が見つからず、ようやく「ランウェイ誌」の面接を受けることが決まった。ファッションにまったく興味がないが、(最初の彼女の服装はアメリカの学生っぽい感じで、ファッショナブルとは言いがたい。)「賢くて、覚えが早くて、よく働きます。」と自分をアピール。そこがミランダの気に入って、「ランウェイ誌」で働くことになる。
 しかしアシスタントの仕事は、予想をはるかに超えたカゲキなものだった。ミランダの、到底不可能なある要求に答えることが出来なかった彼女は、ミランダから「今までの、アシスタントは、センスがよくて、痩せているおバカな子ばかりだった。だから彼女達とは、タイプの違うあなたに期待していたのに、失望させられた。『賢くてデブ』のあなたにね。」という痛烈な一言を浴びる。

 さあ、ここからアンディの変身が始まるのだ。彼女はミランダの右腕のファッション・ディレクター、ナイジェル(スタンリー・トゥッチ)に頼み込んで、スタイリングしてもらうことにした。ナイジェルは、「ランウェイ誌」に掲載されるデザイナーたちのファッションは、偉大なアーティストの作品に匹敵するものだと熱く語るのだった。

 ここからは、すばらしいデザイナーズ・ブランドのファッションを次々と着こなすアン・ハサウェイが楽しめる。女性としては、興味津々のすごく楽しい場面が続々登場だ。
 私が一番好きだったのは、グレーのツイードのキャップ(シャネル)に、白の定番の襟のあるシャツ(ミュウ・ミュウ)、ボートネックの黒のニットを重ね、下は黒のパンツ、首からはシャネルのジャラジャラした素敵なネックレスをしているアン・ハサウェイだった。最高にお洒落でかわいかった。
 最初の学生のファッションの時は、アンが等身大の女の子を演じているように思えたのだが、どんどんファッショナブルになっていくにつれて、すごく魅力的な女性に変わっていく。女の人はやっぱり魔物かも。いや女優が、というべきか。

 対するミランダ役のメリル・ストリープも、鬼編集長の役を象徴するかのような、ゴージャスな衣裳の数々。特に、慈善パーティーの場面でメリルが着るのが、バレンティノのデザインした黒のドレス。シンプルだがすばらしく美しかった。この場面にはバレンティノ本人とスーパーモデルがカメオ出演している。
 メリルのミランダ役は、実在のアメリカ版「ヴォーグ」の編集長アナ・ウィンターだと推測されている。だが実際は、メリルが数人の男性をモデルに創りあげたそうだ。すごい権力志向で、傲慢で、仕事のできる人だが、こういう男性はそこかしこにいるような気がする。

 ストーリーのほうは、アンディ(アン・ハサウェイ)が仕事に忙しくなって、一緒に住んでいるネイト(エイドリアン・グレニアー)と別れてしまう。しかし最後は、ミランダが自分の地位を守るために、あまりにも人の気持ちを無碍にするので、アンディは愛想をつかして、再びネイトの元に帰り、ジャーナリストを目指すところで終わりとなる。

 そのアンディの恋人役の人が、どうもアン・ハサウェイとは不釣合いな感じだと私は思った。やさしさはあるのだが、これといった魅力がないのだ。再び彼の元にもどって、アンディが前と同じ服装に戻ってしまうのが、なんとも納得がいかなかった。ブランドファッションの洗礼を受けた女性が、もとのダサいファッションに戻ることがあるのだろうか。
 鬼編集長のメリル・ストリープが、最後に人間的な一面をみせるのだが、やっぱりここはあったほうが、映画としてはまとまりがよいのかもしれない。

 ともあれ、2人のファッションを大いに楽しめるし、女性にとっては楽しい映画ではないだろうか。


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TaekoLovesParis

Cocoさん、そろそろ出る頃だと思っていました。
Cocoさんが見ないわけないでしょ(笑)
私もとっても見たいもん。期待を裏切らないみたいですね!

アン・ハサウェイは白が似合いますね。ブローク・バック・マウンテン
でジェイク・ギレンホールの奥さん、テキサスの牧場主の娘になっていたでしょ。あの時もウェスタンスタイルのシャツだけど、白いシャツが
すごくすてきだった。こんな上品に着こなせるのね、っていう感じで。
「プリティ・プリンセス」もたわいない映画だけど、アン・ハサウェイの
プリンセスファッションがよかったです。

今はシャネル風を着ているけど、いつか、ほんものが着れたらいいな。
年取っても着れそうなので安心。
by TaekoLovesParis (2006-11-23 21:03) 

coco030705

Taekoさんへ
nice&コメントありがとうございます♪(^^)
アン・ハサウェイは、ブロークバック・マウンテンとぜんぜん違う
雰囲気でしたよ。色々な洋服が着れて、女優さんっていい職業だなあと思いました。やっぱり華やかですよね。メリル・ストリープの貫禄にも驚き。このミランダ役は「ヴォーグ誌」の編集長アナ・ウィンターをモデルにしていると思われているらしいのですが、実際はメリルは、幾人かの男性をモデルに役をつくりあげたのだそうです。確かに男性の中にはミランダのような人は、ごまんといるような気がします。
by coco030705 (2006-11-23 21:27) 

しまうま

 こんにちは~。

 うむう~ココさん、ファッションに詳しいんですね。レビュー読んでもどの服のことを書いてるのか分からない(そもそも覚えてない)…。私も映画の最初の方のアンディと同じで、ファッション雑誌をほとんどカタログみたいなもんだと思っていたので、ちょっと認識変わりました。
 しっかし…日本でも女性ファッション雑誌に勤める人ってみんなおしゃれなんでしょうか…。
by しまうま (2006-11-24 17:39) 

キキ

こんにちは。
アン・ハサウェイは「プリティ・プリンセス」でも普通の女の子が実は某国のプリンセスだった・・・って話でプリンセスに変身してましたよね。
そのイメージだったので「ブロークバック・マウンテン」を観た時はびっくりでした。それにしても何でも着こなせるってすごいです。
by キキ (2006-11-24 18:55) 

coco030705

ねこにばんさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2006-11-24 18:58) 

coco030705

しまうまさんへ
コメントありがとうございます♪
洋服対する情熱とか、それを芸術品と思っているところとかを
もっとたくさん描いてくれたら、もっとおもしろくなっていたのかもしれませんね。
ファッション界の人は、この映画のようにほんとうにお洒落なんですって。やっぱり皆さん無理してピンヒールを履いてるみたいですよ。


キキさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
私は「プリティ・プリンセス」は見てないんですが、「ブロークバック・
マウンテン」のアン・ハサウェイはなかなかよかったですね。
女優さんって、うらやましいわぁ☆
by coco030705 (2006-11-24 19:06) 

monad

こんばんわ。
「やさしさはあるのだが、これといった魅力がない」に、意味もなく反応してしまいました。ゴメンなさい。
しかしcocoさん、ファッション通ですね! たまらない映画だったことでしょう。
by monad (2006-11-24 21:29) 

coco030705

モナドさんへ
こんばんは。お元気ですか。
いやー、ちょっとキツイ言葉だったのかもしれませんね。
アンは、プレイボーイっぽい力のある男をふって、もとの恋人の
ところへもどるんです。これはかなり現実的なのかもしれません。
普通の女の人って、プレイボーイよりも誠実な人を選ぶに決まってますから。
この映画のようなブランドファッションは買えないので、見て楽しんでます。
(^^)
by coco030705 (2006-11-24 21:41) 

non_0101

こんばんは。
ブランドがさっぱりな私でも、華やかなファッションはいいなあと思いました。
それにしても、cocoさんはファッションに強いですね~
ファッションの知識がある人が観ると一層楽しめる作品ですね!

ところで、私もあの彼にはあまり魅力を感じませんでした。
でも、主人公は彼の価値観が自分にあっていると思ったのでしょうか。
もしかしたら、主人公にとっては
安心感が持てる人だったのかも知れませんね。
by non_0101 (2006-11-24 23:50) 

coco030705

nonさんへ
nice&TB&コメントありがとうございます♪
そうですか。nonさんもあの彼はイマイチと思われましたか。(^^)
やさしくて、自分が虚勢を張らなくてもいいボーイフレンドなのでしょうね。ここだけが、すごく現実的だったんで、違和感があったんだと思います。
by coco030705 (2006-11-25 00:02) 

はじめまして。taekoさん経由でおじゃまさせていただきました〜。
この映画もこの間観てきてまだ気持ちが上がったままいます(笑)
パンフレットにストラップ付なんてあったんですね!とても残念。買いそびれてしまいました。映画はテンポ良く観れたし本当に面白かったですね。
by (2006-11-25 15:24) 

coco030705

sakikopさんへ
はじめまして。ようこそお越しくださいました。
nice&コメントありがとうございます♪
映画楽しかったですね。今日、文庫本も買っちゃいました。(^^)
よろしかったら、また遊びにおいでくださいませ。
by coco030705 (2006-11-25 18:35) 

TaekoLovesParis

Cocoさんへ
↑のsakikopさんは、私のブログを見て橋村さんの展覧会にいらしてくださった方なんですよ。
Cocoさんの常識的で痛快なコメントに大笑いです。
<普通の女の人って、プレイボーイよりも誠実な人を選ぶに決まってますから。この映画のようなブランドファッションは買えないので、見て楽しんでます。>
→はい、そのとおりですね。プレイボーイを選ぶと、離婚への道?
<出勤してくるや否や、アシスタントの机の上にドカンと、、>
→お行儀悪いわね、ってCocoさんが眉をひそめていそう(笑)
私も同じリアクションすると思うけど。
by TaekoLovesParis (2006-11-25 20:54) 

coco030705

Taekoさんへ
ありがとうございます!sakikopさん、そうだったんですか。
またお礼言わなくちゃ・・・。嬉しいですね。

プレイボーイは魅力的なんですけどねー。(^^)
やっぱり平和に暮らしたかったら、誠実な人がいいですよネ。
私のイメージでは、Taekoさんはシャネルスーツがすごくお似合いに
なりそう。私も一着ぐらいは本物がほしいですけどねー。なかなか
手が出ませんね。せめて、シャネルのブレスレットでも買おうかしら。
by coco030705 (2006-11-25 21:28) 

お久しぶりです(^-^)
これから見に行こうと思っていた映画なので、読むのを躊躇したんですが、冒頭を読んでしまったらcoco030705さんの解説の続きが気になってしまい。最後まで読んでしまいました(^^*)
まだ見ていないので憶測ですが、最後に元の彼女に戻ってしまったというところ気になりますね。何か作者の意図があるんでしょうかね(’’?
自分の求めるものはここではなかったと気付いて、外見ではない内面の美しさや夢を求めて彼の元に戻ったとか?だからあえて恋人役を控えめに登場させたのかな?などなど、記事を読んでいたら色々考えてしまいました(^-^*)
by (2006-11-25 23:07) 

coco030705

Soraさんへ
おひさしぶりで~す☆お元気ですか。ご無沙汰して申し訳ありません。
nice&コメントありがとうございました♪
私のは、ネタバレしすぎで、これからご覧になる人に悪いんですが、
レビューを書こうと思ったら、どうしてもこうなっちゃいます。
これは、女性が見ておもしろい映画だと思いますので、時間のあるときに
ご覧になったらいかがでしょう。
by coco030705 (2006-11-26 00:51) 

ジジョ

想像以上に楽しい映画でした☆
こういう女の子映画は久々だっったので、ウレシイです♪
TBさせていただきましたので、よろしくお願いします(^-^)
by ジジョ (2006-11-27 08:38) 

gillman

ご無沙汰しいます
僕の以前の職場にも「エルメスを着た悪魔」がいましたっけ
by gillman (2006-11-27 10:43) 

coco030705

ジジョさんへ
はじめまして。ようこそ。nice&TB&コメントありがとうございます♪
女性にとって、楽しくファッションの勉強になる映画ですね。
今、小説のほうも読んでいます。数ページ読んだだけですが、
楽しいです。
これからも宜しくお願いいたします。


gillmanさんへ
こちらこそ、ご無沙汰しています。
レオちゃんに、すっかり手を焼いていらっしゃるみたいですネ。(^^)
職場でエルメスを着るなんて、なんて贅沢な!(ファション関係でない限り)。私はバッグやお財布は2,3持っているんですが、とても洋服までは手が届きません。エルメスを着るということは、地位もあって仕事もできるかたなんでしょうね。ブランド物というのは、ある意味女性の戦闘服かもしれませんね。
by coco030705 (2006-11-27 14:59) 

ふむふむ。いつもステキなお店や、優雅な雰囲気の生活を楽しまれている
記事が多いとは思っていましたが、ココさんは実はファッション大好き
少女だったのですね…。
しかしココさんの解説、いつ読んでも分かり易いです。見てない人でも
理解できそうな感想ですよね。。

私も最後、元の鞘に収まってしまうのはちょっと納得がいっていないの
ですが、それにしても「やさしさはあるのだが、これといった魅力がない」
の表現には笑わさせていただきました^^。確かに…。
by (2007-01-12 01:22) 

coco030705

springsnowさんへ
nice&TB&コメントありがとうございます♪
記事をほめていただいて、感謝、感謝☆
でも「少女」はいいすぎですよ~。(^^)
springsnowさんって、やさしいかたですね。

私はけっこうズバリと本音を言ってしまうので、
笑えるでしょう?ではでは・・・・・・。
by coco030705 (2007-01-12 10:01) 

ken

ブランドファッションの洗礼を受けても、
先立つものがなければどうしようもない、と僕は解釈しました(笑)。
でも、さすが女性ならではの視点で、楽しい記事でした。
by ken (2008-01-15 14:23) 

coco030705

kenさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
ブランドはあこがれますが、洋服は買えません。(涙)
たいがいデパートのバーゲンで季節の服をそろえますので、
今の時期は大忙しです!(^^)
by coco030705 (2008-01-15 14:26) 

coco030705

mat-chanさんへ
こんばんは。遠い記事にnice!をありがとうございます♪
by coco030705 (2014-12-18 20:58) 

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