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エディット・ピアフ~愛の賛歌~ [外国映画]

監督:オリヴィエ・ダアン  出演:マリオン・コティアール、 ジェラール・ドパルデュー、 エマニュエル・セニエ、 
クロチルド・クロー、 ジャン・ピエール・マルタンス
2007年  フランス/チェコ/イギリス   梅田ナビオTOHO

 私は映画を見ても、めったに泣かないのだが、この映画は涙を誘った。久々に泣ける映画だった。

 エディット・ピアフ(マリオン・コティアール)は、1915年にパリのベルヴィルで生まれた。母親は道端で歌って日銭を稼いでいた。ある日父親がピアフを連れに来て、彼女は祖母の経営する娼館に引き取られた。そこでピアフは娼婦達に可愛がられた。しかし父親が戦争から帰ってきて、ピアフは再び大道芸人の父とともに、日銭を稼ぐために街角に立って歌を歌う生活を送った。
 彼女の歌声は人々の心をつかみ、それを聞いた名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレ(ジェラール・ドパルデュー)に認められ、その歌声から“ピアフ(雀)”と名づけられる。
 やがて彼女は世界的に活躍するスターへと成長する。そして最愛の人、プロボクサーのマルセルと出会うのだが……。


 マルセルとピアフ

 この映画の主役マリオン・コティアールは本当にすばらしかった。歌はピアフの音源を使用したものだそうだが(kenさんにおしえていただきました。↓のkenさんのTBの記事をお読みください。)、マリオンはピアフのCD(レコード?)を何度も何度も聞いて、息づかいまでも真似たそうだ。ピアフの性格の激しさもよく表現していた。若いのにすごい女優だと思った。
 またピアフの最愛の人で、ボクシングの世界チャンピオンのマルセル・セルダンをジャン・ピエール・マルタンスが演じていた。この人はなかなかかっこよかった。
 その他、名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレのジェラール・ドパルデューはやはり存在感があったし、ピアフをかわいがる娼婦ティティエーヌをエマニュエル・セニエが好演。いい役者が随所に揃っていたのもこの映画を面白くしていたと思う。

 エディット・ピアフの人生は一体幸せだったのか、不幸だったのか。子供の頃は貧しく両親にまともに愛してもらえず不幸な子供だった。しかし彼女には才能があり、そのお蔭で貧困から脱出した。そして今までの人生が歌になり、彼女のシャンソンは人々の心をつかんだ。ピアフの歌と人生は同じもので、ピアフ自身が歌であるとも言えると思った。

 また色々な人との出会い。ピアフを見出してくれた名門クラブのオーナー、ルイ・ルブレや、ピアフに徹底したレッスンをしてくれたレイモン・アッソ。恋愛とは違うが2人は各々の愛し方でピアフを愛してくれた。

 そして、最愛の恋人マルセル・セルダンとの出会い。彼は既婚者だったが、ピアフとの波長がぴったりと合い、2年の蜜月を過ごしたのだった。だが、その恋愛もマルセルの飛行機事故による突然の死で幕を閉じる。はからずもその夜、ピアフはマルセルのために新曲を発表する予定だった。それこそ「愛の賛歌」だった。

 ピアフはリュウマチに苦しみ、モルヒネの多用で47歳の若さなのに老婆のような容姿になってしまう。しかし彼女は最後まで舞台に立ち続け、その歌声は人々の心をつかんで放さなかった。

 まさに幸福と不幸が渾然一体となった人生。息つく暇もないような激しい人生。彼女は常識でははかれない生き方をした。自分を削って、シャンソンに魂を吹き込んだのだ。だからこそ、彼女の歌は人の心を打つのだろう。
 「よく生きることこそ、よく死ぬことだ。」という言葉を聞いたことがある。誰の言葉か忘れたが。人はそれぞれの場所で、精一杯生きなければならない。自分にとって「よく生きる」とはどういうことなのか、これからも考え続けながら生きて行こうと思った。


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tomoart

最近悲惨な事件や事故が多いからか、はたまた単にトシだからか、“生きる”という事を考える事が本当に多くなりました。
人はなぜ生きるのか・・・などと言えばチープな気もしますが。
生きる権利とその間の義務。社会に対してすべき事と出来ない事。死す時に後悔しない生き方。自分が楽しい事と人を楽しくする事。お金儲けと生活。未来に残す自分の足跡。・・・・云々云々。

いくら考えても答えは出ないのですがね。
by tomoart (2007-12-17 03:14) 

aranjues

近頃涙腺が富みにゆるんできました。
これは一人で観ないといけませんね、きっと。
by aranjues (2007-12-17 09:00) 

coco030705

tomoartさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
世間を見渡してみたら、本当に悲惨な出来事がたくさん起こって
いやになりますね。そんな世の中ですが、人間にとって(あるいは
すべての生物にとって)「生きる」こと自体が最も大きい仕事なんじゃないかと
最近考えています。なにがあっても行きぬくこと、を目標にしたいと思います。


aranjuesさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
私も、年のせいで涙腺がゆるくなってきました。(^^)
誰かに涙を見られるのって、なぜか恥ずかしいですものね。
by coco030705 (2007-12-17 09:21) 

ken

先日、某番組で日野美歌さんが
「『氷雨』を歌っていた頃はまだ20歳で歌詞の意味が全然分からなかった」
と話していました。
それが離婚を経験してようやく本当の「氷雨」を歌えるようになったと。
たとえ話としてはナンですが(笑)、同じことですよね。特にシャンソンは。
ただ一点だけ補足をさせてください。
劇中の歌は、ほとんどがエディット・ピアフの音源を使用したそうです。
それを口パクに見せないようにするため、息遣いなども含めて
もう特訓したのだそうです。
by ken (2007-12-17 20:27) 

キキ

cocoさん、こんばんは。
ピアフは雀の意味だったんですね。
観にいかなくっちゃと思いました。
by キキ (2007-12-17 20:58) 

coco030705

kenさんへ
nice&コメント&TBありがとうございます♪
そうなんですか!ピアフの音源を使用していたんですね。
どうりで歌が迫真に迫っていると思いました。
教えてくださってありがとうございました。レビューも
書き換えておきます。
でもマリオンもすごく練習して努力して、これだけの演技を
披露できたのはすごいですよね。女優という仕事は素晴らしいなと
思いました。


キキさんへ
こんばんは☆ nice&コメントありがとうございます♪
まだどこかでやっていたら、ぜひご覧になってください。
レビュー楽しみにしてます。
by coco030705 (2007-12-17 21:16) 

TaekoLovesParis

もう少ししたら、映画を見れる時間がとれるので、「タロットカード」に「ピアフ」
、行きます!
by TaekoLovesParis (2007-12-17 23:18) 

coco030705

Taekoさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
お忙しいんですね。どうぞ、お風邪など引かれませんように。
でも、この2本はお薦めです。(^^)
by coco030705 (2007-12-17 23:34) 

ジジョ

こんにちは☆
ピアフの人生も感情の起伏も激しすぎて、私は感動するまでには至れませんでした。。ただただ圧倒された感じで。
kenさんの例え話ではないですが、映画を見る方も経験で見え方が変わってきますよね〜。わたしもいつかピアフの愛の激しさに共感する時がくるんだろうか、、などと考えてしまいました。
by ジジョ (2007-12-22 02:54) 

coco030705

ジジョさんへ
nice&TB&コメントありがとうございました♪
ピアフは一般的に考えて、つきあいやすい人ではなかったでしょうね。
でも情熱を燃やし尽くすような生き方はやはり魅力的でした。
本や絵や音楽など何でもそうですが、年齢や経験を経ることによって、
見方が変わってくるってことはありますものね。
私も昔見た映画などを、もう一度見返してみようかなと思います。
by coco030705 (2007-12-22 10:49) 

クリス

明けましておめでとうございます!
この作品、思い返せばかなりのインパクトがありましたよね。
人の生死について考えることが多かったんですが、この映画はまさにそのものだったなぁと。
2008年もよろしくお願いします。もっと時間的余裕を作って、cocoさんのページにいっぱい遊びにきたいと思ってます★
by クリス (2008-01-02 12:56) 

coco030705

クリスさんへ
A Happy New Year!
nice&コメントありがとうございます。
去年は年始に「あるいは裏切りという名の犬」を見て感激し、
年末にこの作品に出会えました。今年はどんな映画が私たちを
待っているんでしょうね。今から楽しみです。
クリスさんもお忙しそうですが、お身体に気をつけてお仕事してくださいませ。
私ははからずも今年は3日から仕事になってしまい、なんか落ち着かないんですよ。でも元旦から働いている人もいるんだから仕方ないですね。
今年もよろしくお願いします。私もクリスさんのお部屋にいっぱいおじゃましますネ。(^^)
by coco030705 (2008-01-02 21:21) 

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