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ジェイン・オースティンの読書会 [外国映画]

 私の大好きな作家、「ジェイン・オースティン」の読書会! なんて魅力的なんだろうと思い、映画を見に行った。見る前はてっきりイギリスのお話かと思いきや、アメリカのお話。しかも出てくる女性達が魅力的な人ばかりで、そのメンバー1人ひとりが、オースティンの小説と彼女達の人生がリンクする本を担当するのだ。

J・オーステイン1.jpg 

 離婚暦6回の年配の女性バーナデット(キャシー・ベイカー)は、友人でブリーダーのジョスリン(マリア・ペロ)が最近愛犬を亡くして悲しんでいるのを知って、ジェイン・オースティンの読書会を開いて彼女を励まそうというアイデアを思いつく。バーナデットいわく、オースティンは「人生最高の解毒剤」なのだ。オースティンの長編小説は6冊あるため、メンバーも6人集めなくてはならない。そして、シルヴィア(夫から他に好きな人ができたといわれて落ち込んでいる。)、シルヴィアの娘アレグラ(レスビアンで恋人ともめている。)、プルーディー(高校のフランス語の教師で夫と趣味があわず、教え子に心惹かれる。)、グリッグ(SF大好き青年で、オースティンは読んだことがない。)というメンバーがそろい、読書会はスタートするのだが……。

J・オースティン3.jpg

 登場人物それぞれが意外と深刻な悩みを抱えていながら、そちらの方向には引張っていかず、うまく解決するほうに話が展開していくので、重い気分にならずに楽しめる。しかも1人ひとりの人物像とエピソードがきちんといい配分で描かれている。それもおもしろい。

 ジョスリンは「エマ」を担当。エマは資産家の娘で世話好きな性格。自分の結婚には興味がないが、他人の縁結びが大好きだ。ジョスリンも恋愛に興味がなく、ブリーダーとして成功をおさめている女性。だがひょんなことから知り合ったグリッグという青年の事が気になり始める。だが、ジョスリンは、夫に裏切られて落ち込んでいるシルビィアに彼を近づけようとするのだ……。

 プルーディーは「説得」担当。「説得」のアンとウェントワースはいったんは婚約を破棄する。しかし、様々な誤解を乗り越えて再び結ばれるのである。プルーディーは高校のフランス語の教師だが、一度もフランスへ行ったことがない。平凡で人の良い夫とは趣味が合わない。彼女は教え子でハンサムな男の子に惹かれ、不倫の恋に一歩踏み出そうとする。果たして、プルーディーは夫を捨てて新しい恋に身を任せるのだろうか……。

 バーナデットは「自負と偏見」を担当。エリザベスとダーシーは最初は互いに反目しあっていた。この2人を筆頭に様々な恋愛と結婚が描かれる。バーナデットの7度目の結婚は?

 アレグラは「分別と多感」を担当。これは性格が正反対の姉妹の物語。自由奔放に派手に振舞うマリアンと慎み深いエリナー。ちょうどアレグラと母親のシルヴィアのようだ。アレグラはレスビアンの恋人ともめて別れてしまう。さて、新しい恋人は現れるのだろうか。

 シルヴィアは「マンスフィールド・パーク」を担当。主人公のファニーが貧しさと困難を経て、ずっと想い続けたいとこのエドマンドと結婚するまでが描かれる。シルヴィアは主人に突然、「好きな人がいる」と告白される。シルヴィアは「夫いのち」の平凡な主婦。さて夫婦は一体どうなるのだろうか。

 そしてグレッグ。彼は「ノーザンガー・アベイ」を担当する。これは主人公のキャサリンが、読みふけっていた「怪奇小説」に影響されるというホラーめいた小説で、オースティンの作品群のなかでは、異色作。グレッグはひょんなことから知り合った、年上の魅力的な女性ジョスリンに惹かれる。しかしジョスリンは彼にシルヴィアを慰めてもらおうと画策する。このちぐはぐな三角関係はいったいどうなるのだろうか。

J・オーステイン2.jpg

 それぞれの登場人物の恋の行方がとても気になる映画だった。恋愛っていくつになもできるんだなと、なんだか嬉しくなるような楽しい作品だった。
 私はジェイン・オースティンの作品を大学のゼミで読み、卒論が「説得」だった。それが長い時を経て、近年色々な映画になっているのが嬉しい。こうして時代を越えて読み継がれていく作品というものは、必ずそのなかに人生や人間の真実が描きこまれているのだと思う。


監督・脚本:ロビン・スウィコード     出演:キャシー・ベイカー、 マリア・ペロ、 エミリー・ブラント、 
エイミー・ブレネマン、 ヒュー・ダンシー、 マギー・グレイス、 ジミー・スミッツetc.
2007年 アメリカ    梅田ガーデンシネマ

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キキ

cocoさんこんにちは。
決められた本を担当した人が進めていく読書会。
こんなイベントを月一回開くなんて素敵ですよね。憧れちゃいます。
どこにもありそうな日常が最初の映像から伝わってきて、沢山の登場人物の悩みや恋愛を飽きさせず最後まで見せてもらえる面白い映画でした。^。^
by キキ (2008-06-15 10:39) 

coco030705

キキさんへ
nice&コメント&TBありがとうございます♪
小作品ながら、とっても心温まるいい映画でしたね。
現代版ジェイン・オースティンの世界ですね。

ところで、エドくんはお元気ですか。このごろあまり見かけないので。
またブログに記事を載せてくださいね~。(^^)
by coco030705 (2008-06-15 18:12) 

薄野の舞姫

cocoさん、こんばんゎ。(^o^)
私も観ましたよ~。
読書会のメンバー6名の、個性豊かな人物設定が
よく活かされている作品だと思いました。
私は、ジェイン・オースティンについて
取り立てて詳しい知識のないまま観に行ってしまったのですが
もしオースティンの作品を少しでも知っていたのなら
もっと楽しんで鑑賞できたんじゃないかと思います。♪
by 薄野の舞姫 (2008-06-15 23:14) 

coco030705

薄野の舞姫さんへ
こんばんは。お元気ですか。
ほんとにとっても素敵な映画でしたね。
あまり名の知れない俳優さんばかりでしたが、
それぞれがとても魅力的に描かれていたと思います。
オースティンって欧米ではほんとに人気があるんですね。
またオースティン原作の映画がつくられるかもしれませんね。
楽しみです。
by coco030705 (2008-06-15 23:25) 

coco030705

sakikopさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2008-06-16 20:27) 

aranjues

ジェイン・オースティン初めて聞いた名前です(^_^;)
この映画もチェックしておいて必ず見ますね。
by aranjues (2008-06-16 23:26) 

coco030705

Soraさんへ
nice! ありがとうございます♪


aranjuesさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
ジェイン・オースティンの原作そのものを映画化した作品も、
たくさんでていますよ。「エマ」(グィネス・パルトロゥ主演)」
「いつか晴れた日に」(エマ・トンプソン主演)「プライドと偏見」(キーラ・ナイトレイ主演)です。よかったらあわせてご覧くださいませ~。
by coco030705 (2008-06-17 01:42) 

TaekoLovesParis

Cocoさんは、ジェーン・オースティンが卒論だったんですか。だったら、この映画は必須ですね。オースティンはアメリカでもよく読まれているみたいで、私のアメリカ人の友達が、「いつか晴れた日に」(Sense and Sensibility)のビデオをクリスマスプレゼントに送ってくれたことがあります。ヒューグラントやアランリックマンが出ていました。
by TaekoLovesParis (2008-06-18 01:11) 

sakikop

cocoさんの記事を読んでいるうちに各登場人物の行方が気になって
落ち着かないので金曜日の夜には見ます!!

あと、「いつか晴れた日に」をセットで(笑)
レンタルできると良いなぁ~!
by sakikop (2008-06-18 13:43) 

coco030705

Taekoさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
「いつか晴れた日に」もいい映画でしたね。エマ・トンプソンやヒュー・グラントも好きな俳優なので、とても楽しめました。
不思議なことですが、先の「ナルニア国物語」の英文講読の教授と、ジェーン・オースティンのゼミの教授が同じ人なんですよ。だから、この先生に学んだ作品が今になって映画として創られ視覚的に楽しめるというのが、嬉しいです。
勉強したのもだいぶ昔の事なので、またジェーン・オースティンを再読したいなと思っています。
by coco030705 (2008-06-18 19:53) 

coco030705

sakikopさんへ
コメントもありがとうございます♪
ぜひぜひ、ご覧くださいませ。そして感想を聞かせてくださいね。
by coco030705 (2008-06-18 19:54) 

coco030705

xml_xslさんへ
nice! ありがとうございます♪

by coco030705 (2008-06-19 18:06) 

coco030705

plotさんへ
nice! ありがとうございます♪
by coco030705 (2008-06-20 20:56) 

鯉三

昔、フランス映画で「読書する女」という作品を見ましたが、あまり印象に残りませんでした。すごくタイトルに惹かれたのですが...
この映画はおもしろそうですね。ストーリーもしっかりしてそうだし。日本映画でも読書を扱ってほしいなと思います。
by 鯉三 (2008-07-14 00:36) 

coco030705

鯉三さんへ
nice&コメントありがとうございます♪
これはいい映画でしたよ。おススメです。
見終わって、楽しい気分になれる映画です。
読書会って素敵ですよね。ときどき、NHKの
「週間ブックレビュー」という番組を見ますが、なかなか
おもしろいです。そちらで放映されていますでしょうか。
by coco030705 (2008-07-14 12:47) 

non_0101

こんばんは。
cocoさんはジェイン・オースティンが大好きなのですね☆
私は友達に勧められて読んだ「高慢と偏見」しか読んでないです(^^ゞ
なのでこの作品も見逃していたのですけど…面白かったです~
ジェイン・オースティン好きが集まったのに
みんな性格がバラバラなのがまた楽しかったです。
私も6冊読破してみたくなりました(笑)
by non_0101 (2008-10-02 22:52) 

coco030705

nonさんへ
nice&コメント&TBありがとうございます♪
ほんと、面白い映画でしたね。女性向のいい映画ですよね。
ジェーン・オースティン、私も久しく読んでないので、記憶が…。(笑)
秋の夜長に読み直したいものです。(^^)/

by coco030705 (2008-10-03 19:38) 

てくてく

こんにちは^^
やはり原作を読んでいるほうが、
ずっとずっとこの映画を楽しめそうですね。
女性達がジェイン・オースティンを崇拝していて、
時代を超えても根本的な所は変わらないのかな~、
なんて思いました。
by てくてく (2008-10-15 13:45) 

coco030705

てくてくさんへ
nice&コメント&TBありがとうございます♪
わたしも原作を読んで、かなーり時間が経っているので(^^)
また読み直したいと思っています。「高慢と偏見」だけは、
映画を見たとき読み直しました。やはりおもしろかったです。


by coco030705 (2008-10-15 19:17) 

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