ラブリー・ボーン

　珍しく試写会のチケットをもらったので、見に行った。「これは、私が天国に行ってからのお話。」といううたい文句で宣伝されている映画である。

　スージー・サーモン（シアーシャ・ローナン）という魚の名前のような少女は、14歳のときにトウモロコシ畑である者に襲われ、殺されてしまう。そしてスージーは天国と現実の世界の境目にたどり着くが、父（マーク・ウォールバーグ）は犯人探しに明け暮れ、母（レイチェル・ワイズ）は愛娘を守れなかった罪悪感に苦しむ。崩壊していく家族の姿を見てスージーは……。（パンフレットより）





　シアーシャ・ローナンは映画「つぐない」で観て、うまい子役だなと思った。今回は主役で、14才で殺され、その死後の世界（＝天国とこの世との境）をさまよう少女の役だ。シアーシャは成長してかわいくなって、セリフ回しもうまくなったようだ。しかし、映画の方はかなり不気味なシーンが多々あった。

　天国とこの世の境の世界の表現は、おもしろく美しかった。この世のみにくいもの、恐ろしいものが消え、夢のような世界だった。





　現実の世界では、今の世の中のみにくく恐ろしい犯罪が、サスペンスタッチで描かれる。だからこの作品は、サスペンスとファンタジーがミックスされたものといっていいかもしれない。現実とは残酷なものだということを映像化し、けれども死んでからの世界は、安堵感と美しさに満ちていると表現した。

　ピーター・ジャクソンは、だからこそ亡くなった子供たちは決して不幸ではない、その死に方が不幸であったとしても、ということをいいたかったのかもしれない。確かにこういってもらえれば安心はできるが、この映画は果たして成功しているのだろうか。

　家族は真犯人がわかったのち、スージーの死を乗り越えて、前向きに生きていく。そして、本当の犯人は最後に事故で死んでしまう。だが、家族はどのようにスージーの死を受け止め納得したのか、それはまったくセリフで表現されていなかった。このあいまいさが、疑問だった。何か心に残るもの（＝セリフ）が欲しかったと思う。

　死後の世界がどんなに美しく描かれていようと、現実に子供が襲われたり死んだところを見せられるのは、心が冷え冷えする。たとえそれが、映画の中ではほんのわずかなシーンだったとしても。そういう意味で、私の趣味にはあわない作品だったかもしれない。

監督：ピーター・ジャクソン　　　出演：　シアーシャ・ローナン、　マーク・ウォールバーグ、　
レイチェル・ワイズ、　スーザン・サランドン、　スタンリー・トゥッチ
2009年　アメリカ

コメント 18

もう観たんですね〜。
粗筋からワタシの好みじゃないな、と思ってたんですが、色々な報道を読んでいて観たくなりました。公開されたら観に行くと思いますので、またレビューしたいと思います。

「かいじゅうたちのいるところ」も観て来たのでレビューしなきゃ（汗）。
by tomoart (2010-01-22 20:39) 

少女の青い瞳を見ながら、天国とこの世が交錯するというストーリーを読むうちに、前に見た「バンズ・ラビリンス」が浮かんできました。似てませんか？
主演の俳優陣も知ってる人が多いので、見たいです。
パブリック・エネミーズのロードショーは昨日で終わりでした（ｸｽﾝ）。また、どこかで上映
すると思いますが。
by TaekoLovesParis (2010-01-23 11:09) 

こんにちは。
出だしの明るい笑顔を見せるスージーを演じるをシアーシャ・ローナン観た時、
女の子は本当に綺麗になるなあと感動しました～
でも、その後の展開には心が痛くなり、最後まで切ない想いの残る作品でした。
特にタイトルの意味を最後にきちんと理解した時はかなりショックでした(T_T)
せめて、残された家族（特にお母さん）が心の痛みを乗り越えられて良かったです。
by non_0101 (2010-01-25 00:58) 

tomoartさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
映画は趣味の問題もありますし、人によって受け取り方が
違うと思いますので、見に行かれたら、記事をアップしてくださいね。


by coco030705 (2010-01-25 13:19) 

Taekoさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
私もこのラブリー・ボーンズはファンタスティックな映画だと思っていたのですが、
現代の犯罪を見せ付けられるところもあり、どうも嫌な感じが残りました。

対して、「パンズ・ラビリンス」は、一見残酷なようですが、これは欧米のフェアリー・テイル
や伝説物語に通じる要素のあるすぐれた作品だと思います。
欧米の物語でジプシーや不幸な生まれの子が、最後は妖精に救われるというストーリーを
踏襲しているような気がします。

でも映画は、観客のものの考え方や感覚によって捉え方が違うのが当たり前ですので、
ぜひTaekoさんもご覧になって、感想をお寄せくださいね。



by coco030705 (2010-01-25 13:25) 

nonさんへ
こんにちは！nice&コメントありがとうございます♪

シアーシャ・ローナンがかわいかっただけに、彼女が襲われてしまうところが
とってもかわいそうですよね。そして、家族と離れ離れになってしまうところも。
nonさんがおっしゃるように、家族が立ち直っていくのがせめてもの救いですね。

by coco030705 (2010-01-25 13:38) 

silvercopenさんへ
nice&コメントありがとうございます♪


xml_xslさんへ
nice&コメントありがとうございます♪

by coco030705 (2010-01-25 13:49) 

こんにちは☆
そうそう。ちょっと曖昧な部分が多くて、
心の動きがわかりずらかったのが残念です、、、
シアーシャは、キラキラしててかわいかったな〜☆

by ジジョ (2010-01-28 02:53) 

ジジョさんへ
nice&コメントありがとうございます♪
ＣＧはすばらしかったんですけど、もうちょっと
ちゃんとしたセリフが欲しかったなと思いました。
シアーシャちゃん、どんな女優さんになっていくのか、
楽しみですね。（＾＾）
by coco030705 (2010-01-28 13:28) 

こんにちは！
シアーシャ・ローナンは本当、可愛いかったですね。
映画の方は、ココさんの言う通り最後がちょっと半端な感じがして、
どうも後味が悪いんですけどね・・・。
それが逆に印象に残って、興味深い作品だったなーとも思います。
by トミュウ (2010-01-31 17:17) 

トミュウさんへ
nice&コメントありがとうございます♪

シアーシャ、どんな女優さんになっていくのか楽しみですね。（＾＾）
トミュウさんのいうとおり、半端なところが印象に残るというのも
わかる気がします。
色々な見方があっていいんですよね。
by coco030705 (2010-02-02 13:15) 

観て来ました。ワタシが参考にしている批評サイトでもダメ出しされていましたが、ワタシは充分楽しめました。よろしければ読んでくださいm(_ _)m

相変わらずトラバは出来ないみたい（汗）。
by tomoart (2010-02-10 04:30) 

こんばんは。
＞現実とは残酷
遠い過去とか、遠い国での出来事と割り切れない題材だけに、重く圧し掛かってきました。

＞私が天国に行ってからのお話
行く前の話でしたね。
宣伝コピーに惑わされました。
by hash (2010-02-12 01:37) 

hashさんへ
nice!&コメントありがとうございます♪

そうですね、現代的な犯罪なのかもしれません。怖かったです。

天国はいいところに決まっているので、成仏する前の話ですよね。（天国＝キリスト教、成仏＝仏教用語？（笑）
by coco030705 (2010-02-12 13:55) 

tomoartさんへ
コメントありがとうございます♪

楽しめて良かったですね。意見の分かれる作品だと思います。

by coco030705 (2010-02-12 14:16) 

Soraさんへ
nice! ありがとうございます♪

by coco030705 (2010-03-09 12:34) 

ココさん、こんばんは＾＾
お邪魔いたします～。
ブログ再開されるとの事、またどうぞよろしくお願いします＾＾

評価が分かれる作品でしたね。
私もやりきれない気分で一杯になったのですが、
心に残るものがある作品でもあったと思います。
シアーシャ・ローナンは魅力的な女優さんですね。
これからが楽しみです。
by てくてく (2010-03-28 02:35) 

てくてくさんへ
nice!&コメントありがとうございます♪
早速お越しいただいて、嬉しいです！
これからもよろしくお願い致します。

こういうあるかないかわからない世界を扱うのは、
ほんとに難しいですね。
てくてくさんがおっしゃっていたように、死後の世界は、
スージーの想像の世界なのかも。だから女の子らしい
かわいらしいものも登場してましたね。
ピーター・ジャクソン監督の冒険作ともいえるでしょうね。
by coco030705 (2010-03-28 10:21)