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チェンジリング [外国映画]

 とても怖い映画だったが、中身の濃い内容だった。

 1928年、シングルマザーのクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、電話会社に勤めながら息子のウォルター(9才)を育てていた。ある日彼女は、仕事のためウォルターを1人家に置いたまま、休日に働かなければならなかった。そしてその日、クリスティンが帰宅してみると、ウォルターの姿はなく、近所を探してもまったく見当たらなかった。警察に通報し捜査が始まったが、息子の行方は依然として知れず5ヶ月がすぎたころ、警察から朗報が入った。ウォルターがイリノイ州でみつかったというのだ。しかし、クリスティンが報道陣に囲まれながら駅で出迎えたのは、ウォルターとは似ても似つかぬ別人の少年だった……。


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 アンジェリーナ・ジョリー

 クリント・イーストウッドはいつも権力や暴力の理不尽さや横暴さを描き、それに敢然とたちむかう人々を主人公にしている。この作品もどちらかというと弱い立場のシングルマザーを主人公に、親(母親)の愛が、警察権力の横暴さを暴露し、ある事件の解決にはからずも助力するさまを、ミステリー仕立てで興味深く描いていた。


チェンジリング2.jpg
 ジョン・マルコビッチとアンジェリーナ・ジョリー

 主演のアンジェリーナ・ジョリーは、いなくなった息子を心配し必死で探し回る母親を演じた。また一方で、早急に事件を終わらせ面目を保つために、別人の少年をクリスティンの実の息子と主張する警察権力に反発し、危ない目に合いながらも自分の信念を貫こうとする強い女性を表現していた。やはりこれはアンジーという女優のもつ強さとスター性がなければ、結構見辛い作品になっていたのではないかと思った。そういう意味で、的確な配役だったと思う。
 
 またジョン・マルコビッチがクリスティンを助け堕落した警察権力に立ち向かう牧師グスタブ・ブリーグレブを演じていた。彼もとてもすばらしかった。

 他にも色々な俳優が適材適所に配役されていたと思う。頭が固く自分の保身にやっきになるジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)、殺人犯の一見人がよさそうだが狂気じみた感じとか、死刑執行人の卑しい様子とか、細かいところに配慮が行き届いて、作品をおもしろくしていたと思う。


チェンジリング3.jpg
 撮影の合間の、クリント・イーストウッド監督とアンジェリーナ・ジョリー

 これは1920年代にロサンゼルスで実際に起きた事件なのだそうだ。本当に怖いことだと思った。そして親(母親)の愛情というものがどんなに強いものであるかを、改めて感じた。見ごたえのある作品だった。

原題:CHANGELING 監督:クリント・イーストウッド
出演:アンジェリーナ・ジョリー、 ジョン・マルコヴィッチ、 ジェフリー・ドノヴァン etc.
2008年 アメリカ     DVD

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non_0101

こんにちは。
> アンジーという女優のもつ強さとスター性がなければ
アンジーの存在感は影響力がありますよね。
いつもは強くてカッコいいアンジーが今作ではとても弱々しくみえたのが印象的でした。
ジョン・マルコビッチは素晴らしかったですね~
一瞬怪しい人?と思ったら、いい人でした(^^ゞ
by non_0101 (2010-12-15 10:18) 

coco030705

xml_xslさんへ
こんばんは。nice! ありがとうございます♪


nonさんへ
こんばんは☆nice&コメント&TB ありがとうございます♪
母親クリスティンを演じるアンジーは、愛情にあふれていて、しかも不安感をうまく表現していましたよね。病院の中での姿は、素顔で演じていたので、すごいと思いました。
マルコビッチ、「一瞬怪しい人?」というのが笑えました!(⌒▽⌒)アハハ!

by coco030705 (2010-12-15 21:41) 

aranjues

これは公開時に観ました。
アンジー=アクションというイメージでしたが、
全く新しいアンジーの魅力でした。そしてイーストウッド
の作品、外れはありません。
by aranjues (2010-12-19 20:25) 

トミュウ

こんばんは!
実話がベースになっているというので、かなり衝撃でしたね〜。
アンジーの女優としてのすごさも見せてもらって、とても見応えのある
作品でした。
>親(母親)の愛情というものがどんなに強いものであるか
本当にそうですよね、世界中の母親の方々には尊敬するばかりです。
by トミュウ (2010-12-19 20:32) 

coco030705

aranjuesさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪

アンジーよかったですね。やはりイーストウッドの作品は
おもしろいです!最後まで目がはなせませんでした。
さすが映画を知り尽くしている彼ならではのうまさですよね。
by coco030705 (2010-12-19 20:41) 

coco030705

トミュウさんへ
こんばんは☆nice&コメント&TB ありがとうございます♪

クリント・イーストウッドの作品は実話ベースが多いですよね。
題材にするのに、おもしろいからでしょうか。どの作品もその
完成度が高いのが、すばらしいと思います。ビッグな人ですね。

それから、ストーリーテリングのことですが「東京子ども図書館」という
ところでは常時、会をしていると思います。もしお近くでしたら、
ちょっと行ってみるのもおもしろいかも。 (時間があれば……。)

by coco030705 (2010-12-19 20:56) 

TaekoLovesParis

DVDになったんですよね。公開時に見損ねてるので、さっそく借りてみます。
by TaekoLovesParis (2010-12-20 00:42) 

ken

娘を持った今観たら、また違う感情が頭をもたげるような気がします。
きっとアンジーへの感情移入は相当なものになったでしょうね。
いつか観直してみたいと思います。
by ken (2010-12-20 17:11) 

coco030705

Taekoさんへ
こんばんは。nice&コメントありがとうございます♪

クリント・イーストウッドの作品は、やっぱりおもしろいです。アンジーの演技もいいですよ。ぜひご覧になってくださいませ。


kenさんへ
こんばんは。nice&コメント&TB ありがとうございます♪
そうですね。お子さんをお持ちの今ご覧になったら、親として理解できる部分が大きいでしょうね。怖いですが、いい映画だったと思います。
by coco030705 (2010-12-20 21:06) 

夢路

お久しぶりです。
私も、この映画、映画館で観ましたよ。
なかなか見ごたえのある映画でしたね。

アクション映画のアンジーとは違う、静かで忍耐の中にどっしりとした強さを感じられた作品でしたよね。

確かに重い映画でしたが、私はこの映画を見終えた時、アンジーのあの笑顔のせいか、どこか清々しさを覚えた作品でもあります。

そう!悲しいだけの映画ではなく、希望が籠った映画だと感じたのです。
そこが、この映画を悲惨なだけなものだけにしなかったクリント・イーストウッドならでは映画だと感じました。

来年、またイーストウッドとマット・デイモンのコンビで作られた映画が来ますね。
なかなかよさそうですよ。
ちなみに、私は見に行く予定です♪ うふ。
by 夢路 (2010-12-22 16:53) 

coco030705

夢路さんへ
こんばんは。ご無沙汰してます。nice&コメントありがとうございます♪

やっぱりおもしろかったですね。アンジーのよさがよく表現されていて、彼女自身も、病院の場面ではほとんど素顔で演技したりと、がんばってましたよね。

最後は、まだ子供は生きているかもしれないという希望があって、ほんとによかったとおもいます。クリント・イーストウッドのうまさですよね!

来年はまたマット・デイモンとタッグを組むんですね。今から楽しみです。

来年もよろしくお願いします。


by coco030705 (2010-12-23 01:15) 

coco030705

Soraさんへ
こんばんは。nice!ありがとうございます♪

by coco030705 (2011-02-20 21:02) 

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