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京都市京セラ美術館「最初の一歩:コレクションの原点」

 9月になっても暑かったので、私は少々夏バテ気味でした。記事をサボっておりました。皆様きちんと記事を更新なさっている方が多いですね。ss-blogの方々は、お元気な方ばかりですごいと思います。

 今年初めに京都市美術館がリニューアルオープンして「京都市京セラ美術館」となり、「最初の一歩:コレクションの原点」を開催して、コロナで自粛になったりしながら再開しました。最終日の9月6日に行って来ました。


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 京セラ美術館正面玄関


「京都市美術館」のコレクションの「最初の一歩」がどのような内容であったのか、87年の歴史を遡って紹介する特別企画。開館3年目(1935年)の春に初めて開催した「本館所蔵品陳列」に出品された、コレクションの原点となる所蔵作品47点(1926年〜1934年制作)を一挙に展示します。

 その内訳は、日本画22点、洋画10点、彫刻5点、工芸10点ですが、開館記念展となった大礼記念京都美術展や第15回帝展、第21回院展の出品作から美術館が購入した作品(38点)に加えて、美術館建設を推進した大礼奉祝会や作家から寄贈された作品(9点)が含まれていました。
本展を通して、再出発する美術館のコレクションの将来への「夢」を皆様とともに描いていきたいと願っています。

以上、サイトの記事より引用しました。


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 美術館の入り口は地下1階になっていて、正面から大きく広いスロープが作ってあり、階段を降りなくても入れるようになっています。ガラス張りで明るい感じの玄関です。


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 岡田三郎助 「満州記念」昭和8年
 満州国建国1周年を記念して、現在のはん陽にある、北陵の隆恩門を描いた作品。中国らしい朱色と黄土色が美しいです。


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 (五代)清水六兵衛(六和)「大礼磁仙果文花瓶」大正15年
 桃の木に所狭しと止まるオウムを描いています。地は薄桃色で、とても美しい花瓶です。じっと見つめてしまいました。「大礼磁」と名付けた作者の独自技法の代表作。


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 中村大三郎 「ピアノ」大正15年
 赤い振り袖姿の令嬢。作者の妻がモデルだそうです。着物や帯の柄、フロアスタンドの笠、楽譜も全てきっちりと描かれていて、その細かさと美しさに見惚れました。


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 まつ本 一洋 「餞春(せんしゅん)」昭和3年
舞子が扇子で拍子をとりながら、唄の稽古にいそしんでいます。見事な庭園に、藤の花が咲き松の新芽がでている様子からは、春が過ぎて新緑の季節を迎えていることがわかります。
 

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 中村大三郎 「女人像」昭和9年
 端正な線描が女性の気品とみずみずしさを醸し出し、薄紫の着物のなかに赤い唇が艶やかさを添える。帯を締めてウインザーチェア座り、背を伸ばす姿は、正に当代の女性。この絵、本当に美しくて魅せられました。


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   展覧会会場の様子


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 小磯良平 「踊りの前」昭和9年
 出番を待つ踊り子の細く長い首から肩へかけての筋肉が、きたえられた肉体の美しさを物語っている。小磯良平もたくさん作品があるが、なかでもこれはすばらしい絵だと思いました。一番好きな作品です。


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 左:(六代)清水六兵衛 染付草花紋花瓶 昭和9年
 蘭や紫陽花、あさみ、百合などの草花が、大胆にデザイン化された花瓶。白地に紺の模様が美しい。
 右:山崎覚太郎 「蝸牛宝石箪笥」 昭和9年
 宝石箱の蓋に雨と蝸牛がデザインされていて、色も美しくモダンな感じがします。


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 太田聴雨 「種痘」昭和9年
 女医が女性の皮膚にメスで切り込みを入れ、種痘(天然痘の予防接種)を行っている。
 こういう場面の絵は観たことがなかったので、珍しいなと思った。清潔感があり美しい絵画。


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 菊池契月 「散策」昭和9年
 短髪の少女が洋犬と散歩する。当時とてもモダンであった光景を絵描いている。少女とはいえ、この人は、息子と結婚したばかりの若妻だそうだ。着物の柄もモダンな感じがする。当時はやりの柄だったとのこと。

 この他にも、永田春水「猫」(日本画)と大野隆一「猫」(木彫)などすばらしい作品があったが、残念ながら画像がなかった。

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 これは、中庭に展示されていた、岡村ゆかりの「ときどきのミュージアム」という作品である。

 待望のリニューアルだった京都市京セラ美術館、なかなかすばらしい建物で、この展覧会も「最初の一歩」にふさわしい充実した内容でした。これからどんな展覧会が開かれるのかが楽しみです。

 この記事で採用した画像は、全てインターネットのサイトからお借りしました。

 皆さま、夏のお疲れが出ませんよう、お身体をお大切になさってください。

 
 



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コンフィデンスマンJPプリンセス編 (新作) [日本&アジア映画]

 先日「コンフィデンスマンロマンス編」の放映をたまたま地上波で観て、すごく面白かったので、新作の映画にも行って来ました。これはもともとテレビドラマだったんですね。知らなかったです。


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 テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」のほうも、この間偶然にも1度だけ観ました。長澤まさみが主演で、東出昌大、小日向文世が仲間です。1人ゲスト俳優が加わり、この3人がゲスト俳優の色々なことを暴いたり、様々なことをしかけて、詐欺で悪い奴を懲らしめるというような筋書き。


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 世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンド(北大路欣也)が他界した。10兆円とも言われる遺産をめぐりブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)の3姉弟が火花を散らすが、執事トニー(柴田恭平)が相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルという名前だった。


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    ダー子(長澤まさみ)、リチャード(小日向文也)、ボクちゃん(東出昌大)

 世界中からミシェルを名乗る詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に集結する中、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文也)の3人もフウ家に入り込み、華麗かつ大胆にコンゲームを仕かける。


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    ダー子(長澤まさみ)と、こっくり/ミシェルこと せきみず なぎさ

 ダー子たちは、こっくりというみなしごの女の子を、ミシェルに仕立てることにした。こっくりは、継母にいじめられているところを、ダー子たちに救われる。そして彼らと一緒にランカウイ島へ渡り、磨きをかけられて、だんだんとみすぼらしい少女から、輝くような美少女に変身していくのだった。


 しかし、そこには忠実かつ頭脳明晰は執事のトニー(柴田恭兵)がダー子たちのたくらみを、それが真実かどうか見抜こうと立ちはだかり、しかも3人の子供たちも相続を主張していた。


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      トニーこと柴田恭兵

 そして彼らの仲間、スタア(竹内結子)、キザな結婚詐欺師ジェシー(三浦春馬)、ラーメン屋の波子(広末涼子)、元某国大統領夫人(デビ・スカルノ)、そして、ダー子たちの天敵、赤星(江口洋介)らが絡んで、思いもかけない展開になっていく……。


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ダー子にアゴで使われるキザな結婚詐欺師ジェシー(三浦春馬)とダー子(長澤まさみ)

 とにかく衣装が豪華だった。長澤まさみが色々な洋服やドレスをとっかえひっかえ着こなして素敵。しかも、男たちをアゴで使うようなボス的存在としての迫力もあり、彼女の女優としての存在感が目立った。竹内結子も前回に引き続き出演していたが、やっぱり上手い。

 一番カッコよかったのはやはり柴田恭兵である。顔もシワがより、頭髪も白いものが混じっているが、年よりくささはまったくない。歩く姿が颯爽としていて、年齢を感じさせなかった。セリフもキレがいい。さすがです。細身にスーツがよく似合っていた。

 また、シンガポールとマレーシアの都市の美しい映像が魅力的だった。もちろん、ランカウイ島の風景もだが。カメラワークがいいと思った。

 筋書きはお決まりな感じだが、ベテランから新人まで、いい俳優を選び抜いているので、途中でダレることもなく、あっという間に時間が経ってしまった。ある意味ドタバタ劇だが、嫌味なところがなくコミカルにしあげているので、楽しめると思う。

 
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     長澤まさみ

 最後に、キザな詐欺師役で出演された三浦春馬さん、とても明るくて生き生きとした笑顔が忘れられない。どうして、と皆が思ったはずだ。
 私の勝手な憶測だが、三浦さんは子役からずっと芸能界で生きてきたので、どこか疲れが溜まっていたのでは。例えば、外国の俳優さんなどは、子役で人気が出ても、いったん芸能界から離れて、大学に行ったりする。そうして、普通の生活をした後、また復帰するという人がたくさんいる。例えばナタリー・ポートマンなど。
 三浦さんは農業をやりたいということを、友達に言っていたようだ。たとえ俳優業が滞っても、自分のやりたいことを一時期やれたら、また違った人生が歩めたかもしれない。今は静かに、三浦春馬さんのご冥福をお祈りいたします。

監督:田中亮  出演:長澤まさみ、 東出昌大、 小日向伸也、 小手伸也、 柴田恭兵、
竹内結子、 三浦春馬、 広末涼子、 江口洋介、 せきみず なぎさetc.
2020年 日本




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WAVES/ウエイブス (新作) [外国映画]

 20日の月曜日はいい天気で、しかも湿度が低いのか、わりあいサラッとしていました、それに朝から蝉の声が響き、あぁ夏だなと感じました。今年は大阪の天神祭もなく、京都の祇園祭もないので、夏らしさが感じられなかったのですが、思いがけず夏がやって来てくれたようにおもいました。この日「WAVES(ウェイブス)」という映画をみました。アメリカの黒人の4人家族の物語です。


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 最初からカメラワークに凝っていて、一部手持ちカメラなども使って撮っている。また音楽もその折々の主人公の気持ちをあらわすかのような色々な音楽を使っていた。

 フロリダで暮らす高校生タイラー(ケルビン・ハリソン・Jr.)は、父親からレスリングのスパルタ教育を受けて、レスリング部のスター選手になった。厳しい父親には素直になじめないが、生活に問題もなく、父と再婚の母親もいい人だった。

 しかし、タイラーは大事な試合の前に肩を壊してしまう。父にそのことを知られたくない彼は、1人で医者に行き診断をあおぐ。結果は悪く、またレスリングで肩を使うようなことをしたら、二度と治療ができなくなるといわれる。彼はそのことを隠して試合に出るが、やはり負けてしかも、肩が悪いことも家族に知られてしまう。気持ちのやり場を失った彼は、恋人のアレクシスといかがわしいクラブに出入りするようになる。
 
 このあたりの、タイラーが恋人とドライブするときに使われた音楽は、サイケデリックというのだろうか、私にはちょっと聴くのが辛いような音だった。どうしてこんな音楽を使うのかと思ったが、これが、このときのタイラーの気持ちを表現しているのだと、あとで理解した。
 

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  海の中での、タイラー(ケルビン・ハリソンJr)と恋人のアレクシス(アレクサ・デミー)

 こうして、タイラーは夜遊びをし、そのうえ大量の飲酒、ドラッグとだんだんその生活が崩れていく。そうこうしているうちに、恋人から思いがけないことを告げられる。それは、彼女の妊娠だった。

 電話では、タイラーが興奮して怒鳴るので、アレクシスは、iPhoneのメッセンジャーで込み入ったやりとりをする。ここは、本当に現代の若者のそのままが描かれていて、おもしろかった。
 とうとうアレクシスは、タイラーとは別れるとのメッセージを残して、iPhoneをブロックしてしまう。

 彼は、色々なグラブを探し回って、アレクシスを見つけ、話しあおうとするが、アレクシスが応じないため、思わず……。タイラーは大きな過失を起こしてしまう。

 ここで、いきなり画面が白っぽくなり、「え、これで終わり?!」と思うが、すぐに次の場面に切り変わる。これが2,3度あった。

 こうして、前半のストーリーは終わり、後半はタイラーの妹エミリー(テイラー・ラッセル)に焦点を当てた話になる。
 彼女は、兄の不始末のせいで、家では両親の仲が悪くなり、学校でも孤独に過ごしていた。そんなある日、エミリーに声をかけてきた男子がいた。ルーク(ルーカス・ヘッジズが)は、最初はぎこちなくエミリーを誘うが、エミリーの兄タイラーの不始末もすべて理解したうえで、エミリーに優しく接してくれる。二人は段々に親しくなり、やがて恋人同士になる。ここで使われる音楽も、私好みのものだった。


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 ある日ルークは、自分の父親のことを話し始める。酒浸りで家族に暴力をふるう父とは、幼い時に別れたきりだとルークはいう。そして、2人が別の日にドライブしていた時、ルークのケータイにある病院から電話がかかってきて「お父さんが不治の病で長くないから、看取ってくれ」とのこと。2人はそのまま、病院へ直行し数日間病院に泊まるうちに、父親は心安らかに旅立った。
 エミリーとルークはお互いに、なくてはならない存在になり、そのことがいがみ合っているエミリーの両親にもいい影響を与え、バラバラになっていた家族は再び心を寄せ合うようになっていく。


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      エミリーことテイラー・ラッセル

 このエミリーという妹役のテイラー・ラッセルがとても可愛くて、素直な妹役を好演していた。後半は、エミリーとルークの愛が皆を一つにまとめていくというホッとする終わり方だったが、前半は、崩れていくタイラーがかなり怖くて、どうなるのかしらと不安になった。

 映像や色、音楽、場面展開に凝った映画で、新しい試みだと思うが、ストーリーとしては、描き足りないところがあったと感じた。

原題:Waves 監督:トレイ・エドワード・シュルツ  出演:ケルビン・ハリソン・Jr.、
タイラー・ラッセル、 ルーカス・ヘッジズ、 アレクサ・デミーetc.
2019年 アメリカ




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ストーリー・オブ・マイ・ライフー私の若草物語(新作) [外国映画]

 シアーシャ・ローナンが、生き生きと主役のジョーを演じてました。ルイザ・メイ・オルコットの「若草物語」です。1ヶ月半ぐらい前だったか、旧作の「若草物語」をBSプレミアムシネマで観たのですが、こちらは古き良き時代の雰囲気がとてもよかったです。ただ旧作は四姉妹が主役で、少しジョーが目立っていた程度でした。新作のほうは、まさにジョーを中心に据えた物語でした。


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 若草物語は、19世紀に生きる四姉妹が、自分の生き方をさぐり、しかも強い意志を持って、1人1人が自分の道を生きていく姿が描かれる。
 愛する人がお金のない男性であるがゆえに、苦労もあるが、一緒に生きていくことを願う長女メグ(エマ・ワトソン)、小説家になり自立することを目指すジョー(シアーシャ・ローナン)、病弱だが繊細な感性と芯の強さを持ったベス(エリザ・スカンレン)、そして画家を目指しながらも、現実的に自分には画家の才能がないことをはっきりと自覚する末っ子エイミー(フローレンス・ビュー)。
 この四人のキャラクターが、みごとに描かれ、それぞれの女優さんの持ち味が充分引き出されていたと思う。監督&脚色のグレタ・ガーウィグの、新鮮な感覚が新しい物語を創り出したかんじだった。


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        ジョー(シアーシャ・ローナン)


 4人なかでもやはり、シアーシャ・ローナン扮するジョーが魅力的だった。負けん気が強く、お転婆でエネルギッシュ。ガーウィグの前作「レディ・バード」でも、シアーシャ・ローナンは主役を務めた。彼女は「ふたりの女王」のスコットランド女王メアリー役で、すばらしい演技をみせてくれた。今、乗りに乗っている女優さんだと思う。この作品でも、すごく躍動感があり、明るくて、彼女を目で追うのが楽しかった。ジョーは小説家になるために、ニューヨークへ行く。そしてNYでロングスカートをたくしあげて、NYの街を駆け巡る。この時代、女性への社会的圧力は厳しいものがあった。それに抵抗し、自分の人生を生きていこうという活力に満ちていた。


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 出版社に自身の小説を持ち込んだジョーは、そこで編集長に「もっと売れるものを書け」「ヒロインは結婚しないのか」といった、不本意な言葉を浴びせられる。女の幸せはつまるところ結婚だという世間一般の考え方は間違っていると、ジョーは確信するのだった。


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  ローリー(ティモシー・シャラメ)とジョー(シアーシャ・ローナン)

 彼女は、幼馴染みでいわばソウルメイトでもある隣家の金持ちの貴公子、ローリー(ティモシー・シャラメ)の熱烈なプロポーズを断ってしまう。
 このシーン、ローリーに扮するティモシー・シャラメの口説きが情熱的であまりにもすばらしいため、私自身はかなり違和感を持った。彼にプロポーズされて、断る人っている?!


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ジョー(シアーシャ・ローナン)とローリー(ティモシー・シャラメ)

 けれども冷静に考えてみると、ローリーという人(役)は、優しい男性ではあるが何かこれというものを、自分自身に持っているというほどでもない。だからジョーがパートナーに選ばなかったのは理解できる。
 この作品では、男優さんは脇に徹しているのだ。ルイ・ガレルもジョーと最後に結婚する役どころだった。


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 とにかく、純粋で気を張って生きているジョーであるが、とうとう末っ子のエイミーとローリーが婚約したことを知り、ショックを受ける。


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 エイミー(フローレンス・ビュー)とローリー(ティモシー・シャラメ)

 ジョーはひとり置き去りにされたような気持ちになり、「わたしはなんて孤独なのかしら」と落ち込む。しかし彼女には、創作という目標があった。ジョーは自分の作品をペンとインクで書き上げるのに、没頭するのだった。


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 長女のメグ(エマ・ワトソン)は貧乏だが心優しい男性と結婚し、エイミー(フローレンス・ビュー)はローリーと結婚する。けれども天使のようなべス(エリザ・スカンレン)は、慰問に行った困窮家庭の子供から猩紅熱をうつされて、その短い人生を閉じることになった。
 ジョーは、長編小説を書き上げ出版にこぎつける。そして、NYで知り合った、自分の小説を批評してくれた男性(ルイ・ガレル)と結婚するのだった。


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 メグ(エマ・ワトソン)、ジョー(シアーシャ・ローナン)、エイミー(フローレンス・ビュー)、ベス(エリザ・スカンレン)

 紆余曲折がありながらも、家族が仲良く助け合い、理解し合いながら暮らしていくことのすばらしさが、作品の基軸となっている。観終わって、温かい感動が胸の中に広がっていった。


原題:LITTLE WOMEN 監督:グレタ・ガーウィグ 出演:シアーシャ・ローナン、 エマ・ワトソン、 フローレンス・ビュー、 エリザ・スカンレン、 ティモシー・シャラメ、 
ルイ・ガレル、 ローラ・ダーン、 メリル・ストリープetc.
2019年 アメリカ




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アルティメット2マッスル・ネバー・ダイ(リュック・ベッソン)2009年 DVD [外国映画]

 のっけから、アクションの連続、それもCGなど使っていない、生身の度肝を抜くスタント・パフォーマンスの連続です。そして、出だしから早回しのような場面展開があり、それも面白かったです。


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 近未来のパリ郊外“バンリュー13地区”で起きた新たな危機に立ち向かう主人公2人、ダミアン(シリル・ラファエリ)とレイト(ダヴィッド・ベル)の活躍を描く。


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 レイト(ダヴィッド・ベル)とダミアン(シリル・ラファエリ)


 近い未来のパリ郊外。バンリュー13地区は相変わらずの無法地帯だった。そんな中、警官射殺事件が発生する。これを機に、政府は13地区の一掃に乗り出す。しかしその裏には醜き巨大な陰謀が。それに気づいた潜入捜査官のダミアン(シリル・ラファエリ)だったが、罠にハメられ投獄されてしまう。その危機をかつての相棒レイト(ダヴィッド・ベル)が救い、2人は再び手を組み、巨悪から13地区を守るべく立ち上がる。


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 潜入捜査官の二人ともが、すごいスタント・パフォーマンスだった。レイト(ダヴィッド・ベル)が、このビル3階程度の高さから飛び降りたり、距離の離れたビルに飛び移ったり、それをCGもスタントマンもワイヤーも使わず、本人が切れ目なく演じるというのが、すばらしい。ダミアン役のシリル・ラファエリも同様なのだが、ダヴィッドのほうが最初にやり始めたらしい。彼はスタントマン出身だそうだ。


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ダヴィッド・ベル


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シリル・ラファエリ

 バンリュー13地区の無法地帯を権力から守る面々。ちょっとコワイ?

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写真ではわかりにくいので、予告編をどうぞ。
https://youtu.be/n-6ATBsFTec


 ハリウッドのアクションとは一味違います。観終わって、スッキリすることまちがいなし!
もしまだでしたら、ぜひ。

原題:BANLIEUE13-ULTIMATUM  監督:パトリック・アレッサンドラン  製作・脚本:
リュック・ベッソン  出演:シリル・ラファエリ、 ダヴィッド・ベル、 ウォルター・ガストン、 タオetc.
2009年 フランス


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アマリリスが咲きました! [日記・雑感]

 2017年2月末頃にアマリリスを買いました。ポット付きで送られてきて、お水をやればいいだけのもので、3月に花が咲きました。咲き終わった後、葉っぱなどを切って箱に入れ、暗い所に保存しずいぶん長いあいだ放置していました。ちょうど1年くらいまえから、2週間に1度くらい水をやっていると、葉っぱがでてきてどんどん伸びるのですが、花は咲きませんでした。

 今年も花は咲かないのかなと思っていたら、5月10日ぐらいに花芽がグングン伸びてきて、これは咲くかもしれないと期待。


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 そうしたら、5月11日に開花したのです!すごく嬉しかったです。では3年ぶりに開花したアマリリスをご覧ください。


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 ちなみに、2017年のアマリリスはこんな感じでした。やはり最初なので、花も大きく勢いがありますね。

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 このころは、まだガラケーだったので、写真が小さいです。

 今年は色々な草花や、樹木にほんとうに慰められています。感謝しつつ、早くコロナがおさまりますように、心からお祈りします。




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ふたりの女王 メアリーとエリザベス(DVD) [外国映画]

 16世紀の英国、スコットランドの女王メアリー(シアーシャ・ローナン)とイングランドを統治する女王エリザベス(マーゴット・ロビー)は、王位継承権をめぐってライバルであった。


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 メアリーは16歳でフランス王妃となったが、フランス王フランソワ2世崩御により18歳で未亡人となる。故郷のスコットランドに帰国し、再び王位の座に就く。しかし、当時のスコットランドではプロテスタント教徒の勢力が増していた。


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    Mary Queen of Scots farewell to France by Robert Herdman

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    メアリーのスコットランド上陸シーン

 政治顧問として、父の庶子(正式な結婚以外で生まれた子供)で異母兄のマリ伯ジェームズ・ステュアート(ジェームス・マッカードル)とウィリアム・メイトランドを、メアリーが任命する。当時のスコットランドは宗教改革が進み、多くの貴族がプロテスタントに改宗していたが、カトリックの貴族も相当数残っていた。マリ伯とメイトランドはともにプロテスタントであったが、メアリーは宗教の選択には寛容で、両派の融和を図った。

 彼女は、ダーンリー卿ヘンリー(ジャック・ロウデン)との結婚を考えるようになる。彼はメアリーと同じくイングランド王ヘンリー7世の王女マーガレットの孫であり、テューダー家の血を引いている。加えて、カトリック教徒であった点も、メアリーにとっては都合が良かった。


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 ダーンリー卿ヘンリー(ジャック・ロウデン)&メアリー(シアーシャ・ローナン)


 この結婚にマリ伯やエリザベス1世が強硬に反対した。特にエリザベス1世は、イングランドの有力な王位継承権を持つダーンリー卿との結婚によって、メアリーの王位継承権が強化されることを恐れた。


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  メアリー(シアーシャ・ローナン)とエリザベス1世(マーゴット・ロビー)


 エリザベス1世は、ダーンリー卿の母マーガレット・ダグラス(エリザベス1世の従姉)をロンドン塔に幽閉したが、ダーンリー卿は従わなかった。


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 メアリーの左隣で乗馬しているのが、ダーンリー卿ヘンリーを演じたジャック・ロウデンで、イケメンが多いこの作品中でも、注目の人。キャラクターはアカン男ですが、ハンサムで惹きつけられる柔らかさがあります。


 1565年7月29日、メアリーはダーンリー卿ヘンリーと再婚した。女王はヘンリーに対し、王位継承もあらためて与えるなどして、多くの貴族の反感を買った。

 結婚し妊娠したものの、両親から甘やかされてきたヘンリーの傲慢な性格がわかるにつれて、彼女の愛情は冷めていった。


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  デイヴィッド・リッチオ(イスマエル・クルス・コルドバ)
  リッチオは多彩な人物で、ユニークな存在。この人物を演じたイスマエルがとても魅力的 で、メアリーがお気に入りであったのがわかるようだった。いい俳優だと思う。  

 メアリーは、ピエモンテ人の音楽家で、有能で細やかな気づかいをする秘書のデイヴィッド・リッチオ(イスマエル・クルス・コルドバ)を寵愛し、重用するようになった。

 しかし、1566年3月9日、女王が皆とホリールード宮殿で食事をとっているとき、武器を手にした数人の貴族達がリッチオを拉致し、ダーンリー卿の部屋に近い謁見室、しかもメアリーの目前で殺害するという事件が起きた。


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    The Murder of David Rizzio
 
 女王は流産の危機を迎えたが、6月19日無事に息子ジェームズ(後のイングランド王兼スコットランド王ジェームズ1世(6世))を出産した。

 その後、メアリーはボスウェル伯(マーティン・コムストン)に心を寄せるようになった。そして1567年2月10日、エディンバラのカーク・オ・フィールド教会でダーンリー卿が殺害されているのが発見された。(所説あるが、誰がダーンリー卿を殺したのかは藪の中)
 ボスウェル伯はメアリーに結婚を申し込み、その数日後ダンバー城にメアリーを連行し、結婚に踏み切らせ、5月15日に2人は結婚式を挙げた。カトリック・プロテスタント双方がこの結婚に反対した。


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 間もなく、反ボスウェル派の貴族たちが軍を起こした。メアリーは反乱軍に投降し、ロッホ・リーヴン城へ移され、廃位された。


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  エリザベス1世(マーゴット・ロビー)&寵臣レスター伯爵(ジョー・アルウィン)
  このレスター伯爵を演じたジョー・アルウィンは、この作品中でも出色のイケメンだと、私は思います。(エリザベスにもこんないい人がいて、よかった!)

 一方、イングランドを統治するエリザベス(マーゴット・ロビー)は、自分と違い美しく、結婚もして子どもを産んだメアリーに、複雑な思いを抱いてた。


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 映画の中では、メアリーが軟禁されていた城を脱走し、兵を集めて軍を起こすが敗れ、イングランドのエリザベス1世に助けを求めるため、2人が会うシーンがある。そこでは2人は同じ女王として、トップに立つ者同士の孤独をわかり合う。
 監督ジョージー・ルークが女性なので、想像力をたくましくして、こういうシーンを創ったように感じた。男性社会の中で孤軍奮闘する女性ふたりを魅力的に描いたのだ。


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 1568年5月、ロッホ・リーヴン城を脱走したメアリーは6千人の兵を集めて軍を起こすが、マリ伯の軍に敗れ、イングランドのエリザベス1世の元に逃れた。
 メアリーはイングランド各地を転々としたが、軟禁状態とは思えないほど自由に近い、引退した老婦人のような静かな生活を送ることを許された。


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 けれども、彼女はたびたびイングランド王位継承権者であることを主張し、またエリザベス廃位の陰謀に関係した。やはり、スコットランドとイングランド両方の王女であるという信念とプライドが、メアリーを常に突き動かしていたのだろう。


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 彼女は1586年のバビントン事件(カトリックのアンソニー・バビントンがエリザベスの暗殺を狙った事件)の裁判で、メアリーが関与した証拠を提示され、有罪・死刑を言い渡された。


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      エリザベス1世

 1587年2月8日、フォザリンゲイ城のグレートホールでメアリーは露と消えた。この事態を受けて、スペイン王フェリペ2世は無敵艦隊をイングランドへ派遣し、アルマダの海戦(1588年)に繋がったとのことだ。

 こういう宮廷対決ものは、登場人物が多く、それらが複雑に絡み合っているので、頭が混乱しそうになるが、やはり面白い。
 シアーシャ・ローナンの演じた女王メアリーは、女性として結婚も恋愛も経験し、息子ジェームズ(後のイングランド王兼スコットランド王ジェームズ1世(6世))をも出産した。その血は歴代に受け継がれることとなる。一方、マーゴット・ロビーが演じたエリザベスは、疱瘡を患い、そのあとを隠すため白塗りになる。彼女は結婚もせず子供ももたなかった。しかしその権力は絶大なものとなった。どちらが上かは甲乙つけがたい。

 シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーの演技対決も、どちらのほうがいいなどどはいえないほど、両者ともすばらしい演技だった。この2人は今後も映画界を引っ張っていく大きな存在であるのは間違いがないとだろう。これからの活躍がいっそう楽しみだ。

 この作品は、2019年アカデミー賞の衣装部門を受賞した。ほんとうにゴージャスで素敵なコスチュームがみられて楽しかった。2人を描いた絵画を観たら、もっと豪華なのに驚く。


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 スコットランド女王メアリーとイングランド女王とエリザベス1世


 この映画を観て、メアリー・スチュワートに興味を持ったので、何か関連した本を読んでみたいと思っている。

 なお、このブログ中の写真映像は、eiga.com、TSUTAYAのサイトからお借りし、絵画はWikipediaからお借りしました。

原題:Mary Queen Of Scots 監督:ジョージ―・ルーク 出演:シアーシャ・ローナン、
マーゴット・ロビー、 ジェームス・マッカードル、 ジャック・ロウデン、
イスマエル・クルス・コルドバ、 ジョー・アルウィン、 ガイ・ピアーズetc.
2018年 イギリス





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ゴッホ展2020 兵庫県立美術館 [アート・カルチャー]

 閉館していた兵庫県立美術館が、3/17から再開したので、意を決して3/19に行って来ました。チケット購入だけでも20分並ぶほどの大盛況。帽子、眼鏡、マスクの3点セット、肌身離さずに、何カ所かにおいてあるアルコール消毒剤で手を消毒しながらの鑑賞。

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     薔薇

 1880年、27歳の時に画家を志したファン・ゴッホ(Vincent van Gogh, 1853-1890)は、画業の初期にハーグ派の影響を受けました。特に、中心的な画家のひとり、アントン・マウフェ(Anton Mauve, 1838-1888)が縁戚関係にあったことから直接の指導を仰ぎ、その後、ハーグに移住して他の画家たちとも交流します。
 ヨゼフ・イスラエルス(Jozef Israels, 1824-1911)やヤコプ・マリス(Jacob Maris, 1837-1899)、マテイス・マリス(Matthijs Maris, 1839-1917)らマリス兄弟を中心としたこのグループは、街の近辺で出会う身近な風景を描きました。対象を正確に写し取るのではなく、示唆に富んだ筆致で仕上げた彼らの絵には、時としてスケッチのような趣が残されています。このように、細部ではなく印象を重視した手法をファン・ゴッホはまず身につけたのです。
(兵庫県立美術館サイトより)

 ゴッホは、画家になることを決心してから、独学で学び始めた。色彩理論や素描について描かれた本を読み、それを実践する場としてホルバインやミレーなどの過去の巨匠作品を模写した。(ゴッホ展図録より)


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   疲れ果てて         ファン・ゴッホ

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   ジャガイモを食べる人々   ファン・ゴッホ

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   器と洋梨のある静物     ファン・ゴッホ

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   白い帽子を被った女の頭部  ファン・ゴッホ
 
 ゴッホは農民画家として、上記の作品を描き、友人たちに披露したが、反応はそれほどよいものではなかったようです。

 この展覧会では、ゴッホが影響を受けたハーグ派の画家たちの絵も展示されていたのがとてもよかったと思う。私はなかなか観る機会がないからだ。その中から数人の画家の絵をご紹介します。


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   4頭の曳き馬       アントン・マウフェ
 

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   縫物をする若い女     ヨゼフ・イスラエル


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   街の眺め         ヤコブ・マリス


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   出会い(仔ヤギ)      マティス・マリス     


 これらの絵は、派手さはないがどの絵も、人間の温かみを感じることができると思う。

ー「『芸術は自然に付け加えられた人間だ』僕は芸術という言葉についてこれ以上の定義を知らない。」by ゴッホー弟テオへの手紙より抜粋ー


 1886年、ゴッホは弟テオを頼って突然パリに出た。ファン・ゴッホは、初めて目にする印象派の作品に大きく衝撃を受けるのだった。


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   陶器壺の花     アドルフ・モンティセリ

 モンティセリはゴッホがパリに出てすぐに心酔した画家だそうです。暗い背景と明るく鮮烈な花の色の対比、盛り上がった厚塗りに筆遣いなど、多くを彼から学んだとのこと。


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    花瓶の花        ファン・ゴッホ


 それまで写実主義的な絵を描いていたファン・ゴッホは、印象派の作品に大きく衝撃を受け、その明るい色遣いや筆触を取り入れるようになった。


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   エラニーの牛を追う娘   カミーユ・ピサロ

 大好きなピサロの絵の展示もありました。

ーピサロが言っていることは本当だ。色を調和させたり、また不調和にすることで生まれた効果は、思い切って強調しなければならない。ーテオへの手紙よりー


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   クールブヴォアのセーヌ河岸  クロード・モネ

 モネのすばらしい風景画です。何と美しいのでしょう。

ー……今や彼らの作品を見てきて、その一員でないにしても、印象派の絵のいくつかに大いに感服している。例えば、ドガの裸婦やクロード・モネの風景画なんかそうだ。-友人の画家リヴェンスへの手紙より-


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   水飼い場    ポール・ゴーギャン

ーデッサンについてゴーギャンが教えてくれたことに僕が多くを負っていること、それに彼が自然を愛するその方法を常に高く評価しているのは確かです。僕の意見では、彼は芸術家である以上に人としてすばらしいー友人の画家、ジョン・ピーター・ラッセルへの手紙よりー


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   タンギー爺さんの肖像   ファン・ゴッホ

 モンマルトルのテオとファン・ゴッホの住まいの近くにタンギー爺さんの画材屋があった。この店主は画家たちの面倒をよく見て「タンギー爺さん」と慕われていた。……(ゴッホ展図録より)

ータンギー爺さんのところに小さな部屋を借りて、かなりの数の作品をそこにおくことにした。(……)こうすることで、爺さんはいつでもとても簡単にきみの作品を飾ることになる。ブドウ畑や夜景の効果に使われている色遣いに、爺さんがどれほど夢中になっているか想像できるだろう。いつかきみにも、ぜひ彼の賞賛を聞いてほしいよ。-テオからの手紙よりー

 タンギー爺さんのことを、原田マハさんが「ジヴェルニーの食卓」という短編集に書いています。タンギー爺さんの人柄がリアルに感じられるように描かれていますので、ご興味があればどうぞ。


 南仏の光溢れる景色の中で、ファン・ゴッホは独自の技法を打ち立てていきます。自然を観察し、原色を使い、絵の具を厚く塗り重ね、風景や人々を描きとめました。
(兵庫県立美術館サイトより)


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   河岸の木々   ファン・ゴッホ


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   麦畑    ファン・ゴッホ


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   サン=マリー=ド=ラ・メールの風景  ファン・ゴッホ   


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   麦畑とポピー   ファン・ゴッホ


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   パイプと麦藁帽子の自画像  ファン・ゴッホ


ーそれに自分自身を描くことは簡単ではない。それは決して写真とは違う何か?それにほら、それこそが印象派がほかのものに特に勝っている点だ。それはありふれたものではない。人々は絵の中に写真よりもずっと深いところで類似したものを探している。-妹ウィルへの手紙よりー


 自らに起きた精神病の発作によって、1889年5月ゴッホは自発的にサン=レミの精神療養院に入った。けれども、制作する手をとめず次々と作品を産み出していった。


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   サン=レミの療養院の庭   ファン・ゴッホ
 この作品はとても美しく、大好きな絵です。


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   糸杉   ファン・ゴッホ


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   蔦の絡まる幹  ファン・ゴッホ


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   オリーブを摘む人々  ファン・ゴッホ


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   曇り空の下の積み藁  ファン・ゴッホ


 ゴッホは、1890年5月20日、パリ北部に位置するオーヴェール=シュル=オワーズに移った。そして旅館ラヴ―に宿泊し、神経系の病気を専門とするガシュ博士という理解者を得た。彼は同年7月29日、37歳で亡くなるまで、自分自身の芸術を追い求めた。


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   ポピー畑  ファン・ゴッホ (1890年オーヴェール=シュル=オワーズにて)


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   ガシュ博士の肖像  ファン・ゴッホ

ーガシュ博士はもう友達みたいなものだし、新しい兄弟のような関係にもなるだろう。僕らは身体的にも精神的にもたくさんの共通点がある。彼はとても神経質で風変わりで、新たな一派の芸術家たちと友情をはぐくみ、彼らのために可能な限り世話を焼いてやっている。-妹ウィルへの手紙よりー

ー旅から戻ると、きみからの手書きとエッチングを見つけた。(……)ガシュ博士のことはよく知らないが、ピサロ爺さんが彼についてよく話している。それに、きみの作品や考え方に理解を示してくれるような人がそばにいるというのは、心地よいことだろう。-友人の画家ゴーギャンからの手紙よりー


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   薔薇   ファン・ゴッホ 


 私は幸運にも、「ゴッホ展2020」を鑑賞することができました。本展は、ファン・ゴッホの画業の初期から、印象派の洗礼を受けて独自のスタイルを確立するまでを追っています。

 ゴッホの絵は以前からとても好きでしたが、彼がこれほどまでに努力家で、新しいことを吸収する精神を持った勉強家だったということは、知りませんでした。

 この展覧会のすばらしいところは、彼自身の絵画やドローイング約50点に合わせて、彼の絵の基礎になり、そして方向性を決定づけたハーグ派と印象派の作家たちの作品約30点も展示されたところだと思います。そして、弟や妹、友人たちに宛てた手紙の抜粋を、作品の横に展示したことも観るものの理解を深めたと感じました。

 これだけの準備をされたゴッホ展(上野の森美術館&兵庫県立美術館)の学芸員さんや関係者の方々に、感謝と尊敬の気持ちをささげたいと思います。心から、ありがとうございましたと申し上げます。

 本物には到底及びませんが、短くも豊かなゴッホの画家としての人生を、皆さんが彼の作品と言葉を通して味わってくだされば、とても嬉しく思います。




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あるコロナ対策法 [その他]

 コロナ対策として、デマが拡散しているようです。私も引っかかりましたが、ブログ友の方が誤情報と教えてくださったので、助かりました。とにかく、深呼吸をして息を10秒止めて咳がでなかったら、コロナに感染していないというのはデマです。咳がでなくても、感染している場合があるとのこと。くれぐれもご用心ください。

 以前インフルエンザ対策で、かかりつけのお医者さんからアドバイスされたことがあります。口と喉を濡らして、絶対に乾燥した状態におかないことだそうです。なるべく水を頻繁に飲むのが良いとのこと。ウィルスが口に入ったとしても、水とか他の飲み物によって、食道から胃に入ってしまえば、胃酸によりウィルスは死んでしまうとのことです。






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運び屋(クリント・イーストウッド)2019DVD [外国映画]

 クリント・イーストウッドが10年ぶりに主演を務めた作品。もちろん監督も兼ねた。ストーリーは、87歳の老人がひとりで大量のコカインを長年運んでいたという、実際のニュースを映画に仕立てたものだ。最初にイーストウッドが出てきたときは、ヨボヨボな感じだったので、さすがの彼も年をとったなと思っていた。ところが、DVD特典で後でインタビューで彼が話しているのをみると、すごく元気で映画とは全く様子が違ったので、クリントが90歳近い老人を演じていたのだとわかった。さすがである。


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 90歳の老人アール・ストーンは、仕事一筋で生きてきたがゆえに家族に見放され、しかも園芸の商売に失敗して、事業はたたまざるを得なくなった。いまは金もなく、孤独な生活をしていた。


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アール・ストーン(クリント・イーストウッド)


 途方に暮れていたときアールは、車で指示されたところへ品物を運ぶだけで大金がもらえる、という仕事をひきうける。しかし実はその仕事は、メキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だった。


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    麻薬捜査官(ブラッドリー・クーパー)とアール(クリント・イーストウッド)

 アールは危ない橋をわたりながらも、バレることなく仕事を続ける。ときには、ドライブインで自分より年下の男に、「家族を大切にしろ」とアドバイスするくらいだった。だが、その男は麻薬捜査官だったのだ。


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    妻メアリー(ダイアン・ウィースト)&アール
 
 妻とは離婚していて、家族の大事な集まりにも呼ばれなくなっていた。数年ぶりに会った娘にも、冷たくされる。


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  アールの娘アイリス(アリソン・イーストウッド)とアール(クリント・イーストウッド)

 ある日、娘のアイリスから連絡があり、妻がもう余命いくばくもないことを知らされる。アールは麻薬を運んでいる途中だったが、急いで妻のもとへ駆けつけるのだった。そして妻にいままでの不在と自分の不実を心から謝り、彼がその栽培に情熱を傾けたユリの花デイリリーを、妻に手渡すのだった。


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  デイリリー(昼に咲き夜にはしぼんでしまうユリ)

 最後のほうで、アールが運び屋家業の男たちにやられ、とうとう麻薬捜査官と警察に逮捕されるまでのちょっと凄みのある怖い場面や、カーチェイスなど終わりまで色々と楽しませてくれる作品だ。クリント・イーストウッドがブラッドリー・クーパーに「何をおいても家族を大事にしろ」と劇中でアドバイスするところは、彼の本心がにじみ出ているように感じた。ほんとうに面白い映画だった。

 ブラッドリー・クーパーはじめ、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシアら実力派が脇役で出演しているのも豪華だ。

 今回は、買ったDVDでの鑑賞だったが、クリントをはじめ数人の出演俳優のコメントが聞けた。
 クリントは実の娘のアリソンと親子役をやることが嬉しかったらしく、娘に「パパ」といわれるとつい、「なんだい」といつもの会話になってしまうといってた。
 また、アールが栽培していたデイリリーというユリの花畑を撮影するのに、ユリがすぐしぼんでしまうので、一晩で植え替えるのが大変だったそうだ。
 こんな撮影の裏側も垣間見ることができて、映画はスクリーンとDVDとで2度鑑賞するのがいいなと思った。

 音楽もとてもよかったですよ。クリント・イーストウッドが好きな曲ばかりなので、レトロでスローテンポなのが私は好きでした。エンディングテーマ曲の「Don't Let The Old Man In by Toby Keith」をお聴きください。


https://youtu.be/E7mfTU6Rzzg


原題:The Mule 監督:クリント・イーストウッド 出演:クリント・イーストウッド、
ブラッドリー・クーパー、 ローレンス・フィッシュバーン、 アンディ・ガルシア
アリソン・イーストウッドetc.

2018年 アメリカ



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