WAVES/ウエイブス (新作) [外国映画]
20日の月曜日はいい天気で、しかも湿度が低いのか、わりあいサラッとしていました、それに朝から蝉の声が響き、あぁ夏だなと感じました。今年は大阪の天神祭もなく、京都の祇園祭もないので、夏らしさが感じられなかったのですが、思いがけず夏がやって来てくれたようにおもいました。この日「WAVES(ウェイブス)」という映画をみました。アメリカの黒人の4人家族の物語です。
最初からカメラワークに凝っていて、一部手持ちカメラなども使って撮っている。また音楽もその折々の主人公の気持ちをあらわすかのような色々な音楽を使っていた。
フロリダで暮らす高校生タイラー(ケルビン・ハリソン・Jr.)は、父親からレスリングのスパルタ教育を受けて、レスリング部のスター選手になった。厳しい父親には素直になじめないが、生活に問題もなく、父と再婚の母親もいい人だった。
しかし、タイラーは大事な試合の前に肩を壊してしまう。父にそのことを知られたくない彼は、1人で医者に行き診断をあおぐ。結果は悪く、またレスリングで肩を使うようなことをしたら、二度と治療ができなくなるといわれる。彼はそのことを隠して試合に出るが、やはり負けてしかも、肩が悪いことも家族に知られてしまう。気持ちのやり場を失った彼は、恋人のアレクシスといかがわしいクラブに出入りするようになる。
このあたりの、タイラーが恋人とドライブするときに使われた音楽は、サイケデリックというのだろうか、私にはちょっと聴くのが辛いような音だった。どうしてこんな音楽を使うのかと思ったが、これが、このときのタイラーの気持ちを表現しているのだと、あとで理解した。
海の中での、タイラー(ケルビン・ハリソンJr)と恋人のアレクシス(アレクサ・デミー)
こうして、タイラーは夜遊びをし、そのうえ大量の飲酒、ドラッグとだんだんその生活が崩れていく。そうこうしているうちに、恋人から思いがけないことを告げられる。それは、彼女の妊娠だった。
電話では、タイラーが興奮して怒鳴るので、アレクシスは、iPhoneのメッセンジャーで込み入ったやりとりをする。ここは、本当に現代の若者のそのままが描かれていて、おもしろかった。
とうとうアレクシスは、タイラーとは別れるとのメッセージを残して、iPhoneをブロックしてしまう。
彼は、色々なグラブを探し回って、アレクシスを見つけ、話しあおうとするが、アレクシスが応じないため、思わず……。タイラーは大きな過失を起こしてしまう。
ここで、いきなり画面が白っぽくなり、「え、これで終わり?!」と思うが、すぐに次の場面に切り変わる。これが2,3度あった。
こうして、前半のストーリーは終わり、後半はタイラーの妹エミリー(テイラー・ラッセル)に焦点を当てた話になる。
彼女は、兄の不始末のせいで、家では両親の仲が悪くなり、学校でも孤独に過ごしていた。そんなある日、エミリーに声をかけてきた男子がいた。ルーク(ルーカス・ヘッジズが)は、最初はぎこちなくエミリーを誘うが、エミリーの兄タイラーの不始末もすべて理解したうえで、エミリーに優しく接してくれる。二人は段々に親しくなり、やがて恋人同士になる。ここで使われる音楽も、私好みのものだった。
ある日ルークは、自分の父親のことを話し始める。酒浸りで家族に暴力をふるう父とは、幼い時に別れたきりだとルークはいう。そして、2人が別の日にドライブしていた時、ルークのケータイにある病院から電話がかかってきて「お父さんが不治の病で長くないから、看取ってくれ」とのこと。2人はそのまま、病院へ直行し数日間病院に泊まるうちに、父親は心安らかに旅立った。
エミリーとルークはお互いに、なくてはならない存在になり、そのことがいがみ合っているエミリーの両親にもいい影響を与え、バラバラになっていた家族は再び心を寄せ合うようになっていく。
エミリーことテイラー・ラッセル
このエミリーという妹役のテイラー・ラッセルがとても可愛くて、素直な妹役を好演していた。後半は、エミリーとルークの愛が皆を一つにまとめていくというホッとする終わり方だったが、前半は、崩れていくタイラーがかなり怖くて、どうなるのかしらと不安になった。
映像や色、音楽、場面展開に凝った映画で、新しい試みだと思うが、ストーリーとしては、描き足りないところがあったと感じた。
原題:Waves 監督:トレイ・エドワード・シュルツ 出演:ケルビン・ハリソン・Jr.、
タイラー・ラッセル、 ルーカス・ヘッジズ、 アレクサ・デミーetc.
2019年 アメリカ
最初からカメラワークに凝っていて、一部手持ちカメラなども使って撮っている。また音楽もその折々の主人公の気持ちをあらわすかのような色々な音楽を使っていた。
フロリダで暮らす高校生タイラー(ケルビン・ハリソン・Jr.)は、父親からレスリングのスパルタ教育を受けて、レスリング部のスター選手になった。厳しい父親には素直になじめないが、生活に問題もなく、父と再婚の母親もいい人だった。
しかし、タイラーは大事な試合の前に肩を壊してしまう。父にそのことを知られたくない彼は、1人で医者に行き診断をあおぐ。結果は悪く、またレスリングで肩を使うようなことをしたら、二度と治療ができなくなるといわれる。彼はそのことを隠して試合に出るが、やはり負けてしかも、肩が悪いことも家族に知られてしまう。気持ちのやり場を失った彼は、恋人のアレクシスといかがわしいクラブに出入りするようになる。
このあたりの、タイラーが恋人とドライブするときに使われた音楽は、サイケデリックというのだろうか、私にはちょっと聴くのが辛いような音だった。どうしてこんな音楽を使うのかと思ったが、これが、このときのタイラーの気持ちを表現しているのだと、あとで理解した。
海の中での、タイラー(ケルビン・ハリソンJr)と恋人のアレクシス(アレクサ・デミー)
こうして、タイラーは夜遊びをし、そのうえ大量の飲酒、ドラッグとだんだんその生活が崩れていく。そうこうしているうちに、恋人から思いがけないことを告げられる。それは、彼女の妊娠だった。
電話では、タイラーが興奮して怒鳴るので、アレクシスは、iPhoneのメッセンジャーで込み入ったやりとりをする。ここは、本当に現代の若者のそのままが描かれていて、おもしろかった。
とうとうアレクシスは、タイラーとは別れるとのメッセージを残して、iPhoneをブロックしてしまう。
彼は、色々なグラブを探し回って、アレクシスを見つけ、話しあおうとするが、アレクシスが応じないため、思わず……。タイラーは大きな過失を起こしてしまう。
ここで、いきなり画面が白っぽくなり、「え、これで終わり?!」と思うが、すぐに次の場面に切り変わる。これが2,3度あった。
こうして、前半のストーリーは終わり、後半はタイラーの妹エミリー(テイラー・ラッセル)に焦点を当てた話になる。
彼女は、兄の不始末のせいで、家では両親の仲が悪くなり、学校でも孤独に過ごしていた。そんなある日、エミリーに声をかけてきた男子がいた。ルーク(ルーカス・ヘッジズが)は、最初はぎこちなくエミリーを誘うが、エミリーの兄タイラーの不始末もすべて理解したうえで、エミリーに優しく接してくれる。二人は段々に親しくなり、やがて恋人同士になる。ここで使われる音楽も、私好みのものだった。
ある日ルークは、自分の父親のことを話し始める。酒浸りで家族に暴力をふるう父とは、幼い時に別れたきりだとルークはいう。そして、2人が別の日にドライブしていた時、ルークのケータイにある病院から電話がかかってきて「お父さんが不治の病で長くないから、看取ってくれ」とのこと。2人はそのまま、病院へ直行し数日間病院に泊まるうちに、父親は心安らかに旅立った。
エミリーとルークはお互いに、なくてはならない存在になり、そのことがいがみ合っているエミリーの両親にもいい影響を与え、バラバラになっていた家族は再び心を寄せ合うようになっていく。
エミリーことテイラー・ラッセル
このエミリーという妹役のテイラー・ラッセルがとても可愛くて、素直な妹役を好演していた。後半は、エミリーとルークの愛が皆を一つにまとめていくというホッとする終わり方だったが、前半は、崩れていくタイラーがかなり怖くて、どうなるのかしらと不安になった。
映像や色、音楽、場面展開に凝った映画で、新しい試みだと思うが、ストーリーとしては、描き足りないところがあったと感じた。
原題:Waves 監督:トレイ・エドワード・シュルツ 出演:ケルビン・ハリソン・Jr.、
タイラー・ラッセル、 ルーカス・ヘッジズ、 アレクサ・デミーetc.
2019年 アメリカ
ストーリー・オブ・マイ・ライフー私の若草物語(新作) [外国映画]
シアーシャ・ローナンが、生き生きと主役のジョーを演じてました。ルイザ・メイ・オルコットの「若草物語」です。1ヶ月半ぐらい前だったか、旧作の「若草物語」をBSプレミアムシネマで観たのですが、こちらは古き良き時代の雰囲気がとてもよかったです。ただ旧作は四姉妹が主役で、少しジョーが目立っていた程度でした。新作のほうは、まさにジョーを中心に据えた物語でした。
若草物語は、19世紀に生きる四姉妹が、自分の生き方をさぐり、しかも強い意志を持って、1人1人が自分の道を生きていく姿が描かれる。
愛する人がお金のない男性であるがゆえに、苦労もあるが、一緒に生きていくことを願う長女メグ(エマ・ワトソン)、小説家になり自立することを目指すジョー(シアーシャ・ローナン)、病弱だが繊細な感性と芯の強さを持ったベス(エリザ・スカンレン)、そして画家を目指しながらも、現実的に自分には画家の才能がないことをはっきりと自覚する末っ子エイミー(フローレンス・ビュー)。
この四人のキャラクターが、みごとに描かれ、それぞれの女優さんの持ち味が充分引き出されていたと思う。監督&脚色のグレタ・ガーウィグの、新鮮な感覚が新しい物語を創り出したかんじだった。
ジョー(シアーシャ・ローナン)
4人なかでもやはり、シアーシャ・ローナン扮するジョーが魅力的だった。負けん気が強く、お転婆でエネルギッシュ。ガーウィグの前作「レディ・バード」でも、シアーシャ・ローナンは主役を務めた。彼女は「ふたりの女王」のスコットランド女王メアリー役で、すばらしい演技をみせてくれた。今、乗りに乗っている女優さんだと思う。この作品でも、すごく躍動感があり、明るくて、彼女を目で追うのが楽しかった。ジョーは小説家になるために、ニューヨークへ行く。そしてNYでロングスカートをたくしあげて、NYの街を駆け巡る。この時代、女性への社会的圧力は厳しいものがあった。それに抵抗し、自分の人生を生きていこうという活力に満ちていた。
出版社に自身の小説を持ち込んだジョーは、そこで編集長に「もっと売れるものを書け」「ヒロインは結婚しないのか」といった、不本意な言葉を浴びせられる。女の幸せはつまるところ結婚だという世間一般の考え方は間違っていると、ジョーは確信するのだった。
ローリー(ティモシー・シャラメ)とジョー(シアーシャ・ローナン)
彼女は、幼馴染みでいわばソウルメイトでもある隣家の金持ちの貴公子、ローリー(ティモシー・シャラメ)の熱烈なプロポーズを断ってしまう。
このシーン、ローリーに扮するティモシー・シャラメの口説きが情熱的であまりにもすばらしいため、私自身はかなり違和感を持った。彼にプロポーズされて、断る人っている?!
ジョー(シアーシャ・ローナン)とローリー(ティモシー・シャラメ)
けれども冷静に考えてみると、ローリーという人(役)は、優しい男性ではあるが何かこれというものを、自分自身に持っているというほどでもない。だからジョーがパートナーに選ばなかったのは理解できる。
この作品では、男優さんは脇に徹しているのだ。ルイ・ガレルもジョーと最後に結婚する役どころだった。
とにかく、純粋で気を張って生きているジョーであるが、とうとう末っ子のエイミーとローリーが婚約したことを知り、ショックを受ける。
エイミー(フローレンス・ビュー)とローリー(ティモシー・シャラメ)
ジョーはひとり置き去りにされたような気持ちになり、「わたしはなんて孤独なのかしら」と落ち込む。しかし彼女には、創作という目標があった。ジョーは自分の作品をペンとインクで書き上げるのに、没頭するのだった。
長女のメグ(エマ・ワトソン)は貧乏だが心優しい男性と結婚し、エイミー(フローレンス・ビュー)はローリーと結婚する。けれども天使のようなべス(エリザ・スカンレン)は、慰問に行った困窮家庭の子供から猩紅熱をうつされて、その短い人生を閉じることになった。
ジョーは、長編小説を書き上げ出版にこぎつける。そして、NYで知り合った、自分の小説を批評してくれた男性(ルイ・ガレル)と結婚するのだった。
メグ(エマ・ワトソン)、ジョー(シアーシャ・ローナン)、エイミー(フローレンス・ビュー)、ベス(エリザ・スカンレン)
紆余曲折がありながらも、家族が仲良く助け合い、理解し合いながら暮らしていくことのすばらしさが、作品の基軸となっている。観終わって、温かい感動が胸の中に広がっていった。
原題:LITTLE WOMEN 監督:グレタ・ガーウィグ 出演:シアーシャ・ローナン、 エマ・ワトソン、 フローレンス・ビュー、 エリザ・スカンレン、 ティモシー・シャラメ、
ルイ・ガレル、 ローラ・ダーン、 メリル・ストリープetc.
2019年 アメリカ
若草物語は、19世紀に生きる四姉妹が、自分の生き方をさぐり、しかも強い意志を持って、1人1人が自分の道を生きていく姿が描かれる。
愛する人がお金のない男性であるがゆえに、苦労もあるが、一緒に生きていくことを願う長女メグ(エマ・ワトソン)、小説家になり自立することを目指すジョー(シアーシャ・ローナン)、病弱だが繊細な感性と芯の強さを持ったベス(エリザ・スカンレン)、そして画家を目指しながらも、現実的に自分には画家の才能がないことをはっきりと自覚する末っ子エイミー(フローレンス・ビュー)。
この四人のキャラクターが、みごとに描かれ、それぞれの女優さんの持ち味が充分引き出されていたと思う。監督&脚色のグレタ・ガーウィグの、新鮮な感覚が新しい物語を創り出したかんじだった。
ジョー(シアーシャ・ローナン)
4人なかでもやはり、シアーシャ・ローナン扮するジョーが魅力的だった。負けん気が強く、お転婆でエネルギッシュ。ガーウィグの前作「レディ・バード」でも、シアーシャ・ローナンは主役を務めた。彼女は「ふたりの女王」のスコットランド女王メアリー役で、すばらしい演技をみせてくれた。今、乗りに乗っている女優さんだと思う。この作品でも、すごく躍動感があり、明るくて、彼女を目で追うのが楽しかった。ジョーは小説家になるために、ニューヨークへ行く。そしてNYでロングスカートをたくしあげて、NYの街を駆け巡る。この時代、女性への社会的圧力は厳しいものがあった。それに抵抗し、自分の人生を生きていこうという活力に満ちていた。
出版社に自身の小説を持ち込んだジョーは、そこで編集長に「もっと売れるものを書け」「ヒロインは結婚しないのか」といった、不本意な言葉を浴びせられる。女の幸せはつまるところ結婚だという世間一般の考え方は間違っていると、ジョーは確信するのだった。
ローリー(ティモシー・シャラメ)とジョー(シアーシャ・ローナン)
彼女は、幼馴染みでいわばソウルメイトでもある隣家の金持ちの貴公子、ローリー(ティモシー・シャラメ)の熱烈なプロポーズを断ってしまう。
このシーン、ローリーに扮するティモシー・シャラメの口説きが情熱的であまりにもすばらしいため、私自身はかなり違和感を持った。彼にプロポーズされて、断る人っている?!
ジョー(シアーシャ・ローナン)とローリー(ティモシー・シャラメ)
けれども冷静に考えてみると、ローリーという人(役)は、優しい男性ではあるが何かこれというものを、自分自身に持っているというほどでもない。だからジョーがパートナーに選ばなかったのは理解できる。
この作品では、男優さんは脇に徹しているのだ。ルイ・ガレルもジョーと最後に結婚する役どころだった。
とにかく、純粋で気を張って生きているジョーであるが、とうとう末っ子のエイミーとローリーが婚約したことを知り、ショックを受ける。
エイミー(フローレンス・ビュー)とローリー(ティモシー・シャラメ)
ジョーはひとり置き去りにされたような気持ちになり、「わたしはなんて孤独なのかしら」と落ち込む。しかし彼女には、創作という目標があった。ジョーは自分の作品をペンとインクで書き上げるのに、没頭するのだった。
長女のメグ(エマ・ワトソン)は貧乏だが心優しい男性と結婚し、エイミー(フローレンス・ビュー)はローリーと結婚する。けれども天使のようなべス(エリザ・スカンレン)は、慰問に行った困窮家庭の子供から猩紅熱をうつされて、その短い人生を閉じることになった。
ジョーは、長編小説を書き上げ出版にこぎつける。そして、NYで知り合った、自分の小説を批評してくれた男性(ルイ・ガレル)と結婚するのだった。
メグ(エマ・ワトソン)、ジョー(シアーシャ・ローナン)、エイミー(フローレンス・ビュー)、ベス(エリザ・スカンレン)
紆余曲折がありながらも、家族が仲良く助け合い、理解し合いながら暮らしていくことのすばらしさが、作品の基軸となっている。観終わって、温かい感動が胸の中に広がっていった。
原題:LITTLE WOMEN 監督:グレタ・ガーウィグ 出演:シアーシャ・ローナン、 エマ・ワトソン、 フローレンス・ビュー、 エリザ・スカンレン、 ティモシー・シャラメ、
ルイ・ガレル、 ローラ・ダーン、 メリル・ストリープetc.
2019年 アメリカ