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最高の人生の見つけ方(DVD) [外国映画]

 この映画は、私の尊敬する先輩がお勧めしてくださった作品で、いつか観ようと思っていて、少し暇があったのでDVDで観てみました。初共演のジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンのほとんど二人芝居で、ベテランの上手さをじっくり楽しめる作品でした。最後はとても温かい気持ちになれます。


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 モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソン


 ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが初共演を果たした作品。実直な自動車整備工のカーター(フリーマン)と豪放な実業家エドワード(ニコルソン)は、エドワードが経営する病院で同室になり、お互いガンで、余命半年を宣告されていることを知る。気が合った二人は、“棺おけに入るまでにやっておきたいこと”を書き出した“バケット(棺おけ)リスト”を作った。そしてリストに挙げたことを実現させるため人生最後の旅に出るのだった。


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     病院での二人

 彼らは、もちろんイタリア、モンテカルロ、エジプトや、中国の万里の長城など、世界中の景勝地もめぐるのだが、かなり無謀なこともやる。スーパーカーに乗ってお互いスピード競争し、最後は喧嘩になって、高級車をぶつけあったり。


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 スカイダイビングでインストラクターと一緒に飛行機から飛び降りたりと、ほんとうにやりたいことをやりまくる二人だった。


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 カーター(M. フリーマン)は、浮気一つしたこどがない。いい奥さんがいるが、真面目過ぎて、ロマンチックさに欠ける。けれども、子供たちもいる。しかし、エドワード(J. ニコルソン)のほうは、今までの横暴な態度や、素行の悪さから奥さんも出て行き、実の娘とも疎遠になっている。


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 旅もかなりの国や地域を回ったころ、カーターは家に戻りたくなったといって、家に帰ってしまう。そして、エドワードも仕方なく家に戻り、しばらくすると、突然カーターが亡くなるのだ。その後に、カーターの妻がエドワードに手渡した手紙には、「お嬢さんと和解するように」という遺言が書かれてあった。果たしてカーターは、娘と和解できるのだろうか……。
 
 ジャック・ニコルソンのインタビュー記事を読んでいたら、興味深いことが描かれていた。
「この作品では、ロブ・ライナー監督と一緒にセリフを作っていった。かなりウィットに富んだセリフを入れられたと満足しているよ。元々僕は脚本家だからね。脚本だけじゃなく、編集を手伝ってくれと頼まれることも多い。僕は自分をムービー・メーカーだと思っている。そんな時僕は、共演俳優の一番良いパフォーマンスを選ぶようにしている。他の俳優の演技をいいものにする。そうすると映画全体が良くなるんだ」

 今まで、あの「シャイニング」の異常に怖いイメージしかなかったのですが、ジャック・ニコルソンが優れた映画人であることがよくわかりました。

 かなり前の映画ですが、ストーリーと2人の演技が秀逸なので、見逃している方はぜひ、ご覧になってくださいませ。お勧めです。

原題:THE BUCKET LIST 監督:ロブ・ライナー  出演:ジャック・ニコルソン、 
モーガン・フリーマン、 ビヴァリー・トッド、 アルフォンソ・フリーマンetc.
2007年 アメリカ






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スパイダーマン ファー・フロム・ホーム [外国映画]

 間に合いました!なかなか観に行けなかったのですが、やっと行って来ました。


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 若手俳優のトム・ホランドが新たにスパイダーマン=ピーター・パーカーを演じる。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、高校生のピーターが色々な危機に出くわし、その経験から、スパイダーマンとしての自覚を持つようになる物語。


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 しょっぱなから、ベネチアの運河に水のモンスターが現れ大暴れ。なぜベニスかというと、それはピーターたちが学校の夏休みの研修旅行でベニスを訪れていたからだった。色々なものが破壊さ入れていく中、突然謎の男ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)が何処からか現れ、人々の危機を救う。ミステリオ役のジェイク・ギレンホールは、すごく存在感があってよかった。


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 ピーター・パーカー(トム・ホランド)とミステリオ/ベック(ジェイク・ギレンホール) 


 そうこうしているうちに、ピーターの前には元「S.H.I.E.L.D.」長官でアベンジャーズを影から支えてきたニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れ、ピーターをミステリオことベックに引き合わせる。


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 物語は、ここからスパイダーマンのスーパーアクションと、敵との闘いの場面と、学園ドラマのような、MJとピーター、学生たちの物語が入り混じり、ますます佳境を迎える。


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 ピーターが恋するMJ役のゼンデイヤは、今までのMJ役のなかで、一番よかったと思う。彼女はホーム・カミングにも出演していたんですね。未見です。(・_・;)

 実は私はアベンジャーズのことをあまり知らないので、映画の最初の部分がちょっと呑み込みが悪かった。それでも、だんだんとストーリーが進むにつれ、面白くなってきて、最後はよくできてるなぁと感心して観終わりました。
 最後のエンドロールのあと、次回に続くヒントが出て来るのだが、今度はどうなるのでしょうね。

原題:SPAIDER-MAN: FAR FROM HOME  監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、 ジェイク・ギレンホール、 サミュエル・L・ジャクソン、 
ゼンデイヤ
2019年 アメリカ





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アマンダと僕 [外国映画]

 24歳の青年ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)は、人生の方向が定まらないが、便利屋として色々なことをして生計をたてていた。彼はスイスからパリにやってきたレナ(マティシー・マーティン)という美少女と仲良くなり、うまくいっていた。両親は離婚していたが、仲の良い姉のサンドリーヌ(オフェリア・コルプ)がいて、姪のアマンダ(イゾール・ミュルトリエ)を可愛がっていて、それなりに生活は充実していたのだ。


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 サンドリーヌとダヴィッド


 ところがある日、ダヴィッド、姉のサンドリーヌ、レナが待ち合わせていた大きな公園で無差別テロがおこり、姉がそれに巻き込まれて、突然この世を去ってしまう。そして、ダヴィッドの恋人レナもこのテロで腕にケガをし、そのせいでパリが嫌になって、スイスの実家に戻ってしまうのだった。
 このシーンは、衝撃的だった。ヨーロッパでは、テロが日常茶飯事に近いものになっているのかもしれない。それまでの、日常の幸せなシーンから一変したのが、とても怖いと思った。


 姉の死後、姪のアマンダ(イゾール・ミュルトリエ)をどうするか友人に問われたとき、「子育てなんて心の準備ができていないし、頼る人もいない」とダヴィッドは泣き出してしまう。かなり頼りない叔父さんだ。


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 そして、ダヴィッドの家とアマンダを預かってくれる親戚との家を行き来しているとき、アマンダが「ダヴィッドと暮らしたい」という。


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 アマンダはダヴィッドが大好きで、必要としていた。他の誰かではなく、自分こそが、アマンダの後見人になるべきだと、ダヴィッドは気付くのだった。

 この作品では、自転車のシーンがたくさん出て来る。ダヴィッドと姉のサンドリーヌは自転車で早さを競い合う。姉と弟の仲の良さが伝わるシーンだ。そして、アマンダは母親を失ったとき、ダヴィッドの自転車の後ろに乗って、力なくダヴィッドの背中に顔を寄せている。
 けれども、最後に二人は、かつての姉と弟のように、自転車でスピードを競って、駆け抜けていく。

 私は自転車に乗らないし、この頃の自転車は、怖いと思っている。けれども、この映画のアマンダとダヴィッドにとっては、自転車は二人の心を結び付ける大事な物なのかもしれない。車ではなく自転車を重要なシーンに使ったのは、2人の表情や気持ちがよりよくわかるからだろうか。

 テロのシーンなどがあり、ちょっと気持ちが沈むところもあるのだが、それを乗り越えて生きていくダヴィッドとアマンダが、とても晴れ晴れとしていて、いい作品だと思った。付け加えておくと、ダヴィッドは恋人のレナとは再会し、お互いの気持ちが変わっていないことを確かめ合った。


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 ダヴィッドとレナ 

 この映画は、2018年・第31回東京国際映画祭で最高賞の東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞している。


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原題:AMANDA  監督:ミカエル・アース  出演:ヴァンサン・ラコスト、
イゾール・ミュルトリエ、 マティシー・マーティン、 オァフェリア・コルプetc.
2018年 フランス




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ニューヨーク公共図書館(エクス・リブリス) [外国映画]

 ニューヨーク公共図書館といえば、世界中の図書館員の憧れの的であるということを、この作品を観るまでは知らなかった。これはドキュメンタリーの巨匠と呼ばれるフレデリック・ワイズマン監督がとらえた、この図書館の舞台裏である。


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 19世紀初頭の荘厳なボザール様式の建築物である本館と92の分館に6000万点のコレクションを誇るニューヨーク公共図書館は、地域住民や研究者たちへの徹底的なサービスでも知られている。


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アメリカを代表する図書館、ニューヨーク公共図書館はタイムズスクエアとグランドセントラルの中間に位置し、本館と92を超える分館に6000万点のコレクションを誇る世界屈指の知の殿堂。地域の住民はもちろん、研究者たちへの徹底的なサービスで、世界中の図書館員の憧れの図書館として知られている。


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ワイズマンは「私は昔から公共図書館が大好きで、色々なことを学び発見し、驚きや刺激をもらえる場所として利用してきた。しかし、この映画を作って初めて、ニューヨーク公共図書館の奥深さ、領域の広さ、本館と92の分館ですべての階級・人種・民族を対象にした幅広いサービスを提供していることを知ることができた。また、膨大な蔵書やコレクション、幅広い活動プログラムに魅力を感じるとともに、さまざまな分野で助けを求めてやってくる人々の相談に乗っているスタッフの本気度と熱意にも惹かれた」と語る。


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 タイトルの「エクス・リブリス」とは、「~の蔵書より」という意味のラテン語で、「蔵書票」「図書票」とも訳され、本の持ち主を明らかにするため、本の見返し部分に貼られている小紙片を指す。ワイズマンはタイトルにこの言葉を加えた理由を、「一種の内輪ジョークでもある。僕の義父が、蔵書のすべてにエクス・リブリスという文字と自分の名前を表記していたからね」と説明している。


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 この映画を観て、特にこの図書館が、黒人の居住地区でも色々な知的な役割を果たしていることに驚いた。そして黒人の政治家が、ある集会で、この図書館の古い資料によって、黒人問題の裁判に勝訴したとスピーチしていた。

 「図書館は本の倉庫じゃない。図書館は人々の知的な活動に役立つものであって、その人の人生における勉強や知的活動に一生役立ち、貢献するべきものだ」と述べていた人がいた。
 図書館の役割というものを、改めて見つめ直すべきだと思いました。
 
 3時間という長尺のドキュメンタリーであり(途中インターミッションあり)、全てがナレショーンなしの、登場する人々の言葉で綴られている。しかし、決して退屈することがなかった。やはり監督の才能なのか、それもあるだろう。だがそれよりも、人々の熱のこもった言葉こそが、観客に強く訴えてくるのである。とても面白い映画だった。ぜひご覧ください。第74回ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。


原題:EX LIBRIS: THE NEW YORK PUBLIC LIBRARY
監督:フレデリック・ワイズマン
2016年 アメリカ




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コレット [外国映画]

 キーラ・ナイトレイ主演、キーラが美しくなって、驚きました。そういえば昔は「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出演していたのですものね。女らしさが増して、しかも独特のキリッとしたイメージはそのままです。


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 フランス文学界で最も知られている女性作家シドニー=ガブリエル・コレット(キーラ・ナイトレイ)。彼女はフランスの田舎町で生まれ育ち、14歳年上の人気作家ウィリー(ドミニク・ウェスト)と出会い、激しい恋に落ちる。やがて1893年、ウィリーと結婚したコレットは、“ベル・エポック”真っ只中のパリに移り住み、華やかな社交界で享楽的な世界に染まっていく。


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 夫ウィリーは、興行師としては才能があったが、女性関係が派手で、しかも浪費癖があった。コレットは実家の母に「そんな男とは別れたほうがいい」と言われるが、ウィリーはコレットの才能を見出し、しかも彼女の性的趣向(バイセクシャル)を認めるという、変わった所のある男だった。


 ウィリーはコレットに文才があるのを見抜き、自分の代わりに、ゴーストライターとして、コレットに小説を書かせる。すると彼女の小説『クロディーヌ』シリーズが大ヒットする。文才が開花したコレットだが、傲慢なウィリーとの波乱万丈な結婚生活やゴーストライターとしての不自由さに次第に不満が募っていく。


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 コレット(キーラ・ナイトレイ)とウィリー(ドミニク・ウェスト)


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 コレットの「クロディーヌ」シリーズの舞台化の成功に上機嫌な夫ウィリーが、テーブルの上で他の美女たちとフレンチカンカンを踊り、テンションも最高潮に達していた。しかしその足元では、コレットの手元にミッシー(デニース・ゴフ)からメッセージ入りのカードが届けられる。


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      ミッシーとコレット

 コレットは、自分を偽ることなく公然と男装をする貴族ミッシーと人生を変える出会いを果たしたのだった。


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 ウィリーは借金がかさみ、にっちもさっちもいかない状態になっていた。そこで金策のため、コレットの「クロディーヌ」シリーズの版権を売り飛ばしてしまう。そのことに気付いたコレットは、ウィリーとの離婚を決意し、今は恋人であるミッシー(デニース・ゴフ)と劇団を立ち上げ、自らが女優となって、地方巡業の旅に出るのだった。


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 コレットは女優としても成功をおさめ、著書も『シェリ』や『ジジ』などが、大作家マルセル・プルーストやアンドレ・ジッドに認められた。そして、ウィリーに版権を売られた「クロディーヌ」シリーズは、自分の手書きのノートがあったことでコレットの作と認められ、裁判に勝って、買い戻すことができたのだった。

 彼女は、ココ・シャネルに気に入られ、『ジジ』は後にブロードウェイで舞台化され、ブロードウェイ版『ジジ』のオーディションに自ら立会い、主演にオードリー・ヘプバーンを抜擢したことでも有名なのだそうだ。


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 シドニー・ガブリエル・コレットご本人の画像

 女性にとって生きにくい時代にあって、自由に自分を解放して生き抜いたコレットは、すごい女性であると思わずにいられない。平凡な私から見たら、雲の上のひとだけれど。


原題:COLETTE  監督:ウオッシュ・ウェストモアランド
出演:キーラ・ナイトレイ、 ドミニク・ウェスト、 デニース・ゴフ
2018年 イギリス/アメリカ






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バレエボーイズ [外国映画]

 先日、北欧映画祭が、大阪梅田阪急百貨店本店で開かれました。これを主催したのが、「キノ・イグルー」という移動映画館。2003年に有坂塁氏と渡辺順也氏が設立されました。東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、無人島などで、世界各国の映画を上映しているそうです。


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          トルゲール、       シーヴェルト、       ルーカス


 「バレエボーイズ」は、ドキュメンタリー映画で、ノルウェーのオスロでプロのバレエダンサーを目指す3人の少年を追った成長物語だ。男子にはめずらしいバレエの世界で、ひたむきにレッスンに打ち込む。


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 彼らにとっては、楽屋でふざけ合いながら3人で女の子の話や、色々なことを語り合うだけが、唯一の息抜きだった。そして、厳しい練習に耐え、お互い切磋琢磨していた。


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  3人の根城、「オペラハウス」(オペラとバレエのための建物)


 16歳になったとき、3人は進学するか、バレエをやめて他の職に就くか、迷う。学校の先生と親を交えての面談もあった。


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 ある日ルーカス1人だけが名門ロンドン・ロイヤル・バレエスクールから招待受験の報をもらった。彼らは人生の分かれ道の選択を余儀なくされる。そのまま、ノルウェーに残れば、進学後の授業料は免除され、しかも他の職業への移行も認められている。

 3人とも、中産階級の至って普通の家の子供だった。ルーカスは「自分にはバレエしかない」と心に決めていたが、英国のロイヤル・バレエ団への入門の道には、多額の資金が必要だった。
 ルーカスは両親と真剣に話し合う。両親はルーカスの気持ちを知っていて「お金のことは心配するな」という。そして、ルーカスの本当に進みたい道へ行くように説得する。これがルーカスの運命を決めることになった。やはり、両親の理解と後押しは、人生において大変重要なもので、心温まる光景だった。

 けれども、他の2人にとって、ルーカスのロイヤルバレエスクール入門は、やはり複雑な心境のようだった。十代とはいえ、人生の戦いは始まっているのだなと思った。だからといって、関係が悪くなることはなかったようだが。
 トルゲールは素直にルーカスの英国行きを喜んで、祝福する。しかし「バレエを続けていると、40歳ぐらいになったら、身体がボロボロになってしまうかもしれない」 と思う。
シーヴェルトは、ルーカスが、英国バレエスクールへの入門が決まったというメールに返事をしなかった。でものちに、会ったときには祝福する。

 
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      卒業式

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      卒業公演


 他の2人はノルウェーでの進学を決める。そして、卒業式と卒業公演があり、ルーカスは仲の良い2人と離れて、ひとり英国のバレエ学校に入学する。そこではまた、厳しい練習の日々が待っていた。


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 ロンドンのバレエ学校での訓練の日々。 

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 まだノルウェーにいて、紅顔の美少年だったころ

 上の写真を比べると、ノルウェーにいたころと、ルーカスの顔が全く変わってきているのがよくわかります。大人っぽい顔に変化しています。


 この作品は、若さのもつきらめきとひたむきさ、夢や友情、葛藤と挫折そして挑戦が、バレエの躍動感あふれる映像の中にはさみ込まれた、すばらしい青春ドキュメンタリー映画でした。

 ちなみに、3人のその後ですが、ルーカスは英国ロイヤル・バレエ団で活躍中で、今は公式プロフィールがあります。シーヴェルト(中国系の子)は、アメリカのテキサスへ渡り、バレエを続けています。そして、トルゲールはノルウェーの軍隊に入隊したそうです。

 これからも彼らが、それぞれの場所で、いい人生を送ることを願ってやみません。

原題:Ballet Boys  監督:ケネス・エルヴェバック   
出演:ルーカス・ビヨルンボー・フレツロド、 シーヴェルト・ロレンツ・ガルシア、
   トルゲール・ルンド
2014年 ノルウェー





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マイ・ブックショップ [外国映画]

 イギリスの文学賞ブッカー賞を受賞したペネロピ・フィッツジェラルドの小説をイザベル・コイシェ監督が映画化。ぜひ訪れてみたいような本屋が出てきます。もちろん架空の本屋なのですが、これはセットとして現地に建てて、内側の細かい所まで原作に忠実に創ったそうです。


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 1959年イギリスのある海岸地方の町。フローレンス(エミリー・モーティマー)は、戦争で夫をなくしたのち、二人の夢だった書店を開こうとしていた。この町には、1軒も本屋がなかったからだ。 彼女は放置されているオンボロの「オールドハウス」を買い取ったが、住民からは冷たくされる。


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 フローレンスは、ブックショップを開業する人ということで、地元の有力者夫妻のパーティーに招かれる。ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)は、最初は本屋ができると嬉しいといっておきながら、そのオールドハウスを「芸術センターとして使いたい」と申し出る。しかし、彼女は本屋を開くゆるぎない意志を、夫人に伝えるのだった。


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 ついに、フローレンスは「オールドハウス書店」をオープンする。そこへブランディッシュ氏という老紳士から、彼女が推薦する本を送ってほしいと注文がくるのだった。ブランディッシュ氏は、古い邸宅に40年以上引きこもって本をひたすら読んでいる人だった。彼女は彼にレイ・ブラッドベリの「華氏451度」を送る。


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 ブランディッシュ氏こと、ビル・ナイ/写真の本は、レイ・ブラッドベリの「華氏451度」


 本を通じてフローレンスと老紳士ブランディッシュ氏との交流がはじまる。本屋は意外と繁昌するのである。


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 そして本屋を手伝ってくれるクリスティーンという少女が現れる。フローレンスは賢い彼女を気に入って、雇うことにした。


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 そんな中、彼女をよく思わないガマート夫人(パトリシア・クラークソン)が、書店の建物と土地を、そのわがままな性格から、自らのものにしようとしていた。そして、フローレンスを窮地に追いやっていくのだった。


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 それを見ていたブランディッシュ氏は、フローレンスに、ガマート夫人に掛け会いに行くと夫人の屋敷へ向かうのである。彼は過去にガマート夫人に傷つけられたことがあり、彼女を毛嫌いしていた。老紳士は「もし映画なら、最後の場面で、ガンで(ガマート夫人を)撃ち殺したいくらいだ」などというのだった。フローレンスは、ブランディッシュ氏に心を寄せるのだが、運命は皮肉な結果をもたらした……。


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 少女クリスティーンは、とても重要な役である。最後にそれがわかって、アッと思うと同時に、納得もする。そして、クリスティーンは素敵な女性になって、「オールドハウス書店」のようなブックショップを開業するのである。


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フローレンス(エミリー・モーティマー)がオールドハウス書店で開店準備をしているところ。


 何枚かのアップした写真のように、「オールドハウス書店」はとても魅力的なブックショップです。ズラリと並んだ本の装丁の見事さに驚きました。(これは書店の内部の映像で、写真にはなかったので、表示できないのが残念!)これは、映画のためにつくったのか、それともいい本を借りてきたのか?こんな素敵な本が揃っていたら、毎日でもこの本屋に通いますね。
 
 フローレンスがブランディッシュ氏にお勧めする本が、レイ・ブラッドベリの「華氏451度」。私の大好きな作家レイ・ブラッドベリの本に映画の中で出合うとは!嬉しくなりました。私が最初に読んだブラッドベリの小説は「たんぽぽのお酒」です。これは彼の半自伝的小説です。他にもファンタジーやSFなど、一時期よく読みました。
 そのほか「ロリータ」byウラジミール・ナバコフも好きです。これも映画の中では、フローレンスが大量注文する本です。この作品は、中年男が少女へ傾倒した恋をする話で、ちょっと異色の小説です。今でも「ロリータ」は魅惑的な響きを持っていて、ロリータファッションとか、ロリータコンプレックスなど、多くの派生語を産んでいます。

 フローレンスを演じたエミリー・モーティマーは、人間味のある、本への情熱を持ち続ける女性をとてもよく表現していたと思います。いい女優さんだなと思いました。

 ビル・ナイは、脇役でたくさんの作品に出ていて、色々な助演男優賞を獲得している名優だそうですが、私は今まであまり注目したことがありませんでした。でもこの作品のブランディッシュ氏ことビル・ナイは、背広をスラっと着こなしている姿も魅力的です。無骨な老紳士ながら、フローレンスへの愛情をほんの一言、二言の言葉で表現し、彼女を守ろうとする男性を演じきっていて、とてもカッコよく見えました。彼の他の作品も観てみようと思っています。


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 パトリシア・クラークソン

 有力者の嫌味な女性を演じたパトリシア・クラークソンは、とてもきれいな女優さんで、ちょっと冷たい感じが、ガマート夫人役にぴったりでした。このキャラクターがいなければ、フローレンスもブランディッシュ氏も、いい人になりえなかったでしょう。大事な役柄だと思います。

 風景の映像も美しく、またそこにはさみ込まれるアーティスティックな映像が魅力的でした。
 
 大作でもないし、手放しのハピーエンドでもないのですが、衣装も、風景も、そしてキャストや出て来る本まで私の趣味にぴったりの映画でした。大好きな料理を食べお酒を味わった後の満足感に近いように思います。皆さんもぜひ、この「オールドハウス書店」を訪ねてみられてはいかがでしょうか。

原題:THE BOOK SHOP  原作:ブックショップ by ペネロピ・フィッツジェラルド 
監督:イザベル・コイシェ  出演:エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、 
パトリシア・クラークソンetc.
2018年 スペイン/イギリス/ドイツ



ブックショップ (ハーパーコリンズ・フィクション)

ブックショップ (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • 作者: ペネロピ フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2019/03/01
  • メディア: 単行本



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キャプテン・マーベル [外国映画]

 このところ、実話を映画化したものばかり観ていたので、ちょっと気分を変えて、キャプテン・マーベルを観てきました。主演のブリー・ラーソンは女優としていいなと思い、サミュエル・L・ジャクソン、ベン・メンデルソーン、ジュード・ロウも出ていたので、観たくなりました。「アベンジャーズ」をあまり観てない割には、相当おもしろかったです!


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 キャプテン・マーベルことブリー・ラーソンは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)では初めて女性ヒーローが単独で主役となったそうですね。そして監督も、マーベル映画では初の女性監督となるアンナ・ボーデンと、ボーデンとともに「ハーフネルソン」などでコンビを組んできたライアン・フレック。初づくし。


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 キャプテン・マーベルこと、ブリー・ラーソン。美人ですね。


 舞台は、アベンジャーズ結成以前の1995年。ロサンゼルスのビデオショップに、空から落ちてきた一人の女性。彼女はクリー帝国の精鋭部隊“スターフォース”の女性ソルジャー、ヴァース(キャプテン・マーベル)だった。彼女は驚異的な力を持っていたが、身に覚えのない記憶のフラッシュバックに悩まされていた。 


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 彼女の失われた記憶には大きな秘密が隠されており、それをクリー人の宿敵で、自在に姿を変える能力を持つスクラル人が狙っていた。そして、S.H.I.E.L.D.の敏腕エージェント、ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が、ヴァース(ブリー・ラーソン)に興味を持ち、彼女の失われた記憶を探っていく手助けをする。このサミュエル・L・ジャクソン、顔が若いと思ったら、CGを使っているらしい。


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 それから、ジュード・ロウは、ヨン・ロッグという善い人の顔をしていて、実は悪党役。でも、やっぱり渋くて素敵です。そのほか、ベン・メンデルソーンも(チャーチルの映画では、イギリス王を演じて、すごくよかったのに)悪党なんです。でも皆、大活躍でした。

 そして、キャプテン・マーベルたちの失われた記憶を追う旅に、いつの間にか付いてきていたキュートな仲間、猫のグースが登場!この子がめっぽう可愛いんですよ。それにアッと言わせる場面がありますよ! 


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                      一番右下の、少ししか映っていない猫がグース

 とにかく、エンドロールの最後の最後まで、観てくださいね。びっくりですよ!「アベンジャーズ・エンドゲーム」も観に行きます!


原題:CAPTAIN MARVEL 監督:アンナ・ボーデン、 ライアン・フレック  
出演:ブリー・ラーソン、 サミュエル・L・ジャクソン、 ジュード・ロウ
ベン・メンデルソーン、 クラーク・グレッグetc.
2019年 アメリカ



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グリーンブック [外国映画]

 この映画の舞台は、1960年代のアメリカ南部で人種差別が当然のように行われていた時代だ。作品は、実在の天才的黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーと彼に雇われ一緒に旅をする用心棒トニー・リップ・バレロンガの話である。生い立ちも性格も全く違う二人が、最初は互いに嫌悪感をもちながらも、色々な事件に遭遇して、心を通わせ合うロード・ムービーだ。


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 黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、教養もあり、身だしなみもよい。そして、ピアノ演奏の腕は国内でも誰もが認めるものだった。


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 これは、カーネギーホールの上に住むドクター・シャーリーが、面接で、用心棒のトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)を雇うシーンで、民族衣装を着て出て来るのだ。実際のドクター・シャーリーも、このような衣装を身につけていた写真があるそうだ。マハーシャラ・アリは、この衣装がすごく似合っている。


 ところで「グリーンブック」とは50年代から60年代、人種差別の激しかった南部を旅する黒人のために作られた、施設利用ガイドのことである。イタリア移民でマフィア御用達のクラブ用心棒だったトニー(リップ)・バレロンガは、イヤイヤながら新しい仕事に就くことになる。雇い主の黒人ピアニストのドクター・ドン・シャーリーと、南部演奏ツアーに運転手兼ボディガートとして同行するとき、グリーンブックが必要なのだった。


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 トニーこと、ヴィゴ・モーテンセンとドクター・シャーリーこと、マハーシャラ・アリ
 

 トニーは、ガラが悪くて教養もないが、口が達者なのでトニー・リップと称されていた。それに、その人柄から、皆に頼りにされていた。だが、働いていたクラブが改装のため閉まってしまうため、彼はどこかに職を見つけなければならなかったのだ。


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 リンダ・カーデリーニ(ドロレス・バレロンガ)とヴィゴ・モーテンセン(トニー)

 美人の奥さんを家に残して、トニーの旅が始まった。


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 行く先々で、ドクター・シャーリーは大変な人気で、いつもコンサートは超満員だった。けれども、彼らは常に黒人差別に出くわした。例えば、楽屋は物置のような部屋だったり、紳士服の店でいいスーツを見つけたトニーは、ドクターに試着するようにいうと、店主がとんできてとめたりと、嫌な思いをしたのである。


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 南部での最後のコンサートは、クリスマスイブだった。その日、コンサートの前に、会場に隣接の高級レストランで食事するために、ドクターとトニーが入っていくと、レストランのマネジャーがどうしても、ここでは黒人は食事できないので、黒人専用のレストランへ行けというのだった。
 
 ドクターはこういうことには、もう耐えられないといって、二人はコンサートをキャンセルして、帰路についた。途中、ドクターが「俺は何者なんだ!」と泣くシーンがあって、とても印象的に、ドクターの心の孤独を表現していたと思う。

 その旅の後、ドクターとトニーの友情は終生続き、この作品は、トニー・バレロンガの息子のニック・バレロンガが共同脚本を書いている。この人は映画人だそうだ。ニックはドクターに関するたくさんの資料や写真、二人が南部を旅したときの資料も父から譲り受け、それにドクターへのインタビューメモも一緒に、ピーター・ファレリー監督に提供した。

 ピーター・ファレリー は、『メリーに首ったけ』や『ジム・キャリーはMr.ダマー』などのコメディーを手掛けてきた。私も「メリー・・・」は観たことがある。彼は「本作は他の自作の映画とは違ったトーンになるということはわかっていて、軽すぎるようなものにはしたくなかった。全てのコメディーはドラマの中から自然に生じるようにしなくてはいけなかった。ヴィゴとマハーシャラの演技がおかしさを生んでいるんだよ」と言っている。

 先日たまたまEテレをみたときに、ファレリー監督が出ていて「今は分断の時代だから、正反対の二人の間に友情が生まれるなら、希望もある」と物語に込めた思いを明かしていた。

 そして、先日の第91回アカデミー賞では、全5部門でノミネートされ、作品賞のほか脚本賞、助演男優賞を受賞した。マハーシャラ・アリは「ムーンライト」に続いて、2度目の受賞だそうだ。


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 満面の笑みですね!本当に素敵ないい俳優だと思います。これからもマハーシャラの出演作は逃さず見ていこうと思います。

 そして、ヴィゴ・モーテンセンは、「イースタン・プロミス」のカッコよさが記憶に焼き付いていますが、今作では、20㎏も体重を増やして臨んだとのこと。その努力に頭が下がります。俳優という職業はすごいですね。

 この映画、本当におもしろいし結構奥が深いです。それをシリアスに描かずに、ときにはクスッと笑えるようにえがいているところが、監督の才能だと思います。

 ドクター・シャーリーのユニークなピアノ演奏がすばらしいので、サウンドトラックを買おうかなと思っているところです。映画の中の演奏は、クリス・ボワーズという現代の才能あふれるピアニストが演奏しているとのこと。ぜひご覧になってください。


Blue Skies (ドクター・ドン・シャーリー・トリオ)
https://youtu.be/vDFnYOOovp8


原題:GREEN BOOK 監督::ピーター・ファレリー 出演:ヴィゴ・モーテンセン、
マハーシャラ・アリ、 リンダ・カーデリーニ、 ディミテル・D・マリノフetc.
2018年 アメリカ




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私は、マリア・カラス [外国映画]

 20世紀最高のソプラノと称されたオペラ歌手マリア・カラスの人生をひも解いていくドキュメンタリーです。なんてきれいな人なんだろうと思いました。それに、彼女はニューヨーカーだったんですね。ギリシャ系移民のアメリカ人です。


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 この映画は、マリア・カラス本人の映像と歌や、彼女の友人達と愛する人に宛てたプライベートな手紙などで彼女の人生を浮き彫りにしたものだ。そして、映画「永遠のマリア・カラス」でカラスを演じたファニー・アルダンが、自叙伝で語られる言葉や、手紙の朗読をする。


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 監督の トム・ヴォルフが、世界中を探し求めたというプライベート映像や、未完の自叙伝の原稿。そして400通を超えるという手紙の数々とラブレター、それらの朗読と音楽だけで成り立っている。マリア・カラス本人がすばらしい美女であるのも魅力的だが、その人生は、まるで小説のように波乱万丈だ。


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 私がびっくりしたのは、ニューヨークの凱旋コンサートに、若い男性が徹夜で並んでいるシーンだった。ロックのコンサートではなく、オペラのコンサートにこんなにたくさんの若者が列を作っているのは、見たことがない。彼らは一様に「マリア・カラスに会うためなら、まったく苦にならない」と言っていた。


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大統領やセレブも駆け付けたローマ歌劇場の舞台を第1幕で降りたことへの、激しいバッシングや、マリアに“クビ”を宣告したメトロポリタン歌劇場の支配人とのバトルがあった。それは、彼女が自分の歌唱が、完璧と思えないから、舞台を降りたことによると思う。マリア・カラスのプロフェッショナルとしてのプライドがそうさせたのだ。


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 ギリシャの大富豪オナシスとの大恋愛と夫(28歳年上の男性で1児をもうけた)との離婚、愛し合っていたはずのオナシスが、暗殺されたアメリカ大統領ケネディの未亡人ジャクリーンと結婚したことを新聞で知るという衝撃の顛末─の真相と、マリアの心の内を知ることができる。


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 それにしても、オナシスとはなんと冷酷な男なのだろう。マリアとは正式に結婚もしていなかったが、きちんと別れてもいなかった。どんなにマリアが傷ついたかは、想像に難くない。その不遇の時を支えたのは、まさにオペラを歌うことに他ならなかった。


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 けれども、オナシスは結局ジャクリーンとは後々離婚する。そして、マリアの家へ押しかけてきたそうだ。マリアはそのしつこさに負けて、また付き合いだしたが、それは恋人としてではなく、友達としての関係だったと本人が言っていた。私だったら、許せないかもしれない。マリアは度量の大きい人なのだろう。歌声にも、人を包み込むような温かさがあると思う。ちなみに、オナシスとは友達としては、上手くいったそうだ。


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 この映画の中では、マリア・カラスの歌声がふんだんに聴ける。私はオペラにあかるくないので、数曲しか知っている曲がなかったが、その歌声のすばらしさに魅了された。


蝶々夫人
なんて美しい空!
プッチーニ
シチリアの晩鐘
ありがとう、愛する友よ
ヴェルディ
ノルマ
清らかな女神よ
ベッリーニ
椿姫
さようなら、過ぎ去った日々よ
ヴェルディ
マクベス
早く来て、明かりを
ヴェルディ
カルメン
恋は野の鳥(ハバネラ)
ビゼー
カヴァレリア・ルスティカーナ
ママも知るとおり
マスカーニ
トスカ
歌に生き、恋に生き
プッチーニ
夢遊病の娘
おお花よ、お前がこんなに早く萎んでしまうとは
ベッリーニ
アンドレア・シェニエ
母が死に
ジョルダーノ
ジャンニ・スキッキ
私のお父さん
プッチーニ
他 数々の名曲が登場!


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 そして監督のトム・ヴォルフいわく、3年間かけて世界を回り、マリア・カラスの友人たちを探し出した。彼らは誰も見たことのない数多くの資料を保管していて、それらはマリア・カラスのとても個人的な記録だった。自叙伝と400通を超える手紙を読み終えた時に、やっと見えてきた〈マリア・カラスの姿〉が映画の最も重要な部分になることを確信した。今回、彼女と親しかった数え切れないほどの人々に会ったが、彼女自身の言葉ほど強く、印象的な証言はなかったので、彼女の言葉だけでつなぐことを決めた、とのこと。


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 マリア・カラスとモナコのグレース王妃 


 これまでは、マリア・カラスは気位の高い、わがままそうな人だと思っていたのです。でも、この作品を観て、彼女は美しく、温かく、心の広いすばらしい女性だという印象を持ちました。それをこの映画は余すところなく伝えています。これからは、オペラにも興味を持つことができると思います。

 残念ながら、マリアは 1977年9月16日に心臓発作でなくなり、その遺骨は生前の希望により、エーゲ海に散骨されたのだそうです。

 これは「マリア・カラス」という名のバラです。ブログ友のmayuさんが、教えてくださいました。マリアにちなんで名づけられたバラで、大輪のとてもいい香りの花だそうです。


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 では最後に、マリア・カラスの歌声をご堪能下さい。

 マリア・カラス プッチーニ作曲「私のお父さん」
 https://youtu.be/l1C8NFDdFYg


原題:MARIA BY CALLAS 監督:トム・ヴォルフ 出演:マリア・カラス(アーカイヴ映像)
朗読:ファニー・アルダン
2017年 フランス




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